場所:横浜みなとみらいホール
指揮:外山雄三
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:石井啓一郎
ソロ・コンサートマスター:石田泰尚
曲目:シューベルト
歌劇「悪魔の別荘」序曲D.84
外山雄三
独奏ヴァイオリンとオーケストラのための
「悲歌」(2004年 改定初演)
レスピーギ
交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの祭り」
★横浜みなとみらい線が開通して初めてのみなとみらいホールでの定期である。これでお客さんもアップ…したのかな?
でも、フラっと寄って聴いて帰る・なんて事も出来るようになりますね。ま。京浜東北線を使っている館風には全く関係ないですが(笑)。
1曲目のシューベルトは今回予習なしだったのですが(っていつもやんか)、短く纏まっていたのと派手な曲だったのとでとても楽しめました。
外山氏のスッキリした指揮にオケの反応がとても良くて、見ていて楽しめました。
指揮の外山氏作曲の「悲歌」は、ソリストの石井氏が大迫力。外山氏との息もバッチリ。初演の時もこの二人の演奏だったと言うのですからそれも納得です。
始めの気が狂ったかのようなフルートにびっくり。フルートってあんなに大きな音が出るんですね…。
弦楽がビシィ!と揃っていて嬉しくなりました。やっぱり石田様がコンマスだと音が違います。そう言えば黒木氏以外の弦の首席は揃っていましたね。
おそらくレスビーギでそれぞれソロがあったからでしょう。嬉しい事です。
後、ティンパニがドラム用のスティックで思い切り叩いていてびっくりしました。確かに普通のバチ(えっと、アレ何て言うんですかね…)で叩くよりずっと
鋭く派手な音になっていました。よくよく見ていると出番が無い所でティンパニの音を調節していて、それがかなり忙しそうでした。
休んでいる間もずーっとティンパニに耳を当てて音を確かめていて、休む暇なし。普段の曲ではティンパニの出番が少なかったりして座っている姿の多い藤本氏ですが、
今日の曲はどれもティンパニが大活躍だったので大忙しでした。
中盤ではオケが日本的なメロディを奏でて、それまでのちょっとざわめいた心を落ち着かせてくれました。外山氏の曲は
いつも日本的なメロディが入っていて、どこか落ち着くんですよね。
休憩を挟んではレスピーギを2曲。これは後「ローマの松」と合わせて「ローマ三部作」と言われるものの2曲。
今回レスピーギは予習して行ったので、かなり楽しめました。・・・と言うか、予習と称して聞いた瞬間に
「これ、金管がめちゃ難しいじゃんか…。」と思って純粋には楽しめなかったり(<超失礼)。
ところがどっこい(<ってお前いくつだよ?)。今日の神奈フィル金管は一味違います!!凄いです。特に「ローマの祭り」の3階右に居たバンダは最高!!素晴らしいファンファーレでした。
天上から降り注ぐ太陽みたいな音がしていて、思わず上を見上げてしまいました。バンダ自体はよく見えなかったんですが。
ホルンソロも「これが金管楽器か?!」とびっくりする様なメロディをサラリと吹いていて、うっとりでした。
「ローマの祭り」の方はパーカッションは10人、センターにマンドリンが入り、チューバ:1、トロンボーン:4(Basstrb含む)、トランペット:4、ホルン:5と言う
強化体制。バスクラやバスファゴット(でいいの?!アレ?)等、低音が強化されていた気がします。ピアノとパイプオルガンも入っていましたから、「ローマの噴水」に較べるとかなり音が重々しい。
「噴水」の方はチェレスタとハープ2台が居ましたから、上の方でキャラキャラ鳴っている音が目立ったんですが、「祭り」はかなりの重低音が響いていました。
神奈フィルの得意な大音量の部分もたっぷりで、以前神奈フィルの芸術監督だった外山氏の、オケの特徴を知り尽くした選曲でした。
「祭り」は殆どのパートでソロがあるような曲で、石田様のソロも有りました。第4部の部分に当る所に石田様のソロがあるのですが、そこまでが結構長い。だからなのか何なのか、
石田様のソロが始まった所でちょっとウルッと来てしまいました。きっと待ち望んで聴けた・って言うのと石田様の奏でる切ないメロディがストーン!と来たんでしょう(<どんなだ)。
もう、切ない系のメロディは石田様が弾く為にあるようなものですな!私、こう言うメロディを石田様がソロで弾く時はいつも泣いている気がします。
割と本当の話なので洒落になりません(苦笑)。
ヴィオラのソロもヴィオラの深みのある音を楽しめて良かったです。ちょっとしか無かったのが残念ですね。まあ、どのソロもちょびっとずつだったんですが。
山本氏のチェロのソロもカッコ良かったなぁ。石田様と一緒に合わせて弾いたりの部分も息が合っていて流石!って感じがしましたし。
そう言えば小宮氏もちょろっとソロ(と言うかアンサンブル)が有りましたね。
トロンボーン・ソロのユニークなメロディもとても楽しく、目で見ても楽しめました。ああいうのが突然入ってたりして想像出来ない所がいいなぁ・と思いました。
あ、後いいなぁ・と思ったのはクラリネットの二人(森川氏と斎藤氏)が「祭り」のラストで二人揃って同じ動きをしながら楽しそうに吹いていた所ですかね。
楽しそうな演奏家と言うのはそれだけでこちらも幸せにしてくれます。
元祖・楽しそうな演奏家(笑)石田泰尚様ですが、今日もノリノリでした。これだけ面白い曲で乗るなって方が無理ですよねぇ〜。
私は一緒にノリたいのを我慢して頭振るのは石田様にお任せいたしました(笑)。
石田様って、もう弓捌きから指遣いまでいちいちカッコ良いんですよね。他の人には無い舞台人としての気骨を感じます。体の隅々まで神経が行き渡っているところがいいんです。
自分のパートが無い時にはじっとヴァイオリンを伏せて顎を少し引いている。
もしかしたら目も瞑っているかもしれません(そんな所は見えるわけも無く)。背筋がピ!っと伸びていて
「きっとスラリとした音が出るんだろうなぁ」と思わせる。そう言う演出がファンには嬉しい。
それで勿論演奏は極上。これぞプロ!これぞ舞台人!
「祭り」のフィニッシュはなんとなくファンも「くるぞくるぞ〜」と思いながら聴いている訳なのですが、それで「来た〜!!」
と言う演奏をぶつけてくれるので、聴いていてとても気持ち良い。
勿論予定調和なわけではなく、想像以上のものを運んできてくれる・そう言う演奏なのです。
今日の神奈フィルは、と言うか最近の神奈フィルはどんどん石田様の演奏のように、期待に応えてくれる・期待以上のものをぶつけてくれるオケに
なっていると思います。これぞ石田効果か?!(笑)
とにかく今日の演奏は素晴らしかった。こう言う演奏が出来るのなら7月になっても(うわ!)大丈夫だなぁ・と
思ったのでした。
私は神奈フィルを応援します★