2005年石田日記-3月

3月5日 イル・トロヴァトーレ@埼玉会館
3月12日 シュナイト音楽堂シリーズY@県立音楽堂
3月19日 倉敷音楽祭 室内楽演奏会@倉敷市芸文館ホール
3月20日 倉敷音楽祭@倉敷市民会館ホール
3月23日 題名のない音楽会21公開録画@メルパルクホール
3月26日 スポットライトコンサート2005@ひまわりの郷
3月29日 神奈川フィル特別演奏会@MK



2005年3月5日
彩の国ヴェルディ・プロジェクト
歌劇「吟遊詩人〜イル・トロヴァトーレ」全4幕


場所:埼玉会館
芸術総監督:諸井誠
音楽監督/指揮:現田茂夫
芸術監督/演出:高島勲
衣裳コーディネイト:Steve Almeright
照明デザイン:岩品武顕
舞台監督:山田潤一
レオノーラ:水口惠子
マンリーコ:渡辺直人
ルーナ伯爵:宮本聡之
アズチェーナ:小道一代
フェルランド:新保尭司
イネス:古沢真紀子
ルイス:吉田伸昭
老ジプシー:笹倉直也
使者:丸谷周平
ソロ・コンサートマスタ:石田泰尚
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
合唱:埼玉オペラ協会合唱団
曲目:G.ヴェルディ
歌劇「イル・トロヴァトーレ」
第1幕「決闘」
第2幕「ジプシー」
第3幕「ジプシーの子」
第4幕「処刑」

★今日のコンサートは2月の定期演奏会でもやったイル・トロヴァトーレ。これは埼玉県主催で、 オケが半分舞台の上に乗っているのものの、ソリストたちは衣裳有り、演技ありの本格オペラ形式。 これが1000円は安すぎ(注:学生料金)
 オケは珍しく対向配置で、下手に1stヴァイオリンとチェロ、上手にヴィオラと2ndヴァイオリンと言う配置。正面奥に コントラバスが4台居て、音響がバランス良くなるように配置されていました。
 ちなみにコンマスは石田様で、ヴィオラのトップは定期と同じ成田寛氏。成田氏は私の願いが通じたのか オールバックで登場(追記:館風的には成田氏はオールバックが良い!ってどっかに書いた気がしたのだけれど、書いてなかったみたい……)。やっぱり オールバックの成田氏が素敵☆石田様はまた髪の毛を切ったのかな?遠すぎてわかりませんでした(苦笑)。

 第一幕の頭からオケをも巻き込む演出に驚かされた。
 第一幕の男声合唱は数が多いだけあって迫力満点。石田様がオケも合唱も引っ張っているようでした。まるで 背中で指揮を振っているみたい。

 また、マンリーコの渡辺直人氏の演奏が素晴らしく、快活な声はマンリーコに相応しい。先日の松本薫平氏 とはまた少し違ったマンリーコで、オペラ自体の印象が全く違ってしまいました。ソリストでこんなに印象が変わるオペラも 珍しいのではないのだろうか。
 先日の定期では女声陣が強く、女メインの物語に思えたが、今日はマンリーコが本当に主役だったと感じた。

 私が一番楽しみにしていたのは実は2幕のラスト。定期演奏会の本番で石田様を見られなかった(と言うか演奏さえよくよく聴けなかった)分、 しっかり聴いてきました。
 この部分、石田様の演奏は期待通り。クールなのにホット、淡々と演奏しているようだけれど迸るパッション、正に シビれる演奏でした。これこれ!これが見たかったんです!音だけでなく演奏姿までプロデュースするのは 石田様だけ!実はここを見るためだけに埼玉に行ったと言っても過言ではありません。

 しかし石田様がカッコ良いのはここだけではない。全編を通して演奏がアツい!!しかも今日は妙に楽しそう。 演奏している姿から楽しそうなのが伝わってくるんですよね。曲と言うよりも演奏そのものが大好きな感じが滲み出ているなぁと感じました。 あそこまで楽しそうに演奏されると見ているこちらもウキウキしてきますね。

 今日は先日の演奏会では見られなかった所や、演技付きで一層表現されたオペラの登場人物の心情とか、 そう言うところが沢山見れてかなり楽しめました。舞台効果や背景ライトも中々で、全体の雰囲気がとても良く、素敵な舞台でした。











2005年3月12日
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 特別演奏会
シュナイト音楽堂シリーズ
「古典派の偉人たち Vol.Y」


場所:神奈川県立音楽堂
指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:石田泰尚 小宮直
ヴィオラ:劉京陽
コントラバス:米長幸一
ゲスト・コンサートマスタ:森下幸路
 (ハイドン・モーツァルト)
曲目:ハイドン
交響曲第85番 変ロ長調Hob.T,85「王妃」
モーツァルト
セレナード第6番 ニ長調 K.239
 「セレナータ・ノットゥルナ」
ベートーヴェン
交響曲第4番 変ロ長調 作品60
アンコール
ハイドン/歌劇「突然の出会い」序曲

★シュナイト音楽堂シリーズ最終回である。パンフレットにはシュナイト氏のメッセージが直筆であり、 その最後の一言が今日の演奏を象徴していると思う。それは『「驚くほどの喜び」を味わっていただけますよう、熱き心をもって ご招待申し上げます。』と言う部分なのだけれど、実際に演奏に驚かされたし、演奏者のパッションが迸っていた。
 最近の神奈川フィルの演奏は常にレヴェルが高く、安定した演奏を聴かせてくれるので多少の事では驚かされないぞと 思って聴いていたのだけれど、いやはや、期待以上の演奏が来るとやはり嬉しくなってしまいます。

