2004年石田日記-4月

4月3日 神奈川フィル第205回定期演奏会@MMH
4月16日 トリオ・リベルタ プレイズ・ピアソラ@MMSH
5月3日 宮本亜門演出「キャンディード!」@東京国際フォーラムホールC
5月20日 題名のない音楽会21公開録画@人見記念講堂
6月19日 泉ゆりのピアノリサイタル@Hakuju Hall



2004年4月3日
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 第205回定期演奏会『巨人』


場所:横浜みなとみらいホール
指揮:若杉弘
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ソロ・コンサートマスタ:石田泰尚

曲目:モーツァルト/交響曲
 第29番 イ長調 K.201
三善晃/焉歌・波摘み
マーラー/交響曲 第1番 ニ長調「巨人」

★今日の指揮者・若杉弘氏は神奈川フィル初登場。それでこのプログラミングは何だろう。 モーツァルトとマーラーで三善晃をサンドイッチ。プログラムノートに寄ると「三大M」だそうだ。 そして期待通りの面白い演奏会だった。

 新年度一発目とあって、「そのりて(神奈川フィルの定期演奏会のパンフ)」が一新していた。今年のデザインはなんだか楽譜の表紙みたいにシンプルで素敵。 今回の表紙の色が真ピンクと言うのも好感度高し。この無難に行かない攻めの姿勢がいいですね。今の神奈フィルを象徴しているみたい。 次のパンフも楽しみ。

 一番始めのモーツァルトでは若杉氏とオケのコンビネーションもバッチリで、これが初共演だとは思えないほど。 若杉氏のしっかりとした指示が良かったのかもしれません。見ているこちらも若杉氏が指示した部分から 「ふゎ!」っと音が出て来るのが目に見えて面白かったです。後、今日は 若杉氏が出を指示して放置(って言ったら変だけれども)したパートも積極的に音楽を作っている感じがしましたね。好感度◎。

 第2楽章の前、どーも曲が始まらないと思ったら、若杉氏と石田様のコンタクトがイマイチ。石田様はどうやら 客席の五月蝿い咳に気を取られていた模様。確かにアレはこれでもか!ってくらいの咳の音がしていましたからねー。 アレは出演者じゃなくても気になります。別にしなくてもいい咳はしないで欲しいんですね…。
 でもそのおかげ(?)で第2楽章のしっとりとした静かな出だしが際立ったかも。 もしかしたらこれは狙いだったのかな・と言う気も。第3楽章、第4楽章は比較的直ぐ始まりましたしね。

 そして私が今日一番聴きたかった三善晃!!現代音楽好きな私はこれが楽しみでした。
 ぞくぞくするような音で始まりましたが、全体的に哀しい色をしていた気がします。これはテーマを考えたら仕方ないかも。 静かな部分と激しい部分の調和が取れていて良かったです。
 金管部隊がガンガン鳴らす部分もあって、メリハリのある曲でした。私の席は金管がガンガン響く席なので弦が遠くてちょっと残念。 中盤でヴィオラが「ねんねんころりよ」のメロディを弾く部分は弦がバッチリ聴こえたんですけどね。しかし、「子守歌」を変形させたモチーフが どこにあったのか、このビオラとその後のヴァイオリンの部分以外さっぱり分からず。やっぱり現代音楽はわからん(笑)。 ま、私は「分かる必要なんか無い」と言うスタンスですが。
 このゆったりと流れていく音楽は良いですね。この音の波に飲み込まれるような感覚が好きです。 特に三善氏の音は耳に馴染んでいるせいかすんなりと楽しむ事が出来ました。

 演奏終了後、若杉氏が右手を広げててくてくと歩いていくと思ったらなんと客席に三善晃氏が来ていました。全然気付かなかったよ…。 ど、どうしたんでしょうか。びっくりですよ。若杉氏が連れてきたのかしら。
 そしてやっぱり三善氏はカッコイイ音楽家でしたね。服装もちょっと洒落たシャツを着ていてカッコイイ。石田様とも握手をしていました。 作曲家的にはどう言う演奏だったのでしょうか。ちょっと気になりますね。

 さて、本日のメインは石田様もお好きな作曲家・マーラーの一番有名な曲「巨人」。聴きなれている音楽だけに色んな部分を楽しむ事が出来ました。 やっぱり予習はすべきですね。予習した方が数倍は楽しくなるはず。

