2003年石田日記-10月〜11月

10月30日 ★YAMATO弦楽四重奏団@津田ホール
11月1日 ★音楽の処方箋@ひまわりの郷
11月3日 ★神奈川文化賞・スポーツ賞贈呈式・祝賀音楽会@KH
11月14日 ★神奈川フィル第200回定期演奏会@MMH
11月21日 ★SHONAN DAN CONCERT@よこすか芸術劇場



10月30日
 結成10年を迎えて〜
 YAMATO弦楽四重奏団
 2003コンサート


場所:津田ホール
出演:YAMATO弦楽四重奏団
 1st Vn:浜野考史
 2nd Vn:石田泰尚
 ヴィオラ:榎戸崇浩
 チェロ:阪田宏彰
曲目:
ハイドン/弦楽四重奏曲「ひばり」
 ニ短調 作品64-5
ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲
 第8番 ハ短調 作品110
ブラームス/弦楽四重奏曲
 第2番 イ短調 作品51-2

アンコール(1st Vn:石田泰尚)
 YAMATO弦楽四重奏団10周年特別企画
 (編曲:飯田俊明)
 日本民謡/ソーラン節(編曲:幸松肇)

★1年10ヶ月振りになるだろうか。やっとこの日がやってきた。昨年一月、YAMATOの演奏を聴いてからは 石田様の才能が存分に発揮できる場はこう言う場なのだろう・と漠然と思ってきた。そして再びその舞台で石田様の演奏を 聞く事ができた。そして、一年待たされただけはある、中身の濃い、素晴らしい演奏会だった。

 始めのハイドンは思ったよりもサラリ、とした風合いだった。ソロ扱いである1st Vnの影で下3パートの連携が素晴らしい。 支えあい、お互いを確認しあう空気が感じられてアンサンブル好きの館風的には大満足。このお互いを思いやる空気、そして緊張感がたまらないのです。これぞ少人数演奏の醍醐味。
 2楽章では、1楽章の軽やかな感じから一転、すこしゆっくりとしたメロディ。石田様の表情も音色と同じ表情に。あんな貌をされたらこちらまで 悲しくなってしまいます…。実際何がなにやら分からないまま館風は2楽章で泣いてしまいました。うーん。なにか違うだろう自分(笑)。
 3楽章になると、2nd Vnも大活躍★なんだか浜野氏と較べて石田様の音色(おんしょく)はかなり優しい音色みたい。なんだか、きっちり音は立っているんだけど包み込むような、不思議な音色です。 これがきっと館風が石田様のヴァイオリンを好きな理由なんでしょうねぇ。石田様にしか出せない音色って言うのが好きなんでしょう。
 予習したCDでは1stの音だと思っていた音も実際は2ndが弾いていたり、かなり楽しめました。これからは予習もDVDで行なうか楽譜を見ながらする必要があるかな…。
 4楽章は段々演奏者も乗ってきたのか、最後の最後に石田様もスパーク!いや、ちょっと頭振りすぎでしょ!?って感じに頭も振ってフィニッシュ!ああ、だめだ。カッコ良すぎ(<は?)