 始めのハイドンは力強い第1楽章が印象的。このメロディで何故「王妃」?と思ってしまうのだけれど、 マリー・アントワネットが好きだったから「王妃」と呼ばれているらしい。なるほど。曲の中身とは関係ないのね(笑)。
 1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンのハーモニーがビチリと決まった所とかが素敵でしたね。ハイドンらしい軽やかで華やかな曲で、 4楽章全てが印象の違う楽章になっていて、面白かったです。
 第3楽章ではコンマスソロがあったりして、ゲストコンマスの森下氏の音を聴く事もできました。

 モーツァルトは神奈川フィルのメンバーがソリストを勤めて。と、言うかぁ〜……石田様が弾き始めた瞬間になんと言うか、 それまでの場の色がガラっと変わってしまった気がしました。何ですか、全然違うんですよ。音が。毎度言うようですが、 とにかく音が綺麗。軽く弾いている様なのにしっかりと骨太な音を響かせていて、オケの後ろでソロを弾いているとは思えないぐらいの存在感。
 オケと一緒の部分を弾く時はもう、前に居るはずのオケとすっかり融合していて(間に2ndヴァイオリンを挟んでいるにも関わらず!!)、1stヴァイオリンの 音はもうすっかり石田様の音なのです。神奈川フィルにおける石田様の存在と言うのはもうなくてはなら無いものになっていますね。
 シュナイト氏と後ろのソロ4人のコンビネーションもバッチリで、石田様はシュナイト氏と顔を見合わせて笑顔を見せる部分も。
 私が気に入ったのは3楽章で、ゆったりとした綺麗なメロディ(多分解説にあったパリ風って部分)が素敵でした。ソロが弾いていた部分をオケが 引き継いだりする所もあって、その入れ替わりが面白かったです。それでも伴奏っぽいメロディを弾いている石田様の音はきっちりこちらに届いてきているのだから 凄いなぁ、と思いました。その伴奏がアクセントになってメロディが惹き立てられているんですよね。絶妙なバランス感覚だと思いました。

 そして、最後のベートーヴェンは石田様がコンマスで。石田様をコンマスに指名したシュナイト氏、偉い!!
 第1楽章は音楽が動き出すまでのじりじりとした部分の緊張感がたまらなく良かったです。あの張り詰めた空気、オケだけでなく客席までもを巻き込んだ 一体感、曲が動き出す瞬間の感動を最大限にまで引き出せたのではないかと思います。
 そして動き出してからはオケの一体感が段違い。神奈川フィルは石田様が入ると演奏が全然違いますね。それだけの影響力と、信頼なのでしょう。

 第2楽章のドラマティックな歌曲の様なよく歌うメロディはとても素敵でした。重厚な音に包まれる感覚はやはり音楽堂ならでは、でしょうか。小さめの ホールだからこそ出来る事もある・と言うか……。
 第3楽章、第4楽章は前半とはまた雰囲気が違って面白かったです。飽きさせませんね。そしてラストの盛り上がりに向かう部分では 自分が予想する展開とはまた違う展開に転ぶので面白く聴く事が出来ました。予習なしって言うのはこういう時に面白いなと感じます(<予習しないのを肯定してどうするよ)。

 また、フィニッシュの石田様がとーっても素敵でした。あんなに優雅に弓を扱う人って他に居ないのでは。余韻も楽しめました。あ、でも今回は結構終わったか終わらないかの時に「ブラボー!」の 声が飛んじゃいましたけど。でも今回はまあ、そう言う雰囲気だった、と言う気もします。こういった雰囲気はきちんと読み取らなきゃいけませんね。
 それにしてもどうしてこの曲が埋もれてるかなぁ。。。私は5番よりもこちらの方が好きだけど……好みの問題ですか。そうですか。

 アンコールはハイドン。序曲〜と書いてあったけれど、2楽章あった模様。アンコールなの?!と言うぐらい長いし、充実した曲目でした。 しかもヴァイオリンとチェロにソロ有り。チェロは山本氏で、やはり渋い良い音を聴かせてくれました。ヴァイオリンは勿論我らが石田様。なんだか弾きながら楽しそうに見えたのは私だけでしょうか。
 曲目が終わってからシュナイト氏は山本氏を立たせ、前へ出て来るように指示。山本氏は戸惑いながらスルスルっと出て来てぺこりと一礼するとそそくさと戻ってしまいました。
 その後シュナイト氏は石田様にも前に出るように軽く背中を押したのですが、石田様は舞台ギリギリまで前に出て来てご挨拶。ウィットに富んだ人だなぁ。素敵。

 さて、今日の演奏会はシュナイトシリーズの最終回だった訳ですが、 このシリーズを通して神奈川フィルのいつもとは違う一面、スタンダードな曲目(時にはマニアな曲も)を演奏する部分が見えて、 神奈川フィルのファンとしてはとても嬉しい企画でした。今回で終わりは寂しい、と思っていたら来年からは2ndシーズンとして このシリーズは継続される模様。ファンとしてはとても嬉しい話ですね!