 第1楽章はじっくりと弾(はじ)けるパワーを温存した出だし。オケからも「早くハジケたい!」と言う空気が伝わってくるほど抑制された演奏でした。
 始めのペットのバンダは始めは袖の中で。下手の袖が開いた奥からファンファーレが聴こえて来ました。このファンファーレ、 結構良かったと思います。今日のファンファーレの中では一番かも。
 1楽章のラストはまるでフィナーレの様な激しいフィニッシュ。石田様もカッコいいし、オケもカッコ良いし、素晴らしい。 この曲って、各楽章毎に拍手したくなっちゃうんですよねぇ。

 第2楽章になるとオケはノリノリ。2楽章の出だしってこんなにフォルテでしたっけ?と言うくらいのしっかりとした出だし。 ベースのどっしりとした音の上にヴァイオリンが乗るのですが、そこでもフォルテシモ。木管が入って少し弦の音が控えめになるのですが、それでも メゾフォルテと言うか、やっぱりちょっと大き目の音。もうオケが盛り上がりまくっているのが分かるのです。
 そうそう。この部分、だったかな?コンバスの入りに合わせて石田様が頭振ってました。多分この人ほっといたら全部弾いちゃうんじゃないでしょうか(笑)。 本当に曲の隅々まで研究し尽くしていて、大好きなんだな・と言うのが伝わってきました。だって石田様終始にこにこ(と言うかニヤニヤかも)してるんですもん。 演奏者が楽しそうだと聴いてる方は幸せですよー。他のオケメンも楽しそうでしたしね。素晴らしいことだと思います。

 マーラーの楽譜には不思議な指示が沢山あって、第4楽章でホルンがイキナリ全員立ったりするのですが、3楽章でもそのオモシロ演出はあります。
 やっぱりホルンなのですが、ラッパの部分を高く持ち上げて胸を張るような演奏をしたり、ちょっと吹きにくそう。更にその上を行くのがクラリネット。 三人がぐいっとクラリネットが地面に水平になるように持ち上げ、殆ど上を向くような角度で吹くのです。これが三人揃ってぐい!と上げるので 上から見ているととても面白い。吹きにくそうでちょっと気の毒なのですが、コミカルでとてもカワイイです。
 それにしても、マーラーは何を考えてこんな事を指示したのでしょうか。ここは目立って欲しいって事だったのかなぁ…。不可解ですけど面白いのでオッケーです。 面白くなければ誰もやりませんよね。

 3楽章では石田様のソロがチラリとあったり(1プルの裏の人も弾いていたし、ビオラもソロあったよ…それには言及しないのね…)。 ソロの時の石田様の音って相当大きいのではないかと思いました。
 管楽器って結構大きい音が出るのですが、それにヴァイオリン一本で対抗して渡りあってましたから。 しっかりとした音にいつでも優しい音色を乗せる事を忘れないのが石田様ですよねぇ…。なんか、ガンガン行くだけじゃないって言うのが好きです。

 ラスト第4楽章はけたたましいシンバルの音で幕開け。平尾氏がコレでもか!と言う感じでたたきつけていました。気持ち良さそ〜!
 パーカッションはフルメンバーで、ティンパニは2台。2台目は大分暇してましたけどね(苦笑)。
 そうそう。今日の公演でティンパニの藤本氏が退団。東京芸大の助教授になるそうです。そうか…忙しくなるからオケには乗れないのね…。 神奈フィルパーカッションの平尾・藤本コンビが見れなくなるのはとても残念(だからって終演後うっかり藤本氏に話し掛けちゃうのはどーかと思うよ?)。 でももしかしたらこれからも客演と言う形で登場する事があるかも知れないとの事。それを楽しみにしておきます…。あのキビキビした演奏する姿が毎回見れないのはとても残念ですが、 これからの活動も頑張って欲しいですね。

 中盤から後半にかけての部分で登場するヴィオラが重々しい音でカッコ良かったです。今日もトップの方が秋山氏ではなかったですよね(ちなみに女性の方でした…顔全然見えなかったんですけど)。
 今日のヴィオラは魅せ場が沢山でしたね。あ、コンバスもか。コンバスは黒木氏が一人で持って行っちゃった感がありますけどね(笑)。館風の席からはトップに居る黒木氏は 全く見えませんでした…(涙)。