 ショスタコーヴィチは予習したCDより断然良い。生と言うのもあるだろうけど、感じたエネルギィが半端じゃなく違いました。各演奏者から発せられる音圧が凄い。これはCDでは体験できません。
 陰鬱なチェロのソロから始まるこの曲、阪田氏が表情まで沈鬱に始めるものだから、周りものまれてなんだか重い雰囲気に。下3パートは暫くの間暗い音を弾き続けるにも関わらず、 1st Vnだけは妙に明るいメロディをそれに合わせていく。この場違いな組み合わせが妙に落ち着かない、不安な気持ちを聴いている方に与えるのだが、こういった不安定さが館風は大好きだ。 はっきり言ってこのショスタコーヴィチはかなり好きな部類に入る。弓で弦を叩くように、舐めるように弾く部分や、ギシギシと弾き鳴らす激しい演奏が続くのだが、そう言った 心にひっかかるような音楽にどんどんと惹き込まれた。1st Vnがロングトーンを小さくだしている横で2ndの石田様がビブラートをかけつつ単音を弾く部分等は鳥肌ものの気持ち悪さがあるが、 それが石田様の音色だからたまらなく良い(<我ながらちょっと変態ちっくだ…)。
 3楽章辺りで、1stが速弾きで休む間もない所、石田様がぐい・と身を乗り出してひょい、と1stの楽譜をめくっていました。 しかもお互いに別にタイミングとかを計ったりしないで相手の癖はみんな分かってる、みたいな感じがしました。長年やってるだけはありますねぇ。
 そうそう。演奏中なんだかギシギシバタバタ音がするので注意して見ていたらやっぱり石田様が椅子から腰を浮かす音でした。立ちすぎ〜(笑)。いや、石田様はそれがまたいいんですけどね。 盛り上がった2楽章等は全員のモーションが大きくなっていました。1曲目のハイドンはそれ程でもなかったんですが、この辺りから石田様にひっぱられて全員ちょっと動きが 派手〜になってきていました。
 そう言えば始終ブレス音が聞こえましたが、あれは演奏者のブレス音ですよ…ね?多分一緒に呼吸するから合わさってこちらに届くような音になっていたのでしょう。 YAMATOの4人は素晴らしく息が合っていましたものねぇ…。

 ブラームスはゆったりとそれでいて留まらずずんずん先へ流れていくような音楽。今日の3曲の中では一番心が落ち着くような音楽です(笑)。 全体的に優しいんですよね。YAMATOの演奏も優しく始まって、だからこそ盛り上がる部分が惹き立てられていて、メリハリが利いていました。CDで聞いた時はなんだか平面的に聴こえて、特徴が捉え辛かった のですが、YAMATOの演奏で何か見えたような気がします(<あくまで「何か」なのがポイント)。やっぱり生演奏を聴かなきゃダメって事ですよ。うん。そう言うことなんですな。 更にその生演奏って言うのが石田様の様に魅力溢れる演奏家による演奏だったら尚良い、って事で。

 さてアンコール。浜野氏がちょっとだけご挨拶。私は始めから石田様が喋るのは諦めました…。だってシャイなんだもん…(<本当か?)
 浜野氏は「えー。ぼくらYAMATOの名前は世間に沢山あって、会社だったりアニメだったりしますが、10周年なので特別な曲を用意しました。」と言って弾きだしたのは勿論 「宇宙戦艦ヤマト」のテーマ。これがまたカッコいい。スローテンポで始まって、Aメロに入るとアップテンポでジャジィ(と言うよりタンゴっぽい?)に。これは編曲の勝利。 「宇宙戦艦ヤマト」がカッコいい曲に聞こえました。私は男声合唱のお遊びヴァージョンのイメージが強かったのでこんな「宇宙戦艦ヤマト」なら大歓迎です。カッコ良すぎ。 編曲は阪田氏が所属するTHE TANGOPHOBICS(ザ・タンゴフォビクス)のピアニスト・飯田俊明氏によるもの。 あ、タンゴっちゅうからにはアレはタンゴだったんでしょうか。タンゴとジャズの区別も付かない阿呆な観客で済みません…(汗)。
 それはともかく、この編曲はかなり良い。最高の「宇宙戦艦ヤマト」だったのではないでしょうか。全員が超絶技巧を使って観客を楽しませてくれるし、全員の能力を余す所なく引き出した、と言う素晴らしい編曲だったと思います。 しかも最後に浜野氏によって「クロネコヤマトの宅急便♪」のメロディが入ってフィニッシュ。 かなり笑いました。可愛いったらありゃしません。一瞬何のメロディか分かりませんでした(苦笑)。でも分かった瞬間 「会社って言ってたのはコレか…!!」と思いました。遊び心満載のYAMATO弦楽四重奏団。素晴らしいと思います。