2005年3月19日
 倉敷音楽祭 祝祭管弦楽団
 室内楽演奏会


場所:倉敷市芸文館ホール
曲目:ストラヴィンスキー/イタリア組曲
ヴァイオリン:漆原啓子
ピアノ:松本和将
黛敏郎/文楽
チェロ:岩崎洸
ショスタコーヴィチ
ピアノ三重奏曲 第2番 ホ短調 作品67
ヴァイオリン:漆原啓子
チェロ:岩崎洸
ピアノ:松本和将
ストラヴィンスキー/兵士の物語
指揮・悪魔:井上道義
兵士:桂 小米朝
ナレータ:大島幾雄
王女:馬場ひかり
クラリネット:山本正治
ファゴット:前田信吉
トランペット:デイヴィッド・ヘルツォーク
トロンボーン:栗田雅勝
打楽器:奥村隆雄
ヴァイオリン:石田泰尚
コントラバス:星秀樹

★前半は漆原嬢や岩崎氏、松本氏を中心にした最も小さな編成で。
 「イタリア組曲」では松本氏のピアノが光りました。軽やかな音色がピッタリで、とても良かったです。 演奏中、とても楽しそうなのもグッド。
 「文楽」は曲目勝ち!と言う感じ。解説でも「無伴奏チェロ作品の名曲中の名曲」と書いてあるが、正にそのとおり。 これは日本人が弾いてこそ面白い事が出来るのではないかなぁ・と思いました。とにかく面白い曲で、そこまでしちゃうの?! みたいな特殊奏法が面白かったです。
 そして楽しみにしていたショスタコーヴィチのトリオ。やっぱり急ごしらえのトリオだからか、ぎくしゃくする部分もあったのですが、 カチリと嵌った時は素晴らしかった。後ろの松本氏がうまい事 合わせて行っていて、それが良かったのかも。アンサンブルをよく知っているピアニストだと思いました。自分が引っ込む所はちゃんと引っ込むし、 バランスがとても良かったです。

 さて、実は前半の感想と言うのは後半を聴いたら吹っ飛んでしまいました。
 今回の演出は井上氏の手によるもの。これがまた、いろんな人に色んな事をさせていましたが、一番体を張ったのは井上氏。すごい。

 この物語、悪魔に未来がわかる本と引き換えにヴァイオリンをあげてしまった兵士が、どんなに金持ちになっても満たされず、悪魔と競り勝って王女と結婚するものの、 やっぱり故郷に帰りたくなって国境を越えると地獄に落ちる・と言うなんともまあ救いの無い物語。
 一番最初のシーンは真っ暗闇から始まります。何やら爆弾が投下された様な轟音と、真っ赤に光る背景、上からブランコで降りてくる不思議な仮面をつけた人物……これから 何が始まるのだろうと言う不安を煽る様なオープニングでした。
 ライフルを持った兵士たちがバラバラと寝ている中、ナレータの大島氏が何やらロシア語(多分)でまくし立てる。 突然日本語になって二週間後の開戦、そしてそれまでの休暇を告げると、暗闇の中横になっていた兵士達が立ち上がります。アレッ……演奏者じゃないですか。演奏者は皆 お揃いのカーキ色の軍服(と言うほどのものでもないが)に身を包み、横になっていたのです。それから演奏が始まるのですが、なんだか不思議な雰囲気。 なんと言うか、上手く噛み合わない、ギクシャクした音楽なのですね。そう言う風に聞こえるように設計してある音楽なのです。それがまた 兵士のこれから先の心理や人生を予感させる音楽なのです。

 曲目は兵士がてくてく歩いてゆく「兵士の行進」とそれぞれのエピソードを描く音楽がサンドイッチになっていて、途中からはエピソードばかりになります。
 「兵士の行進」を告げるトランペットとトロンボーンのファンファーレが華やかなのだけれど調子外れみたいな音(元々そう言う譜面ですよ。念のため)がとても良かったです。 ヴァイオリンとクラリネットが一緒の部分等もとても綺麗だったので印象に残っています。

 が。

 なんせ私は石田ファン。そんでもって今回、舞台上手にアンサンブルをちんまりと纏めてしまうと言う配置だった為に、センター寄りに 居た石田様ばかりに眼が行ってしまいました。そして、実際石田ファンじゃなくても石田様に視線は釘付けになったと思います。もう、演奏面では全てを持っていっていました(だって目立つ!と言う意味では井上氏には敵わない。後でわかります)。

 しかし石田様、演奏ばかりでなく、いろいろ小芝居を割り当てられていました。
 兵士が持っていたヴァイオリンを石田様に「調律してくれ」と渡し、妙に安っぽいヴァイオリンをキーキー調律しようとする石田様。これが本当に 変な音しか出ない(笑)。悪魔こと指揮の井上氏に「無駄だよ。」と言われ、石田様もあっさり諦め「ダメだ」と兵士に返却。これで会場の掴みはOK。
 王女と兵士のワルツの所では悪魔に「お前も前に出ろ」と言われド真ん中へ出て行く石田様。もう「これは石田泰尚リサイタル?!」と思うくらい ド派手な演奏で、いつもより二割増しぐらいの派手さ。しかも石田様、とっても気持ち良さそう。兵士と王女も周りでくるくる回っているし、とても面白い。
 しかもこのシーン、演奏は格別。兵士と王女の恋のシーンですから、甘いわけなのですが、石田様の音はそこに色気があるんですよね。それがまたぞくぞくしました。見た目だけでなく、音でも楽しませてくれる、 当然のことなのかもしれませんが、実践は難しいと思います。
 途中で井上氏が「お前、まだそこで弾いていたのか」みたいにして「戻りなさい」と言うようなジェスチャをするのですが、石田様は「じゃあ」と言う感じでなんと指揮者ポジションへ(笑)。 井上氏こと悪魔は「それは俺の仕事だ!!」と石田様から指揮を奪還しようとするも石田様も中々ゆずらない。指揮を取り返してホッとする井上氏とか、とても面白かったです。
 こんなに小芝居が入る演奏者は石田様だけですから、どれだけ井上氏に信頼されているかが分かりますね。
 あ、後突然演奏者全員が立ち上がって敬礼をするシーンも。めちゃめちゃ揃ってて凄かったです。なんかこの訓練に血道を上げたんじゃないかってくらい。揃いすぎです(笑)。