 後半になればなるほど石田様は笑顔。もう、すごい楽しそうなんですよぅ。弾きたくて仕方ない、って感じでしょうか。普通にしているつもりでも 顔が笑顔になるのをとめられません(笑)。笑顔が素敵でしたわ〜。笑顔が!「にま」と笑ってるんです。
 アクションもいつもよりもオーバー。魅せる演奏がカッコイイ!!!フィニッシュのボウイングとかカッコ良すぎです。自分の画力が無いのが悲しいです。
 あまりに激しい演奏で、脳震盪を起こさないかちょっと心配になりました。頭もヴァイオリンも振りすぎだと思います。 でも石田様がこう言う曲で頭振ってなかったら「どうしちゃったの!?」と思うかも…。石田様がノってる印、かも。
 待機中もノリノリでした(羨ましい…客席だってノリたい!!)。 ここまで音楽楽しめるって幸せだよなぁ。演奏者側がコレだけ楽しんでいれば聴いている方も幸せです。

 若杉氏の指揮ともバッチリ呼応し合っていて、目でも楽しめましたし、神奈フィルらしいエナジィ溢れる演奏だったと思います。
 惜しむらくは会場に空席が目立った事。こんな面白いプログラムを聴き逃すなんて!絶対勿体無い!そう思いました。











































2004年4月16日 TRIO LIBERTAD PLAYS PIAZZOLLA


場所:横浜みなとみらいホール(小)
ヴァイオリン:石田泰尚
サクソフォン:松原孝政
ピアノ:中岡太志
曲目:第1部
ブエノスアイレス午前零時(ten)
デカリシモ(alt)
勝利 TRIUNFAL(alt)
カフェ1930 「タンゴの歴史」より(No Vn. sop)
ル・グラン・タンゴ(No Sax)
悪魔のロマンス(sop)
ブエノスアイレスの夏(alt)
 第2部
スール(南):甦る愛(alt)
レビラード(ten+sop)
ブエノスアイレスの冬(alt)
鮫 ESCUALO(alt)
組曲《タンガータ》(風神と水の精)
T:フガータ Fugata(sop)
U:孤独 Soleded(ten+alt)
V:終曲 Final(sop+alt)
 アンコール
リベル・タンゴ(alt)
ミケランジェロ70(alt)
()内は松原氏のサクスフォーンの種類。3本持ち替えでした。

★本日のお客さんは凄い。何って17時にはホールのモール口に列を作ってるんですよ!凄すぎです。 花束持ったお姉さま満載でとっても華やかです。

 さて、トリオ・リベルタ、凄いのはお客さんだけでは有りません。ご本人たちの演奏が素晴らしいんです。
 今日の演奏は特に凄かった。三人の息はぴったり、客席と出演者が一体になった瞬間があった演奏会でした。

 さて、タンゴと言う曲の性質上、曲に対してどーのこーのと言えるものではないので、今回は(も?)雑感中心になります。
 ただ一つ言うならば、今日のトリオ・リベルタは自身を持ってお薦めできます!このタンゴと言う刹那的な要素を多く含む ジャンルですから、是非とも一度生で聴いて頂きたいです。次回は5月末に静岡、6月20日に原宿です!

 1曲目の「ブエノスアイレス午前零時」では真っ暗な中三人が登場。ライトの一つも点く前に演奏が始まります。
 次第にぼんやりとしたスポットライトが当り、タイトルにぴったりの演出でした。まるで本当に深夜に演奏を聞いているかのような感じ。 サックスの松原氏は左手でサックスを操作しつつ、右手でなにやら風の音を出す楽器を動かしていました。 た、大変そう……。
 証明が真上からのスポットライトのみだったので石田様の表情はよく見れなかったのが残念でしたが、この神秘的な 雰囲気で1曲目を始めたので掴みはバッチリでした☆

 「デカリシモ」では石田様は軽やかにステップを踏んだり、出番を待っている間もノリノリでした。
 いやー、石田様、弾いてる時は勿論なんですが、出番待ちの間も早く弾きたい!みたいな空気が漂ってました。 楽しんで弾いているのがこちらにも伝わってきました。