 そしてアンコール2曲目は創設当初には頻繁に弾いていたと言う「ソーラン節」。へ?って感じですがそうらしいのです。 創設当初からかなりシブイカルテットだったのですねぇ(笑)。私も「ソーラン節」は結構好きで(高校の合唱部に入って一番初めに歌った曲の中にこの曲が入っていた…)思い入れもあるのですが、 この編曲はすごい。
 まず、石田様が超絶技巧(<さっきからこればっか…)のソロを披露。そしてその後に4人で、と言う構成なのですが…なんと石田様は 他の3人が入る直前にぱっとヴァイオリンから手を離したと思ったら「もう一回やります」と言って演奏を中断。・・・ま、間違えたんですか? でもそのお陰で石田様のお声が聞けてラッキィ!(<邪道)
 どうやら間違えた所を押さえた瞬間に手を離してやり直しを宣言したようです。ちょっと恥ずかしそうに笑いながらそう言った顔がとってもステキ〜vv 会場はどっと笑って、石田様のやり直しに注目していました。でも、やり直した2回目は音が合ってるとか間違っているとかに関係なく 音色まで豊かになっていた気がするんですが何ででしょう…?
 この「ソーラン節」も素晴らしい編曲なんです。全員がとてつもない速弾きを披露したり、全員の息が合っていないと上手く絡まないメロディがあったり、 正にYAMATOの為の曲!と言う感じで、素晴らしかった。石田様も演奏終了後立ち上がりながら左手でクルクルっとヴァイオリンを2回転させてましたし、会心の出来だったんでしょうか。 この「ソーラン節」の石田様、普段とは違う雰囲気で新たな魅力発見!という気分です。石田様の和風な音色をもっと楽しみたいと思いました。そう言う曲は…他にないんですかね。

 本編3曲も素晴らしく気合の入った演奏でよかったのですが、このアンコール2曲の オマケはYAMATOと言うカルテットでしか出来ない演奏なんだろうなぁ、と感じ入りました。とても得した気分です。
 YAMATOはなんだかこう言う現代音楽風の曲、向いているのかもしれません。いや「宇宙戦艦ヤマト」は置いといてね(笑)。 まぁ、私が現代音楽大好きっ子と言うのもあるかもしれませんが、こう言う現代風アレンジ「ソーラン節」とか、とても 面白い取り組みだと思いました。
 これからもYAMATO弦楽四重奏団には1年に一度くらいのペースで良いのでこのような内容の濃い演奏会を続けて いって欲しいです。演奏者の気合に引き摺られてかなり気合を入れて息を詰めて聞いてしまいました。 しかし、魂を削るような素晴らしい演奏に対して、聴く方も魂を削って聴く、と言うのも良いのではないかなぁ、と思いました。

















































11月1日 音楽の処方箋


場所:港南区民文化センター『ひまわりの郷』
出演:富田隆(お話)
YAMATO弦楽四重奏団
竹村浄子(ピアノ)
曲目:
ハイドン/弦楽四重奏曲「ひばり」より第一楽章
アンダーソン/シンコペティッドクロック
アンダーソン/踊る仔猫
ジョン・ウィリアムス/
 「シンドラーのリスト」のテーマ
ショパン/革命のエチュード
ピアソラ/タンゴ・バレエ
山田耕筰/からたちの花
フリードリッヒ・グルダ/アリア
シューマン/ピアノ五重奏曲より第一楽章
アンコール
 「ソーラン節」(幸松肇/編曲)
 シュトラウス/ラデツキー行進曲

★今日のコンサートは音楽と心理学の関係を解説しつつ、音楽をしっかり聴く、と言うコンセプト。
 富田氏の始めの解説で心に残ったのは「楽しむ事ができるのも能力である」と言う事。音楽にしろ何にしろ、 楽しむには健康じゃないとできないしなぁ、と思った。

 さて、始めにYAMATOの4人が出て来てスッと演奏を始めた。2日前と同じハイドンの「ひばり」である。 今日も軽やかで、石田様のきびきびした動きがなんだかコミカルで可愛かった(<フィルタかかりまくり)。ホール正面の上には金色の小鳥が2羽停まっていて、 なんだか雰囲気もバッチリ。
 富田氏のMCを挟んでアンダーソンを2曲。踊る仔猫は1st Vnがグリッサンドを多用し、猫の鳴声のよう。最後に浜野氏(?)が猫の鳴声を真似て(?)「うお〜ん」と言う 声が。誰がやったのか館風は良くわからなかったのですがとても可愛らしく面白い曲でした。