 でも一番お芝居が多かったのはもしかしたら井上氏。そもそも顔の左半分はまっ白、右半分は真っ黒の塗り分けで登場。ひゃぁ!!と思ったのも束の間、 軍服からベストと赤い長靴に着替え(しかも演奏中に舞台上で!!)、虫取り網を持ってちょうちょ(ダンスの馬場嬢)を追いかけたり(そう言えば虫取り網で指揮もしていた)、それで捕まえられなかったからってもっと 大きな網を持ってきて捕まえたり、と、中々に忙しい。しかも悪魔の本性が出てからは燕尾服の上着のお尻から悪魔の尻尾がぴょこんと出ている 衣裳になって登場したり、舞台の上から転げ落ちたり、足と腕にギプスを巻いて出てきたり、かなり楽しませてくれました。最後にはなんと!!真っ赤な全身タイツに悪魔の尻尾付き!で登場。
 ここまでやってくれる指揮者ってあまり知らない……。んもう、とっても面白かったです。お客さんはかなり正直に笑っていました。いや、率先して笑っていたのは私なんですけど……。 でも演奏者はそうも行きません。リハで見ている筈なのに石田様も笑いを堪えられなくなったのか口元に手をやって横向いていましたし。あれは頑張って笑いを堪えていたと思うのですけれど、どうでしょう(笑)。

 兵士と王女の演技も中々でした。兵士は流石落語家、芝居の中で出て来る冗談や、時事の盛り込み方が秀逸。 未来が分かる本を読み上げるシーンで「ライブドアがフジテレビを乗っ取り?!」なんて言うのが出てきたり、「ズバリ言うわよ」と細木数子の物真似をしたり、 とても面白かったです。冗談を言うシーンでベッタベタな冗談ばかり並べるのですが、その後で井上氏が言った冗談に「あ…負けた気がする」と呟いたり、素っぽい部分も 出ていてとても面白かったです。
 王女の踊りはとても繊細で柔らかく、素敵でした。王女は台詞が一切無しで、全てパントマイムなのですが、それで感情の機微が全て伝わってきましたから、 ものすごい事だと思います。

 また、最後に兵士が昔の幸せを求め、地獄に落ちた後。音楽が全て終わり、一番始めのシーンにリンクし、爆弾が投下された轟音で幕を閉じました。 これにはちょっと考えされられましたね。劇の中の台詞でも、3年間の時間を盗まれた兵士に悪魔が「知らない間に戦争が終わって得したじゃないか」と言う 台詞もあります。それでもまた戦争が始まったり、どこかで起こっていたりするのだと言う暗示にも思えました(<深読みしすぎ)。

 館風はこの演目、一度生で聴いた事がありましたが、全く印象が違う演奏でした。今回の方がずっと演劇の方に寄っていた感じ。 なんせオケまで演技させてしまいますから。とっても面白かったです。
 カーテンコールで桂氏は「落語にはアンコールがありませんから、とても嬉しいです。気持ち良いですね!」と話しておられました。なるほどー、 そう言う事もあるのか。
 そうそう。一番最初のカーテンコールで、王女と兵士がくるりと踊ったので、井上氏は次に紹介する石田様にも「君も何か踊りなさい」と言う様なジェスチャを。 石田様は「とんでもない!!」と言う顔で首を横に振るとライフルをきゅっと綺麗に抱えて一歩前進して礼。思わずブラボーの声をかけてしまいました。 いやぁ、声なんて初めてかけたよぅ……(会場の雰囲気が大盛り上がりだったので出来た事だと言える。なんせ終わってから会場の後ろから指笛が鳴り響くぐらいの盛り上がりよう。 はっきり言ってクラシックコンサート会場とは思えない盛り上がり方だった)。雰囲気のなせる業か。
 石田泰尚ブラボー協会、会員募集中(笑)。会員資格:石田様のソロ終了後、ブラボーを言う。それだけ(笑)。勇気があれば(笑)立って拍手。

 井上氏は最後に「明日はもう少し、普通です。」と言っておりました。少しだけ??と思ったのですが、それは翌日の演奏会を見れば分かる事でした(笑)。
 今回の演奏会は井上氏の企画力、演技力、演出力、どれが欠けても成功は無かったでしょう。そして、 石田様にヴァイオリンパートを頼んだ事も大成功の要因の一つだと私は思います。指揮が居なくなるシーンでは 石田様が度々アンサンブルを引っ張っていましたから。石田様のコンマスとしてのスキルがこう言う所でも生かされていました。
 井上氏と石田様に、拍手!
