 「ル・グラン・タンゴ」ではサックス無しでヴァイオリンとピアノで。元々はチェロの曲で、とても有名な曲です。
 これは見ているこちらが楽しくなってくるくらい石田様が楽しそう。弾きながら口あけて笑っていましたね。その笑いを押さえ込もうとするのですが、 思わず出てる、みたいな笑顔が見られました。
 そして笑いながら楽しそうに難しい事をやってのけるんですよ!この人は! きっと難しいフレーズとかを弾くのが楽しくてたまらないんでしょうね。中岡氏とのコンビネーションも抜群で、しばしば後ろを振り返り、 背中で合わせ、信頼した関係なんだな〜と言うのを感じました。
 そして演奏終了後には勿論出ました「ヴァイオリン回し」。なんだかいつもよりクルクル回ってた気がします。石田様的にも上出来の 演奏だったみたいです。くぅ!こういう時に立ち会えるって最高です。

 前半は三人とも真っ黒なシャツで。石田様はサテン地の開襟シャツに黒のカマーバンドでサスペンダーと言う格好でした。この衣装初めて見るなぁ……。
 前半は中岡氏のちょっと硬めのMCが入りました。ピアソラの音楽の変遷を見た感じがします。ピアソラってクラシックに転向しようと していた時期があったのですね。でもそれを「お前の音楽は個性がない。昔やってたタンゴを弾いてみろ」と言われ、そこに 自分の音楽を見つける……それでもずっとクラシックに憧れがあったらしいです。うぅん。切ない話じゃないですか。

 後半はそれぞれ好きな衣装を着て。石田様はライトが当った部分は青く光る不思議な生地の薄紫の開襟シャツで、その上に黒いベストを着ていました。 黒ベストの右胸に小さなヴァイオリンのブローチが付いています。こんな所まで石田様はオシャレ。
 中岡氏は白地にグレイで模様の入ったシャツ、松原氏はクリーム色っぽい白地に茶色で細かい花柄(?)の入ったシャツでした。 三人三様の個性がありますね〜。
 そう言えばMCで中岡氏が松原氏の体型のことに触れると「反論させて下さい!」とマイクを奪い取りトーク。タンゴって体力使うんですね(笑)。
 その後に中岡氏が「後で石田くんにも喋ってもらいましょう」と言ったのですが、その時は「絶対無理無理。どうせ喋んないよ。」と半分諦めモードでした。 これでもファンです(笑)。

 後半1曲目の「スール:甦る愛」では哀愁漂うメロディのヴァイオリンソロがあったり、中々に石田ファンには嬉しい曲。 そう、後半の曲はヴァイオリンソロ、サクスフォーンソロのそれぞれが多い曲(つまり、そう言う編曲にしている曲)が多かったと思います。
 「ブエノスアイレスの冬」等はラストに向けての盛り上がりがとても楽しめましたし、「鮫」では石田様のヴァイオリンが光りました。もう、この曲だけは申し訳ないけれど「石田 on STAGE!」状態。 ガシガシ弾く石田様も高音部を思い切り弾き倒す石田様も繊細な動きも、全て楽しめます。ああ、石田ファンで良かった……。

 最後の組曲《タンガータ》は第1部と第2部が切れ目無しに演奏されました。その為、第2部が終わった所で拍手が来ちゃったりしたのですが、 私はその後の第3部が素晴らしかったと思います。これ、前半は第2部の「孤独」の様な寂しげな雰囲気を引き摺っているのですが、 後半、段々と盛り上がる様は正にタンゴかくあるべし!と言う大迫力。これ、好きですね〜。

 アンコール前のMCで中岡氏がとうとう(笑)石田様を喋らせました!お決まりのご挨拶の後「トリオを組んでから3年……いや違う4年目?(ここで二人に確認)になるのですが、 これまで喧嘩もせず(ちょっと笑う。会場も暖かく笑う)やってきました。これからも長くやっていきたいので宜しくお願いします。」と言うような事を仰いました。 そうか〜。これからも「長く」やっていくつもりなのね!これからが楽しみだわvv
 更に中岡氏に振られたソロアルバムの件については「まだ買ってない人は買って帰って下さい。」とオチャメな発言も。そうしたら「今年の秋に二枚目が出るかもしれないので。」 とか言ってました。本当に二枚目が出るんですか?出るならいくらでも買います!(笑)。そして二枚目は是非ともクラシックで!タンゴでもいい!