 「シンドラーのリスト」はピアノとヴァイオリンで。ヴァイオリンは浜野氏。一瞬でも「石田様がソロやらないかしら?」と思った館風が馬鹿でした。ごめんなさい(笑)。
 えー、そんなわけでどうしても一年前の石田様の「シンドラーのリスト」と較べてしまう館風。うう。コメントし難いなぁ…。

 ピアノの竹村嬢は黄色の爽やかなドレスで登場。ショパンは譜面台を外していたので音がバンバン飛んできて気持ちよい。弾く前に「す…」と一瞬下を向いて 手を膝の上で組んで精神統一。こういう所作がカッコよいですねぇ。大きな手がひらひらと鍵盤の上を舞って、視覚的にも素敵でした。 指も長いのですが、掌もおおきく、迫力の演奏でした。

 休憩後のMCは富田氏と浜野氏と竹村嬢の3人で。ドビュッシーとバッハとパラディスを弾いて心理テスト。 「今はどの曲の気分ですか?」と言う質問で、そこから自分の性格・性質(かもしくは憧れる性質)がわかってしまうと言うもの。 でも「自分の性格・性質」と「憧れる性質」では大分違うと思うのですが…(笑)。 これ、演奏家2人のトークが面白かったです。

 その次のピアソラと山田耕筰は弦楽四重奏で。ピアソラはやっぱりいいですね。でも2nd Vnがリズム担当なのは頂けないなぁ…まあ、魅せ場は あったんですけど、あれだけじゃ満足できないって言うか…むにゃむにゃ。

 MCに、最近の子どもは情緒的・感情的な音楽を聴くとイライラしたりパニックを起こしたりする、と言うのがあった。 きっと、そう言う音楽を聴いてこなかったのだろう。若者の音楽の傾向は基本的に「J-POP」が好きで、さらに突っ込んで聴いても 特定のアーティストの音楽しか聴いていなかったりするらしい。自分を振り返ってみても「J-POP」と言うジャンルではカリガリかイエモンしか聴かないと言う 偏った嗜好性があるし、この話はどうやら信憑性があるようである(<いや、嘘は言わんだろ...)。

 アンコールは2日前にも演奏された「ソーラン節」。今日やっと編曲者が分かりました〜。幸松肇氏と言うらしい。 個人的には彼の編曲でYAMATOのCDを一枚出して欲しいと思います。それくらいこの「ソーラン節」の編曲は良い。

 石田様は2日前の悪夢を思い出されたのか演奏前にちょっと自分で笑いを堪えていました。いや、ホント、思うよね。そりゃあ2日前に間違えた 事を思い出して苦笑いもしますがな。 そんでもってそれを見てクスクス笑ったのは2日前にもYAMATOを見に行った人だな(ニヤリ)。そんなプレッシャにも耐え(笑)ての演奏。 本当に、この曲はYAMATOの才能を引き出していてとっても素敵。これは耳で聴くだけでなくて目でも楽しまないと絶対損ですね。 石田様始めはソロだし(<やっぱりそこ)。
 もう1曲の「ラデツキー行進曲」は御馴染みって感じですよね。ちゃっかりみんな手拍子してるし(笑)。 弦楽四重奏とピアノだけなのに結構しっかりと厚みのある音楽になっていて感動でした(<オケヴァージョンしか聞いた事がなかったもので)。

 心理学と音楽を取り合わせて解説しながらの演奏会、と言う企画はとても面白かったと思います。文句を言うならそうですね…、1曲くらい石田様にソロを弾かせなさい! って事でしょうか(笑)。まあ、後半のMCの部分は石田様は絶対にやりたがらないんでしょうけど…。それでも「シンドラーのリスト」くらい…と思ったのは私だけではないはず(笑)。

















