2005年3月20日
 倉敷音楽祭 祝祭管弦楽団
 管弦楽団演奏会


場所:倉敷市民会館ホール
指揮:井上道義
オーケストラ:祝祭管弦楽団
曲目:スッペ/喜歌劇「軽騎兵」序曲
(倉敷ジュニアフィル・ハーモニーオーケストラ)
シュニトケ/モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン
イベール/室内管弦楽のためのディヴェルティメント
チャイコフスキーのバレエとオペラの音楽から
くるみ割り人形より「花のワルツ」「トレパック」
眠れる森の美女より「パノラマ」
エフゲニーオネーギンより「ポロネーズ」
白鳥の湖より「情景」
ストラヴィンスキー
 バレエ組曲 「火の鳥」(1919版)

★さて、2日目の演奏会。オープニングを飾るのはまだまだ可愛らしい子ども達が送るスッペの 「軽騎兵」。それぞれのパートに1プルトの裏ともう少し後ろの方にもう一人くらい補助でプロが混ざっていました。 なんと1stヴァイオリンの副コンマスは我らが石田様。
 コンマスとはこう言うものだ!といわんばかりの演奏で、子どもたちとの演奏を楽しんでいる 様でした。しかし、その隣のコンサートミストレスは緊張した面持ちでの演奏。

 しかし、こうして見ていると分かるのですが、プロの演奏家たちのなんと自由な事か。変な癖などをつけないようにと言う指導の賜物なのでしょうけれど、 ジュニアオケの子ども達はあまりにカチリとした姿勢で弾いていて、あまり楽しそうに見えない。表情も、演奏を楽しむと言う所までには行けていません。 まあ、演奏する事でいっぱいいっぱいなのでしょうけれど。それでも傍で石田様を始めとする素晴らしい演奏家達の演奏する姿勢を 見て、肌で感じて吸収する事がたくさんあったと良いなと思います。

 2曲目のシュニトケは、モーツァルトの「パンタロンとコロンビーネ」をモチーフにした曲で、前日井上氏が 「明日はもう少しだけ、普通です」と言った意味が分かる作品。

 舞台の左右に2群の弦楽が配置されていて、コントラバスだけは真ん中に一台。真っ暗な中、コントラバスが妙な高音を弾き始め、 段々と他のパートが演奏しながら入場する、と言うスタイルで始まるのがとっても面白い。チェロすら演奏させながら入場させて 仕舞うと言うのが凄い。
 ソリストポジションに原田幸一郎氏と漆原朝子嬢を配置し、その2人が 喧嘩をする様を音楽で描き出している。真ん中に挟まれた指揮の井上氏は2人を仲直りさせようとするが、結局は皆好き勝手に弾き始め、上手く行かない。 そして一人、またひとりと去っていく演奏者達。待ってくれ!と懇願する井上氏。そして舞台に残ったのはコントラバスとチェロのみ。
 なんと言うか、不思議な曲である。指揮を裏切る曲の組み立て。この、最後に演奏者達が去っていく所が 「ハイドン風」の部分なのだとか。それにしたって、面白いことを全部やらせてしまおう、と言うのがコンセプトだとしか思えない。
 原田氏と漆原嬢はうまい事喧嘩している様子をヴァイオリンで表現していました。とっても仲が悪い音をしていましたね〜(笑)。

 イベールは小編成で。その割りにパーカッションが3人だったりするのはやっぱり現代曲だからかしら。ピアノとチェレスタも入って中々豪華な編成と言えるかも。 ピアノは勿論前日も出演された松本氏。軽やかなタッチのピアノがやはりグッド。

 そして後半。石田様は2プルト表で登場。コンマスは原田幸一郎氏、副コンミスは漆原朝子嬢。
 チャイコフスキーは馴染み深い曲ばかりで、子ども達も楽しめたのではないだろうか。くるみの「花のワルツ」はとても有名だけれど、 一曲をじっくり聞くとそれもまた中々面白い。しかし、やはり原田氏も漆原嬢もこう言っては何だが、ソリストの人なのである。心なしか 石田様がコンマスの仕事をしていた様に感じるのは気のせい?石田様から後ろのメンバーの音はふわぁっと石田様の音によく馴染んでいたように感じました。
 私が気に入った演奏は「エフゲニーオネーギン」の「ポロネーズ」。これのチェロのソロがグッドでした。えっと、堀了介氏かな??やっぱりチェロの深めの音ってすきです。

 そして今回のメイン、ストラヴィンスキー「火の鳥」。今回はバレエの曲を演奏会用組曲に仕上げた1919年版。
 わくわくする様な音の流れ、メロディの変化、そう言ったものに耳が惹き付けられました。2曲目、王女たちのロンドではフルートソロがグッド。祝祭オケだけあって、良い演奏者を連れてきています。
 びっくりするのは3曲目「カスチェイ王の踊り」のギャップ。それまでの柔和な音楽からはガラリと変わって、メリハリの効いた音楽でした。石田様は演奏だけでなく、演奏姿までガラっと変わっています。 弓の毛がブチブチ切れたので余程力が入っているのが分かります。しかぁーし。そんなのはお話にもなりませんでした。

 終曲は段々と音量が大きくなり、こめられたエナジィが増えていく様がわかる様な曲なのですが、石田様の弓の毛がプチンプチンと切れていって、 最終的には「え???」ってくらい切れていました。演奏終了までそれで弾き切ったのですが、最後の挨拶の時にそ知らぬ顔して引きちぎろうとしているのですが、中々切れません。 顔は変化が無いものの、手を見ていたらかなりの力が入っていました。でも切れない。
 後ろに座っていた女性奏者が目に留めたのに気付いて石田様も「いや、なんか凄い切れちゃって」みたいな 苦笑いの表情で返し、それに気付いた客席が少し笑っていました。前の原田氏は「??」と言う顔で振り返っていました。なんだかほのぼのしてて良かったです。割合拘束時間の長い企画(だと思う。19日の演奏なんて 演出に凄い時間かかってそうだし)なので演奏者同士も仲良くなったのでしょうかね。オケの雰囲気がとても良くて良かったです。


