 さて、アンコールは超有名曲の「リベル・タンゴ」から。
 これ、ピアノもサックスもノリノリで、始めヴァイオリンが飲まれかけたんです。しかし、流石石田様。ヴァイオリンが主役の部分にきた瞬間に音が溢れ出し、 一番目立っちゃいました。流石……カッコ良すぎです。メロディの主導権を握ったヴァイオリンは堂々としていて、それでいて 他のパートに譲る時は譲って、とてもカッコ良かったです。
 そしてこの曲でも出ました!演奏が上手く言った時の印「ヴァイオリン回し」!先ほどのグラン・タンゴの時よりは控えめな回り方でしたが、 良い演奏だったのでしょう。はい。私もいい演奏だと思いました。

 最後の「ミケランジェロ70」では中岡氏が演奏前のMCで「石田君がいつもキリマンジャロとか呼ぶから間違えて言いそうになっちゃうんだけど、ミケランジェロです。」と 石田様のお茶目なところを暴露。く……もう私、この曲の事、キリマンジャロって呼びますから!もう誰がなんと言おうとキリマンジャロで!
 そして演奏も最後だからか、全体的に激しい演奏で、大満足でした。やっぱり最後にこう言う「気持ちいい」曲を聴けるといいですね。

 今日の演奏会は会場の雰囲気もなんだか暖かく、アットホームな感じの演奏会だったと思います。トリオ・リベルタが有名になると嬉しいけど、 こう言う雰囲気の演奏会が出来なくなっちゃうと淋しいな・と思いました。だから今くらいで……(笑)。

 昨年のジャズプロに出たのが相当効いたみたいで、今年もジャズプロに参加するとの事。今年こそは聴きに行くぞぅ!と心に決めた館風なのでした。











































2004年5月3日
 ブロードウェイ・ミュージカル
 キャンディード


場所:東京国際フォーラムホールC
作曲:レナード・バーンスタイン
指揮:デヴィッド・チャールズ・アベル
演出:宮本亜門
キャンディード:中川晃教
クネゴンデ:鵜木絵里
岡幸二郎
宮本裕子
新納慎也
坂本健児
佐山陽規
岡本泰寛
郡愛子
辰巳琢郎
他総勢40名

★このキャンディードに石田様はコンマスとしてピットに入っています。ええ、石田様がピットじゃなかったら確実に 見に行ってません(笑)。おかげで五月の神奈川フィルに石田様が居ないんですよね……。
 今日の石田様は黒い開襟シャツに黒いズボン。カマーバンドもサスペンダも無しでいつもとちょっと違います。
 ちなみに館風の結論としては東京国際フォーラムホールCは三階席ではどの席でもコンマスは見えません。1プル裏は良く見えるんですけどねー。 石田様となにやらにこやかに喋っているのは見えるんですけど、肝心の石田様が見えないんですってば!!!(<何を見に行ったの?)

 ちなみに館風が見えたのは常に→の様なオデコと髪の毛だけでした。時々左側に反って弾いたり、腰を浮かせたりすると顔とヴァイオリンが見えるように なるのですが、それは本当に少しだけでした……しょぼん……。
 それにしても、石田様は休憩時間や始まる前にちょっとさらっていたりしたのですが、その音がとても澄んで響いて三階席まで飛んで来ました。 やっぱり石田様って音、大きいと思うんですけど……(<弦楽器に詳しくないので解らない人)

 さて、石田様トークもこの辺にして(笑)本編の感想に参りましょう。
 基本的に台詞だけの時や弦楽器が無い時は舞台、弦楽器が入って盛り上がり高音になる部分は石田様、と言う風に分担して見ていました。 高音になる時だけにしていたのは、そう言うときじゃないとどうせ見えないからです(笑)。

 序曲は聴きなれた曲ですが、やっぱり新鮮でカッコイイ音楽。ピットの中で狭いと思うのですが、弾(はじ)けんばかりの演奏。
 指揮者もキビキビとしていてカッコイイ。スマートな指揮を振る方でした。

 「キャンディード」の内容は、何と言うか、色んな哲学の紹介、と言う感じでしょうか。メインは「楽観主義」に対する批判、ですかね(<なんせパンフが2000円もするので買えない。ミュージカル のパンフってどうしてあんなに高いんです?)。しかし、物語の始まりは楽観主義を刷り込まれた4人の若者(キャンディードとクネゴンデ、クネゴンデの兄、小間使い)から 始まります。