11月3日 第52回
神奈川県文化賞スポーツ賞贈呈式
 祝賀音楽会


場所:神奈川県民ホール
指揮:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:デュオ・プリマ
 (礒 絵里子・神谷未穂)
曲目:
G.H.ヘンデル
 組曲「水上の音楽」(ハーティ版)より
 Allegro
 Bourree
 Horn-Pipe
 Allegro deciso
J.S.バッハ
 二つのヴァイオリンのための協奏曲
 ニ短調
F.リスト/ハンガリー狂詩曲第2番
P.サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
アンコール
 モンティ/チャールダーシュ

★賞の贈呈式の後、祝賀音楽会。久々に石田様と現田氏のコンビ!が見れます。やっぱコレですよぅ!
 で、当選ハガキをチケットに交換しに行ったのですが…あれれ?12時から交換ってなってるのに11時半には既に交換が始まってる…何故…。 こんな事ならさっさと行くんでした。しかも今日は双眼鏡忘れて石田様のお姿が良く見えないし…(涙)。

 ヘンデルはよく知っている曲でした。意識して聴いたこと無かったです(汗)。3曲目のホルンが良かったです。1曲目ではどうなるかと思いましたから…。 多分、曲が進むに連れてそれぞれノって来たんでしょうか。

 バッハの二つのヴァイオリンのための協奏曲では「デュオ・プリマ」の2人が白のドレスと黒のドレスで登場。思わず「オセロ」と呼んでしまいました。友人は黒いほうを「中島」とか呼び出すし…違うって(笑)。
 石田様はソリストの2人を立てるべくいつもよりかなり大人しめ。ううー。石田ファン的にはつまらん(<今日は正直ですね)。しかし、石田様のその努力(笑)にも関わらず イマイチソリストが立たず。今日はオケの勢いがありましたから、そのせいかもしれませんが…。

 今日のイチバンはリスト!こっれはホント、神奈フィルに向いていますね。エネルギッシュでいて重々しい所もあり、勢いに乗ってもオッケーな曲。現田氏もノリノリです。 だって指揮している時に指示出しながら足をぴょこんと上げたり、勢い余ってジャンプしてたりしましたから。とっても楽しそうに指揮しているのが背中を見ていても分かりました。 そして、現田氏がノリノリの時、石田様はもっとノリノリなんです!
 石田様は前2曲の鬱憤を晴らすかのようなかなりイッちゃってる演奏(<褒めてます)。曲の始めから腰浮いてます!コレコレコレー!!!観客の眠気を吹っ飛ばす(笑) 素晴らしい演奏。鳴り物も多いし、寝てる暇なんてありませんよ!(笑)
 何が良かったって、勿論演奏が良かったのですけれど、目で見ていても飽きない演奏だった・と言う事です。神奈川フィルは稀に見る「ヴィジュアル系」オーケストラなのかも。

 館風の「もしかしたらソロを石田様が弾いてくれるかも…」と言う儚い(笑)希望はあっさり無視され、勿論ツィゴイネルワイゼンのソロは デュオ・プリマ。2人でどうやって??と思われるでしょう。ツィゴイネルワイゼンのソロを二つのヴァイオリンで弾くように分けてしまったのです。 ・・・これは・・・編曲者の失敗でしょう。あの曲は超絶技巧を独りで弾くからノリにノってカッコ良いのであって、2つに分けたらカッコ悪いわけです。 合いの手じゃないんですから…。なんだかなぁ…。あんな編曲で弾かされてソリストがちょっとかわいそうでした。
 オケは石田様効果かいつもより音が一つになっていました。出だしの弦など、1stヴァイオリンを筆頭に鳥肌が立つような音が押し寄せました。 あの音は素晴らしかったなぁ…。

 アンコールは御馴染みチャールダーシュ。リストのハンガリー狂詩曲がハンガリー・ジプシーの音楽であるチャールダーシュがモチーフに なっていたからの選曲でしょう。これもデュオ・プリマの2人がソロ。こちらの分け方の方が好感を持てたかな。 ただ、もっとハジけてくれても良いなぁ、と言う印象でした。まあ、今日の神奈フィルはかなり勢いがありましたからね…。 ノッている時の神奈フィルは結構危険かもしれません…(笑<褒めてますよ)。