2005年3月23日 題名のない音楽会21
 公開録画


場所:メルパルクホール
司会:羽田健太郎 大木優紀
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第1部:「もしもプリンセスが○○だったら物語」
 (2005年4月24日放送予定)
指揮:藤野高位置、青島広志、前田憲男、羽田健太郎
ピアノ:羽田健太郎
ソプラノ:赤星啓子
ハープ:竹松舞
筝:渡理潤子、山名玲璃、大盛り孔美子
ヴァイオリン:礒絵里子
第2部:「羽田健太郎35周年企画」
 (4月17日放送予定)
指揮:現田茂夫
ピアノ:羽田健太郎
ヴァイオリン:徳永二男
ヴォーカル:渡辺真知子
ヴァイブ(ビブラフォン):前田憲男
コーラス:サーカス

★久し振りにチケットあたったぁ!!!と、大喜びしたくなる程当らない題名のない音楽会21公開録画のチケット。 今回はなんとか当りました!!うぅ、良かった……ここ一年くらい地力で当ててなかったから。
 そんな訳で臨んだ公開録画。やはりこの番組は公開録画を見に行くのが一番面白い。何故なら30分の番組を2本収録するのに今回は 2時間20分かかっている事からも分かるように、テレビで見ているのはほんの1部なのだ。だからとても面白い(けれどちょっとキケン)トークが カットされていたりする。だからこそここまで人気があるのかもなぁ。

 さて、第1部は「もしもプリンセスが○○だったら物語」。4人の編曲家がディズニープリンセスの物語をそれぞれ少しずつ変化させて 曲目を面白くしてしまおう・と言う企画。「眠れる森の美女」が「眠れぬ森の美女」になっていたり、「シンデレラ」が変身したら「傲慢なプリマドンナ」になっていたり、 中々面白い。しかも、石田様も指揮者を直視できないくらい面白い出来事があったり、今回はかなり面白い。 ただ、これ以上書いてしまうと本放送の楽しみが少なくなってしまうのでこの辺りにしておこうと思う。

 今回の収録はやたらPAが効いていて、少し五月蝿いぐらい。もしかしたら後半がポップスが多かったのでそう言う装置になっていたのかも。

 そうそう、石田ファン的放送での見所は、羽田氏編曲による「美女と野獣」。羽田氏はピアノを弾きながらの弾き振りなので、中々オケ全体に指示が出せません。 時折指揮台に上がっては指揮をしているのですが、やはりピアノを弾いている時は中々……ふと見ると、石田様が左手で入りを指示しているではありませんか! もしかしたらピアノを弾く羽田氏の後ろに映るかも?!と言うことで、珍しい指揮をする石田様に注目★です。

 そして後半。羽田氏と仲良しの音楽家ばかりをゲストに呼んだ豪華な収録。 石田様は「案外羽田健太郎オリジナルメドレー」等もノリノリに弾いていて、楽しそうでした。
 そして石田様の師匠、徳永氏の演奏も。昔羽田氏と2人で弾いて、羽田氏が大失敗をしてしまったと言うフランクのヴァイオリンソナタの第4楽章。 これがまあ、素晴らしい演奏。やっぱり石田様の師匠だからなのか、石田様と同様の雑味のない美しい音でした。なんと言うか、同じ系統の音がしますね。後ろで聴いていた石田様の とても真剣な表情が印象的でした。これは本放送をお楽しみに。

 私のお気に入りは前田憲男氏とサーカスが参加したフォスターの「Lullaby of Birdland」。なんと前田憲男氏がピアノではなく ヴァイブ(ビブラフォン)で登場。こんな事もできちゃうのですね。マルチだなぁ。
 この曲の時、石田様がジャジィにノっていたので、放送の時、チラリとでも映らないかと期待しているのですが、サーカス4人も居るからなぁ。。。 ちょっと期待できないかも。残念です。

 とにかく前半はとことん面白く、後半は羽田氏の昔話に花が咲く、と言ったコンサートでした。後半では 知らなかった羽田氏の一面も知れた気がしました。本放送はどうなっているのかの違いも楽しみです。























2005年3月26日
 スポットライトコンサート2005
石田泰尚(Vl)&トリオ・リベルタ


場所:横浜市港南区区民センター
 「ひまわりの郷」
出演者
 ヴァイオリン:石田泰尚
 サックス:松原孝政
 ピアノ:中岡太志
曲目:第1部 クラシック・ヴァイオリン
クライスラー
 美しきロスマリン
 愛の悲しみ
 愛の喜び
ポルディーニ作曲 クライスラー編曲
 踊る人形
クライスラー
 中国の太鼓
ラフマニノフ作曲 クライスラー編曲
 パガニーニの主題による狂詩曲より 第18変奏
ラフマニノフ
 2つの小品より ハンガリー舞曲
ドヴォルザーク作曲 クライスラー編曲
 我が母の教え給いし歌
ジョン・ウィリアムズ
 「シンドラーのリスト」のテーマ
ブラームス
 ハンガリー舞曲第5番
第1部プレゼント:モンティ/チャルダッシュ
第2部 トリオ・リベルタによる
 ピアソラ・タンゴの世界
アストル・ピアソラ
 アディオス・ノニーノ
 ブエノスアイレスの冬
 ブエノスアイレスの春
 デカリシモ
 鮫
 タンガータ
 ミケランジェロ’70
アンコール:スール
 ミロンガ・ピカレスク
 リベル・タンゴ