 楽観主義は大体「全ての原因と結果の結合としてこの世界が有り、この世界は最良のものである。」と言う 立場に立つようで、それを信じてキャンディードは流れに身を任せて生きていきます。だから、すぐ人を信用してお金をまきあげられたり してしまったりします。それでもキャンディードを助ける人が居たりするものだから「あの不幸もここでこの人に出会うためだったのだ」と言うように 考えてしまい、楽観主義を捨てようとしません。
 そして、色んな人と出会ううちにキャンディードも色んな考え方に触れ、自分が信じている楽観主義について考え始める……そう言う感じのストーリィです。
 いかにも哲学者(ヴォルテール)が書いた小説、と言う感じですね。宗教が人を殺す事を禁じながら「栄光の殺戮」を繰り返した事も織り込まれていたりして、 社会に対する疑問等、色々と考えさせられる物語だったと思います。 これ、考え方の元ネタをきっちり解って見ていたらかなり面白いのではないかなぁ・と思いました。

 さて、先日(4月18日)の題名のない音楽会21でバッチリ予習をしていただけに、キャンディードとクネゴンデの二重唱や、クネゴンデのソロは バッチリしっかり聴く事が出来ました。
 特にクネゴンデのソロ(着飾って浮かれましょ)は素晴らしかった!鵜木さんの演技は妙にリアルで、ちょっと泣けました。 面白おかしく歌っているからこそ涙を誘われるんですよね〜。わざとらしくなく、生々しい、人間臭い醜い演技が良かったです。勿論歌も素晴らしいですよ。 本当にこのソロは素晴らしかった。その一言に尽きます。圧巻。
 テレビで見た時は演技過剰に思えた中川氏のキャンディードも舞台の上では丁度いい演技になっていて、良かったと思います。ドタバタ気味の演技が多いにも関わらず、 声がしっかりしていて、良かったです。いやぁ、出演者の方々って凄いですよね。あれだけ走り回る上に歌うなんて……。
 他の脇役も中々に味のある演技の方が多く、とても面白かったです。笑いどころで自然に笑えるような舞台っていいですよね。

 要所要所に入る石田様のソロも素敵でした〜。石田様の音ってやっぱり響きが違うんですよね〜vvふっと耳にヴァイオリンの音色が飛び込んできたかと思うと 石田様のソロなんですよねぇ〜。パートで弾いている時よりもソロの方が耳に残るのはどうしてなんでしょうか(<それはお前が石田ファンだから)。とっても 不思議です。
 今日も石田様はノリにノった演奏のようでした(<頭の先っぽしか見えていないからなんとも言えず)。ピットの中と舞台の関係も和やかで良い感じに見えましたし、 良い舞台だったと思います。

 冒頭に「石田様がピットに入ってなきゃ聴きに行ってない」と書きましたが、聴きに行って本当に良かったと思います。 何よりも音楽が素晴らしく、物語も興味深いものでした。ゴールデンウィーク、お暇な方でまだ見に行っていない方は是非。 自分の考え方がどこから来ているのか見直すきっかけになるかもしれませんよ。
























































2004年5月20日
題名のない音楽会21公開録画


場所:人見記念講堂
司会:羽田健太郎 大木優紀
指揮:金聖響
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

第1部ゲスト:セルゲイ・ナカリャコフ(Tp)
 6月20日放送予定
第2部ゲスト
 森麻季(sop)
 経種廉彦(ten)
 アナスタシア・チェボタリョーワ(Vn)
 羽田健太郎(pf)
 6月13日放送予定

★本日も曲目は放送まで秘密。石田様も忙しいし、降り番かしら〜??と思っていたのですが、やっぱり石田様が乗り番でした。 神奈川フィルとしてもやっぱり全国放送に石田様は欠かせないのですね。

 第1部はセルゲイ・ナカリャコフアワーと言う感じ。指揮の金氏は彼と一緒に収録もした仲らしく、とても仲が良いのだとか。「ラスト・サムライ」を一緒に見に行った らしいです。中々にミーハーなんですね(笑)。
 ナカリャコフ氏は中々にお茶目な方らしく、かわいい冗談を連発していました。放送でどれだけ使われるかは疑問ですが……(笑)。
 金氏は大阪センチュリー交響楽団の専任指揮者と言うのが影響しているのか、軽い関西弁で、とても面白い方でした。指揮を見るのは何度目かですが、 トークを聞くのは初めて。こんなに楽しい方だったんですね。指揮者はトークも出来なきゃだめなのかしら(笑)。

