場所:さいか屋ホール
ヴァイオリン:石田泰尚
ピアノ:中岡太志
曲目
クライスラー
美しきロスマリン
愛の悲しみ
愛の喜び
踊る人形
中国の太鼓
ラフマニノフ
パガニーニの主題による変奏曲
ハンガリー舞曲
ドボルザーク
我が母の教え給いし歌
ジョン・ウィリアムズ
「シンドラーのリスト」よりテーマ
ブラームス
ハンガリー舞曲第5番
ピアソラ
来るべきもの
オブリヴィオン(忘却)
勝利
鮫
バルシシモ(ピアノソロ)
ル・グラン・タンゴ
リベルタンゴ
アンコール
ピアソラ
チキリンデバツィン
モンティ
チャルダッシュ
★本日の企画はさいか屋の「ソワレムジーク」と言う全6回だかなんだかのシリーズの一つ。
館風は勿論一回券で聴いたのだけれど、3万円くらいの通し券と言うのもあって、それはカードに
一回ずつスタンプを押すタイプだった。そして、スタンプも押さない、カードを見せるだけで入場する人って
言うのも居て、それは多分大株主とか、大得意様なのでしょう。カードを出してスマートに入場する姿は
正にセレブ☆。あまりの客層の違いに館風は小さくなってました。私みたいな小市民が来る所ぢゃない……。
さて、演奏のほうは石田様と中岡氏によるデュオオンリーで、前半はクライスラー、後半はピアソラ、と言うすっかり
おなじみになった構成。
一番最初に出てきた石田様は少し緊張気味??と言う感じの音。曲が進むに従って余計な緊張が解け、いつも以上にノっていました。
クライスラーで印象的だったのは愛の悲しみと喜び、そして中国の太鼓。愛の悲しみはこれでもかと言うぐらいテンポを揺らして、
止ってしまうのではないかと思ってしまったくらい。愛の喜びもテンポをグラッグラに揺らしてきて、中岡氏が対応しきれなかった場面も。石田様、
中岡氏に足で床を叩いて合図を出したりしていました。グリッサンドと言うかもうそれはポルタメントじゃないのかって言うグリッサンド
を多用していて、なんだか小洒落た雰囲気になっていました。
それから中国の太鼓。今日はこれを聴いてしまったら他の曲が全て吹き飛んでしまいますね。
超絶技巧もバリバリ出て来る曲だけに、そう言う所ばかり気にしてしまいがちなのですが、そうじゃない部分に重きが置かれている気がしました。
超絶技巧パートは全く問題じゃないと言う感じにサラっと流してしまうのがとってもスマートな演奏だと思いました。
ラフマニノフはクライスラーの編曲による「パガニーニの主題による変奏曲」の第18変奏。
これは石田様の重音がとても美しくて、ちょっと感動。また、その次のハンガリー舞曲はG線の低音を深く響かせて、
前の曲と同じ作曲家の曲かと思うぐらい雰囲気を変えて。このハンガリー舞曲、私はとても好きです。
ドヴォルザークの「我が母の教え給いし歌」はイージーリスニング等でもよく取り上げられる有名な曲。
これ、私は勝手に子守唄だと思っていたのですが、石田様の演奏で聴くと全く違うイメージになりました。
もう会えない母親に対する切なる想いが湧き出てきました。いえ、館風の母親は生きてますけど(笑)。ま、そう言う
イメージって言う事です。この劇的な盛り上がり!自然に涙が零れてしまう様な感動をもたらしてくれました。
そして今日は私の大好きな「シンドラーのリスト」も!これはいつ弓を返したか分からない滑らかなロングトーンが美しい。
この曲を聴くとあの映画のラストシーンが目に浮かぶんですよね。その相乗効果で泣いてしまうと言う……(笑)。
MCでは中岡氏が石田様に「休みは何をしていますか?」と言う質問を。石田様はひとしきり挨拶をした後に
「休みって事ですよね……そもそも5月は殆ど休みが無いんですけど。」と前置きをしてから「休み、寝ますね。
体が細いので寝ないとどうにもこうにも。」と仰っていました。そうだよな〜。私が毎週石田様の公演を見に行っていると言う事は、
石田様は少なくともその倍以上の日程でリハやら何やらがあるんですよねぇ。そりゃあ忙しいはずです。
後半のピアソラはいつも居る松原氏が居ないのでなんだか変な感じ。でも松原氏が居ないので
最近やっていなかったル・グラン・タンゴがプログラムに入っていて嬉しかったです。
ル・グラン・タンゴ、やっぱり石田様の演奏の魅力がもう余す所無く引き出されていて良いですね。この曲、
リベルタの演奏会の時にはやっぱり聴きたいなぁ。。。
また、今日のリベルタンゴは「どうしたの?!」と言うぐらい速くてびっくりしました。
中岡氏がいつもより速いテンポで始めたので、石田様が入ったら少しゆっくりさせるのかと思ったのですが、石田様、
本当にあの速度で弾ききってしまうんですもの。あれで弾ききれてしまう石田様の超絶技巧、凄いですよね。
アンコールは先日のブルー・ジェイ・ウェイのコンサートでも演奏したチキリンデバツィン。いつも口頭での曲名告知なので
本当にこのタイトルで合っているのか分かりません(爆)。この曲は石田様のハーモニクストーンが美しいんですよね。
そして、そこから音楽が盛り上がる所は一緒に気持ちも盛り上げてくれて、この曲に付随する物語の悲しさをいっそう際立たせます。
アンコール2曲目はモンティのチャルダッシュ。石田様の十八番ですが、これは演奏する度にどんどんアレンジが変化するので
何度聴いても飽きない、大好きな曲です。最後の曲なので石田様も盛り上がりに盛り上がって、かなりノリノリ。
テンポの速い部分と遅い部分でかなりのギャップがあって、速い部分はこれでもかと言うぐらいにテンポを上げてきました。これがまた
聴いている方は面白くて、観ていて飽きないんですよね。
最近こう言う、石田様をひとりで取り上げるコンサートが増えてきました。ファンとしてはとても嬉しい事です。
来年は1月にオペラシティでB→Cをやるし、その時には本日取り上げて居ない様な新しい曲目(
現代曲とか現代曲とか現代曲とか)も入ってくると良いな〜と思います。