 今日はリストのハンガリー狂詩曲を聴きに行ったようなものです。ですが、それだけで私は満足できました。 この「幸せ石田週間」の締めがこの演奏会で良かったです。
































11月14日神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 第200回記念定期演奏会
 『プッチーニの世界Vol.U』


場所:みなとみらいホール
指揮:現田茂夫
ソロ・コンサートマスタ:石田泰尚
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
蝶々夫人(ソプラノ):木下美穂子
ピンカートン(テノール):イー・ヒョン(李R)
シャープレス(バリトン):福島明也
スズキ(メゾ・ソプラノ):大林智子
ゴロー(テノール):牧川修一
ボンゾ(バス):鹿野由之
ヤマドリ(バリトン):松本進
ケート(ソプラノ):渡辺清美
神官(バリトン):星野聡
合唱:神奈川フィル合唱団
合唱団音楽監督:近藤政伸
副指揮:上野正博
字幕:とよしま洋
曲目:G.プッチーニ
歌劇「蝶々夫人」(全二幕)
 演奏会形式/原語上演・日本語字幕付

★合唱団の私にとって、今回の舞台は生殺しだった。1幕しか出番は無いわ、結果2幕は 全く見れないわ(しかも合唱団の控え室にモニタ&スピーカは無いのである)、外に出て見りゃあ店は閉まり始める時間だわ、 悲しいにも程があった。と言うか、本番中にホールの外へ出たのなど初めてである。
 そんな訳で今回のレポートはリハーサルと1幕を中心に―と言うかそれしか書けない。

 合唱団とオケのバランスチェックを中心としたリハに石田様は真っ赤なピコのトレーナで登場。下はいつもの黒いパンツ。と言ってもだぼだぼですが(<「だぶだぶ」ではなく「だぼだぼ」である)。
 リハ・本番通してですが、歌わないところはとても暇なのでずっと石田様を見ていました。都合よく視線を向けても不自然じゃない方向に石田様が居たので良かったです。
 合唱団の出番が終わった後、休憩後の2幕、3幕のリハを2階C席で見る事が出来ました。ああ、細切れだけど見れて良かった…。石田様はトレーナを脱いで腰に巻きつけて黒いTシャツでの登場。 なんだか腕が長いのが強調されていた気がします。腰も細いしね…(<どこを見ている?)。
 さて、演奏のほうですが、ラストの石田様は盛り上がりまくりで立ち上がってましたね。 現田氏もイっちゃってるし、二人揃って大盛り上がりでした。これが本番だともっとすごかったんだろうなぁ、と思いました。

 さて本番。なんか、石田様含め楽団員全体の気合の入りが違うんですけど…音の緊張感が違います。リハが80%だとしたら本番は130%って感じです。 石田様も現田先生も全然違います。
 そんなこんなで自分石田様ばかり見ていました。たまに石田様と同じメロディラインのところがあってそう言うときには幸せを感じずには居られません。 それでもいっぱいいっぱいのトコは現田氏を見ていないと悲惨な事になるんですが(笑)。
 それにしても、石田様のソロが満載でしたね〜。うう、いい音だ〜。2幕1場のラストのハミングコーラスの所、 石田様のソロと合唱が絡んで素敵でした。石田様のソロと一緒に歌えるなんてなんて羨ましい〜(<自分はそこ歌ってないので)。
 1幕の最後のほうのソロなんかも素晴らしかったし…。ホント、こういう時どうして自分は合唱団員なのか恨めしくなります。

 ソリストの方々も素晴らしく、特に蝶々夫人の木下嬢が素晴らしかったですね。人間1人の声であそこまでオケに対抗できるものなんですねぇ。 素晴らしい演奏でした。後気に入ったのは福島氏のシャープレス。演技もたっぷりで、声も素晴らしいバリトンだったと思います。