 さて、本編の方はナカリャコフ氏の超絶技巧オンパレード。とんでもない速さのスタッカート有り、循環呼吸による50秒間吹きっぱなし のデモンストレーション有り、とても面白かったです。
 テレビ音楽の「その時歴史が動いた」や連続テレビ小説「あぐり」のテーマなど、トランペットが印象的な曲の演奏も(そう言えばどっちもNHKだがオッケーなのか??)。
 この二曲では石田様もノリノリっぽい感じで良かったです。ソリストをちらりと気にしてタイミングを合わせたり、 これぞコンマス!の本領発揮。こう言う細かな調整力もコンマスには必要不可欠なんですね。

 最後に演奏したJ.=B.アーバン作曲の「ヴェニスの謝肉祭」の主題による変奏曲はナカリャコフ氏のトランペットソロの素晴らしさも去る事ながら、オケも盛り上がって 演奏が素晴らしい。石田様がとても楽しそうに演奏していたのが印象的でした。金氏もノッているのか、足が跳ねていましたし、大柄で手が長いので振って居る姿が見ていて気持ちいい。爽やかな指揮でした。 金氏、笑顔も爽やかでしたよ……石田様と演奏後に握手した時とか(あ、これは第2部の後ですが)……笑顔が素敵です。

 さて、少々のハプニング(ノーマル日記参照)が有りましたが無事始まりました第2部。
 「クラシック・ラブソングス」と題してクラシックの「愛」を歌った曲を中心に。それぞれの演奏者が選んだ曲も演奏したりして、バラエティ豊か。

 実は森麻季嬢の演奏を生で聴くのは初めてだったのですが、素晴らしい!あのほそっこい身体のどこからあんな豊かな声が出て来るのか、と言うほどの声。 動きの一つ一つもゆったりとして優雅で、風格が有りました〜。流石、ですね。今回チケットが当たらなかったのはそれで倍率が上がったのかしら……(邪推)。
 森嬢はトークも正直で明るい話し方で好感が持てました。カッコ良いなぁ。経種氏も軽妙なトークで楽しい方でした。しかし 演奏が充実しているだけに、トークがどれだけ使われるのかは疑問。勿体無いわぁ〜。

 収録が押しに押しましたがちゃんと最後まで観覧できて良かったです。今日は石田様がトークに笑ったりして妙に笑顔も多かったですし、得した感じでした。ファンって、 こんな事でも幸せになれるんですね……ソロが殆ど有りませんでしたけど、それでも満足できました(笑)。
























2004年6月19日 泉ゆりの
 ピアノリサイタル  ‘ソロとトリオ’


場所:HAKUJU HALL
ピアノ:泉ゆりの
ヴァイオリン:石田泰尚
チェロ:阪田宏彰
曲目:第1部
ドビュッシー 前奏曲集より
 「パックの踊り」
 「沈める寺」
 「仙女たちはあでやかな踊り子」
リスト シューベルト歌曲
 トランスクリプションより
 「セレナーデ」
 「水に寄せて歌う」
 「ます」
ラヴェル
 ラ・ヴァルス
第2部
ショスタコーヴィチ
 ピアノ・ソナタ 第1番 作品12
 ピアノ・トリオ 第2番 作品67

★石田的週末生活一日目。私も初めて行くHAKUJU HALL。代々木八幡の駅から徒歩10分と言う所でしょうか。商店街を抜けると 直ぐホール、と言う感じで、ガラス張りの建物がとてもカッコ良い。
 ホールの内装も不思議な雰囲気ですみだトリフォニー小ホールと匹敵するぐらい(私はあの小ホールが好きだ)の素敵さ。 小さいが響きが良さそうなホールはとても好感が持て、300席程ですが、椅子もとても座りよく、身じろぎしても音が出ないクッションが このホールが本当に演奏者、観客の事を考えて作られたんだなぁという事を感じさせました。

 前半はソロで、後半はショスタコーヴィチの曲でまとめて。
 第1部開演前に彼女のメモリアルビデオみたいな物が流れて、とても面白い試みだと思いました。幼い時の発表会の写真等も流れたので その当時を知っている人には懐かしく、知らない人には「こんな子どもだったのね」と知ることが出来たと思います。
 泉嬢の師である伊藤恵嬢やヤマハマスタークラスの講師のコメント等も出て来てこれから始まる演奏に期待がふくらみました。