★待ちに待ったソロコンサートである。今日の曲目は前半はクライスラー特集、後半は御馴染みピアソラの特集である。

 前半では聴きたかった曲目を全部聴かせてもらってしまった感じ。
 愛の悲しみなど、御馴染みの曲もあったが、改めて石田様の演奏の素晴らしさを思い知った気がする。愛の喜びで気付いたのは、重音の美しさ、 速いパートとゆっくりのパートでの音の表情の違い(そう言えば実際の表情も違った気がする)の激しさ等。合唱で言う所のアルシス・テーシスの極端な感じも ソロならでは。多分オケでやるとこう言うのは凄く調節し難いと思うのだけれど、ピアニストとの連携が常日頃からバッチリだから出来たのかも。
 ポルディーニの「踊る人形」はワルツのリズムに乗って、本当に可愛らしい人形が踊っているような音楽。心なしか石田様もふわりふわりと舞っていた様に見えました。

 そして!私が聴きたかった「中国の太鼓」!この曲は是非とも石田様の演奏で聴きたかったのだ。やっぱり思ったとおり、キビキビした音色と 中国っぽさを最大限に引き出した演奏。この曲を演奏する前、石田様がちょっと気合を入れた様に思ったのですけれど、気のせい??
 気合が入っているような部分でドン!と音がすると思ったら石田様が足を踏み鳴らしていました。それがまたピアノの強いタッチの部分と重なってよかったです。もしかしたら あの足踏みは中岡氏にタイミングを合わせるためのものだったのかも。背中で伝えきれない事も有りますからね。

 ドヴォルザークの「我が母の教え給いし歌」は超有名曲でテレビ番組のテーマ曲(確か割合有名な人が弾いてた)とか、ANAに乗ると クラシック番組のテーマ曲(こっちもやっぱり有名な人が弾いてた)とかになっていますが、石田様の演奏でのこの曲もグッド。なんだか懐かしく、 切ないきもちにさせるのです。これもやっぱり溜めとかそう言うセンスが良いのだなぁ。良い音でした。

 で、司会の中岡氏も「唐突ですが」と言う感じで紹介した「シンドラーのリスト」のテーマ。私はこの曲が大好きで、いつ聴いても きもちが盛り上がってしまいます。相変わらず美しい音でした。

 第1部ラストはハンガリー舞曲第5番。ブラームスの超有名曲。この曲もゆっくりの部分と速い部分でかなりギャップがあって聴いていて飽きません。 何度も同じフレーズが出て来るのですが、聴くたびに違う感じがして面白かったです。それにしても、ハンガリー舞曲なのに色っぽい音がしていて、ちょっとドキドキしました。 新たな表現だなぁ。

 また、第1部と第2部で曲目の系統が違うと言うことで、第1部のラストに石田様からプレゼント!でチャルダッシュ。 うはぁ〜。またパワーアップしているのでは?このアレンジの仕方がとことんまで突き詰めてあるので気持ち良い。 こればっかりは演奏を生で聴くのが一番面白い。

 さて第2部。トリオ・リベルタによるピアソラタンゴ。今回はプログラミングがイイ。 ライティングは全体的に真っ暗な中に3人が浮かび上がると言う感じのライティングが多く、かなり雰囲気が良い。

 アディオス・ノニーノのピアノソロもグッドで、出だしは快調。松原氏のアルトサックスの高音がまろやかな音色で本当に良かった。 なんだかまた上手くなったのではないだろうか。遊びの部分等も自由に、楽しくやっているなと言う感じがして良かったです。 今日はちょっと松原氏に目を奪われました。

 そして、我らが石田様。やっぱりピアソラをやっているときの石田様はとても楽しそうですね。それまでのクラシックとは心なしか 音色の系統も変えていて、少し荒っぽく感じさせる部分があったりして、音のバリエーションが広がっています。そして綺麗なメロディのパートは とことん綺麗に。それがまたギャップがあって良いんですよね。

 デカリシモで、ヴァイオリンとサックスが1stメロディと2ndメロディを弾いているのですが、それぞれのメロディがメインに来る部分があって、 その入れ替わりが面白かったです。松原氏と石田様は時折顔を見合わせ、目を見合わせての確認作業が見えました。この3人の演奏スタイルは全員が全員一人で独立していて、それをぶつけ合って一つの 音楽を造ると言うものなのですけれど、それを楽しんでやっているのが見えてとても素晴らしいと思います。

 タンガータではピアノソロとサックスソロがグッド。あ、ヴァイオリンについて書いていないのは石田様の演奏が素晴らしいのは当然だから・と言う意識が館風にあるからかも(笑)。と言うか、 そうでもしないと石田様の演奏の話ばかりになってしまうし……(<既になってますよ)。
 この曲は石田様もノリノリで、私はユニゾンになるラストの部分が好きです。

 そしてラストはミケランジェロ’70。私、この曲大好きなんですよね。短いのですけれど、面白い曲だと思います。 石田様はこの曲も色々アレンジを利かせていて、面白かったです。崩し方が心憎いんですよねぇ。なんと言うか、こう、来てほしい所でぐっと来ると言いますか。やっぱりこの曲、良いなぁ。

 アンコールはスール、ミロンガ・ピカレスク、リベル・タンゴの3曲。ミロンガ・ピカレスクは待ちに待った新曲!!!そしてこれが面白い!!! ソプラノサックスがメインメロディなのですが、もう、松原氏俺の出番だとばかりにノリノリ。石田様もそれに対抗するがの如くノリにノっての演奏。 もしかしたらアンコールでテンション上がっているのかも。