 さて、この演奏会は神奈フィルの定期演奏会200回記念、と同時にみなとみらいホール来場者200万人突破記念演奏会にもなったのだとか。 抽選で座席を指定し、その座席に座っていた人は北陸の旅やらホテルの宿泊券やらを貰えたみたいです。自分の買ったチケットの近くの席が当たっていたので結構羨ましいなぁ、と思いました。いいな(笑)。
 演奏会終了後には乾杯式が行なわれ、楽団員、合唱団、定期会員の方々が参加しました。私も参加しましたが、うーん、石田様を発見できず(涙)。 自分の帰りぎわに空き缶を捨てる石田様を目撃しました(笑)。取りあえず遠くから拝見できただけでよしとします(笑)。

 乾杯式で現田先生の言葉にもあったとおり、来年から神奈川県内には新たにプロオケが進出し、神奈川フィルの「県内唯一のプロオケ」と言う看板が使えなくなってしまいました。 個人的に「神奈川県内に移るくせに東京って名乗り続けるのかよ!」とか、「毎年神奈フィルと提携して合唱連盟の企画やってきたのにいきなり乗り換えかよ!」と 言う三村的突っ込みはありますが、まあ、これが神奈川フィルにとっても刺激となって更によい演奏会が増えるといいな、と思います。
 取りあえずミューザ川崎での定期演奏会を始めましょうよ(笑)。曰く「サントリーホール並の音響の素晴らしいホール」と言う事なので神奈フィルの演奏が映えるに違いないと思うんですが…どうですか。































11月21日 SHONAN DAN CONCERT 2003


場所:よこすか芸術劇場
指揮:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:石田泰尚
ソプラノ:足立さつき
曲目:
ヨハン・シュトラウスU
 喜歌劇「こうもり」より
 序曲/「侯爵様、あなたのようなお方は」
團伊玖磨/オペラ「夕鶴」より
 「あたしの大事な与ひょう」
プッチーニ
 歌劇「マノン・レスコー」より間奏曲
 歌劇「トゥーランドット」より
 リューのアリア「お聞き下さい王子様」
エルガー
 行進曲「威風堂々」第1番
ビゼー/カルメン組曲より
 1:トレアドール
 2:ハバネラ
 3:闘牛士の歌
 4:ジプシーの踊り
サラサーテ
 ツィゴイネルワイゼン
ラヴェル/ボレロ
☆アンコール
團伊玖磨
1959年天王皇后両陛下ご成婚記念
 「祝典行進曲」
 「花の街」

★湘南信用金庫主催のこの企画、毎年行なわれているようです。ここ三年ほど、つまりSHONAN DAN CONCERTになってからは 石田様がソリストとして招かれているようです。湘南信用金庫理事長の服部眞司氏はかなりの石田ファンの模様。 こういう職権濫用(笑)は石田ファンとしてはうれしい所です。
 更にパンフレットには現田氏と同じサイズの石田様の写真が!カッコイイ!やば!カッコイイです!これ、神奈フィルHPの石田様の写真と一緒の時に撮ったのでは? と言う感じの写真。正面から見た王子石田ヴァージョンの石田様。でも今日舞台の上に居たのはワイルド石田でした(笑)。

 なんだか前半の神奈フィルはいつもと雰囲気が違います。神奈フィル得意のエネルギッシュな演奏ではなく隅々まで丁寧に造り上げた スタイリッシュな演奏。「こうもり」序曲が特にこの傾向が顕著でした。これはやっぱり現田氏のセンスなのかな。
 「侯爵様、あなたのようなお方は」ではソリストの足立嬢のパフォーマンスが光りました。私は話の内容を良く知らないのでわからないんですが、歌詞に合わせてミニスカートの上に穿いていた前開きになるロングのふわっとした スカートを「バッ」とめくり上げて足を出したのがすごかったです。その仕草が可愛くて、茶目っ気があって良かったです。サーヴィス精神満載の方なんですね〜。 声も高音がよく伸びる素敵な声だったと思います。