 ドビュッシーから始まったソロは瑞々しい若さ溢れる演奏。曲によって泉嬢の表情が違うので「きっとこの曲は特に好きな曲なんだろうなぁ」と言うのが垣間見えました。
 泉嬢は淡いレモンイエローのドレスで登場胸から右半身にオレンジ色のバラの模様が入っていて、とっても爽やか。写真より本物の方が可愛いなー。

 ドビュッシーでは「沈める寺」の陰鬱な雰囲気がとても素敵で、最後の不自然な和音が終わりを告げるのに相応しく、聴いていて心地よくなりました。次の曲に入るまでにもう少し静寂を楽しみたかったぐらい、 この曲、気に入りました。

 リストは最早原曲が見えないのでは無いか、と言うぐらいのアレンジが施されていて、プログラムノートで泉嬢が「素朴な曲をこんな難曲にしてくれちゃって・・」と 書いている通り、ピアニストは一瞬たりとも気が抜けないと言う曲でした。真ん中の「水に寄せて歌う」では長調と短調の入れ替わりが凄く、いつの間にか 入れ替わっていて、それがまた何度もあるものだからクラクラしました。ピアノ曲って、面白いんですね。

 ラヴェルは黒雲の隙間から大広間でワルツで踊る人が見え、黒雲が晴れていく、と言う情景を描写した曲らしいのですが、まさにそう。 始めは黒雲そのものの音が思い切りの良い演奏で、びっくりさせられました。
 黒雲を表現する音とワルツの明るく華やかな音が本当に同時に聴こえるので混乱しつつもとても面白かったです。 でも、聴いている方も混乱しそうなのに、弾いている方はこういう同時進行を内部でどう処理しているのかしらと不思議でなりませんでした。 ピアニストって凄いんだなぁ……(<既に両手が別々に動く事を忘れた手を持つ女)。

 後半のショスタコに入るともう完全に現代音楽(正しくは近代のはずですが)で、もう色んな技法を試してみたんだと言うような盛り沢山な 内容。
 これはショスタコーヴィチが二十歳の時の作品で、これを二十一歳の泉嬢が弾く事に意義を感じました。

 さて、お待ちかねのトリオ。CDでバッチリ予習していた私ですが、出だしの高音、ヴァイオリンだと思ってましたごめんなさい。
 まさかチェロだったなんて!!!!
 チェロが不自然な高音をひねり出し(と言う表現が相応しい)、それよりも低い音をヴァイオリンがぶつけていく。この辺の逆転現象がなんともショスタコらしい。
 そう言えば泉嬢は激しい音色の部分を弾く時に鍵盤をグーで殴りつけていました。うわぁーカッコイイ!グーでグリッサンドなんて、ちょっと手が痛そう ですが、なんと言うかとっても男前(褒めてます)。あんな華奢な体からどれだけのエナジィが出て来るのかしら・と見ていて楽しくなりました。

 そして、私が驚いたのは第2楽章。とにかく速い。私が聴いていたCDよりもかなり速い。もしかしたら演奏者の平均年齢が低いからかも。それにしても迫力の演奏で、文句なし、 「凄い」演奏だった。
 蓋が全開ピアノに対等に渡り合うヴァイオリンとチェロ。ガンガン来るピアノにピチカートで音量面で太刀打ちできるなんて初めて知りました。 これはやっぱり一流の演奏者である石田様と阪田様だからこその演奏なのでしょう。

 第4楽章は序盤はヴァイオリンとチェロをリズム隊にピアノが弦楽四重奏の第8番でも出てきたメロディを奏で、ある所で メロディをヴァイオリンにバトンタッチ。違うメロディなのですが、この入れ替わりが面白い。
 石田様と阪田様が二人揃ってリズムを取っていた時は お互いに殆ど呼吸だけで音を合わせていた様に感じました。やっぱりお互いに慣れているんですかね。 お二人のコンビネーションはバッチリで、 時折顔を見合わせてアインザッツを出す場面もありました。お二人とも相手の呼吸が分かっていると言うか、一分の隙も無いアンサンブルでした。

 トリオは気迫の演奏で、間違いなく今日のナンバワンでした。やっぱりこう言う曲目は本当に楽しい。今回は特に私の好きな作曲が が並んでいたので演奏会全てを充分に楽しめました。






















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