 そして、リベル・タンゴはいつも通り迫力の演奏。あら〜……まぁたパワーアップしているんですけど。 この曲も何度聴いても面白い曲ですね。もう、石田様が面白がって難しく難しくしている様にしか思えません。 いつも来ているお客を楽しませようとしているのでしょうか。とても嬉しい心遣いじゃありませんか。 こんなにファンサーヴィスの良い演奏家って他に居るのでしょうか。演奏における最上級のサーヴィスは何度聴いても飽きさせない!って ことだと思うんですよね。

 今回は何度も石田様の演奏を聴いている人にとっても興味深いプログラミングだったと思います。 石田様の演奏で聴きたかった曲ばかり。リベルタの方はもう少し聴きたい気もしましたが、それはやっぱりリベルタのコンサートで聴こう・って事なのでしょう。 春のリベルタライヴも決定したし、これからもリベルタに請う!ご期待!
 そうそう、次は今回聴いた曲をオケで聴きたいなぁ……。ねぇ、どっかで弾かない?(笑)。それと、 またこう言うピアノとヴァイオリンでやるなら是非ともハイフェッツ編曲の曲をやって欲しいなぁと思いました。ポギーとベスが忘れられないのよねぇ(ま、アレは編曲ですけど)。



















2005年3月29日
 神奈川フィル特別演奏会
ハンス=マルティン・シュナイトの
 『田園』


場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
ソプラノ:臼木あい
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目:モーツァルト
 ディヴェルティメント ヘ長調 K.138
 モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」K.165
ベートーヴェン
 交響曲第6番「田園」ヘ長調 作品68

★ミューザ川崎のホールはワインヤード方式で舞台を抱き込んだ構成にあるため、舞台の上の方で音が 綺麗に響く。もしかしたら純粋に音を楽しむためなら2階、3階の方が良い音に聴こえるかもしれない。 ちなみに本日の私の列はとっても前★事務局に割り振られたので別に私が前が良い!!って言った訳じゃないのだけれど…… もしかして石田ファンって言うのバレてるのかなぁ。。。(汗)。
 前のほうの席って言うのはじかに音圧が感じられるばかりか、オケの息遣いとか、勢いが感じられる席なので、割とマニア向け。そう言えば前のほうの席は年配の男性が多かったなぁ。。。

 前半のモーツァルトは小編成。久し振りにコントラバスに黒木氏が居て、神奈川フィルの弦楽の首席が揃い踏みで嬉しい。 これぐらいの人数になるとひとりひとりの音が直接伝わってきて良いです。しかも、この人数ですから、音のまとまりが 段違いに良い。音がふんわりと纏まって、モーツァルトにぴったりの音色でした。アンサンブルの コンビネーションが良く、最近の神奈川フィルの演奏の地力を見せ付けてくれた感じ。

 2曲目のモテットでは臼木あい嬢が登場。秋に金聖響氏の指揮で同じ曲を演奏するので、その腕ならしかと思ったのですが、 いやはや、既に完成された素晴らしい演奏でした。声の響きがとても良く、ホールの上の方でキラキラとして振って来る様な感覚でした。 こればっかりは前のほうの席で聴いたのが悔やまれる。まあ、声の音圧は肌に感じられたけれど……。
 この曲は弦楽トップのソリもあり、石田様の音も聴く事が出来ました。やっぱり早い所神奈川フィルの内部が落ち着いて欲しいかも。 いつまでもコンマスがソロコンマス一人じゃ大変だろうし、ヴィオラのトップも居ないと……ねぇ。

 そして本日のメインはベートーヴェンの「田園」。田園のストーリィは音を聴いているとその場面をイメージできるものばかり。 御馴染みのメロディで始まった1楽章は何度も戻っていく主題を丁寧にすることでメリハリがついていて、面白かったです。
 2楽章でのヴィオラのメロディが素敵でした。しかし、1stヴァイオリンも2ndヴァイオリンもリズムを刻んでいるシーンでのメロディだったので もっと目立っても良かったんじゃないのかな〜とも思いました。

 そんな中今日気付いたのは、ちょっと激しい音楽の場面で弓が楽器に当る音が結構するのだな・との事。低音楽器になると弓を飛ばす時に音がしてしまうのは 仕方のないことだと思うのですけれど……。遠くで聴いていた時には気にならなかったので、気になるのは近くに居る人だけなんでしょうが……。

 もう一つ。石田様が弦を押さえる時、後ろに座っているお姉さんとは明らかに違う弦の違う音を押さえている・と言うシーンがありました。 これは多分、ある音を出すのに普通の人が押さえやすい位置で押さえるのを、一つ低い弦の高い位置で押さえる・と言うことをしているのだと思いました。 いや、私ヴァイオリンやりませんけど、指の位置関係からそうではないかと推測。これ、何か音が違うんでしょうか。ヴァイオリンに詳しい人解説お願いしまーす(笑)。

 「田園」は全5楽章の後半は一気に通してしまうので、曲の変化が面白かったです。特に4楽章の「雷雨」は大迫力でした。

 演奏後はシュナイト氏のおちゃめな面が出て、楽しいカーテンコールに。石田様もシュナイト氏に度々ちょっかいをだされ、その度に笑顔を見せていました。3曲弾いた後なのに 素敵な笑顔でした。やっぱり演奏者はこうでなくっちゃ。笑顔の演奏者の方が聴衆も演奏を楽しめますからね。
















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