 前半の石田様は燕尾服で白のクロスタイ。タイピンって言うのかな?クロスタイを留めているやつがキラキラしていて、嵌っているのはダイヤかキュービックジルコニアかって感じの 宝石の輝き。今日はピアスもキラッと光って石田様光りまくり。ヴァイオリンにも赤い宝石が嵌ってますよね〜。あれは何なのかな?やっぱり石田様ってお洒落です。

 前半のベストはエルガー。弦のまとまりがいつにもましてよく、石田様の気合も充分。細かく造りこんである上に神奈フィルのエナジィもノッて素晴らしい演奏でした。

 後半最初のカルメン組曲は石田様ナシなので見る方(Not聴く方)はちょっと小休止。その時その時でソロを演奏するパートを中心に見ながら聴いていました。 殆どのソロパートと一緒に第一ヴァイオリンがメロディを弾いているのですが、意図的にかな?ちょっと影が薄め。きっとソロパートを目立たせる為でしょう。
 ちょっとコケた所もありましたが、それ以外は今日の神奈フィルの管はどうしちゃったの?!ってくらい上手い! ハバネラのトランペットなんかも良かったし、クラリネットのソロもいい音がしていたし、ホルンが今日は特に良かった。こう言うすっきりした管の音が好きですね。

 そして本日の(館風的)メイン、ツィゴイネルワイゼン!この曲を石田様のソロでもう一度聴けるなんて嬉しいったらありません。ドレスダウンして出てきた石田様は[Vaiolin Appassionato]の ドレスシャツ。最近アレがお気に入りのようです。私的に燕尾でスタンディングの演奏って言うのが結構好きなんですが…。あ、そう言えばコンマスの時とソロの時では違う弓になってました。コンマスの時は弓のお尻に付いているテープが青かったんですがソロの 時にはテープが赤になっていました。弓の形の違いなどは流石にわからなかったんですが、何かコンマスの時とソロの時とでは違う事が有るのでしょうか?きっと使う技術の傾向とかによって弓から変えたりするんでしょう。きっと色々あるんだろうなぁ(<自己完結)。

 今回は始めの方はたっぷりと溜めた演奏。情感が籠った、1音1音を丁寧に扱った演奏です。もう音にぞくぞくしてしまって、石田様のソロの音しか耳に入ってきません。 その音以外はもうオマケなんですね。ソロを惹き立てるためのオマケ。耳に入ってはいてもソロが素晴らしくてそちらまで気が回りません。と言うか、ソロが耳を離させないんですね。 この求心力は石田様ならでは。何と言うか、音に重力が合ってそちらに引っ張られてしまう感じとでも言うんでしょうか。
 そして、何より見ていて嬉しいのは、本人がとても楽しそうに弾いている事ですね。前半の情感たっぷりの部分は眉根を寄せて苦しそうな表情をしたりしているんですが、それがふっと緩むととても楽しそうなのです。すぐに苦しそうな表情を作ってしまうのですが、 後半の超絶技巧オンパレード!はなんだか嬉しそう。もうヴァイオリンを弾くのが楽しくて楽しくて仕方ない・と言う表情なんです。やっぱ演奏家はこうでなくっちゃね〜。
 今日も演奏終了後にヴァイオリンをクルッと放り投げて回しました。本人にも満足の行く演奏だったのですね〜。聴いている方も幸せにする演奏でした。

 最後のボレロに移る前に、なんと石田様は早着替えして出てきました。燕尾に戻ってます。いや、それならソロも燕尾で…(<燕尾服好き)。何故かネクタイが変わっていました。 ボレロはいつもの蝶ネクタイ。クロスタイもカッコ良かったんですが、何で変えちゃったんでしょう?気分?(笑)

 始めのうちは静かに中央に配置された小太鼓が鳴っていて、段々と色んなパートが入っていくのですが、これが淡々としているのに変化に富んでいて面白い。ラヴェルはやっぱりいいですね。
 ヴァイオリンははじめ、弓を置いてのピチカート。と言ってもウクレレの様に抱えてぽろんぽろんと弾く感じ。と言うか絵、参照(笑)。 これがなんか、石田様は他の人と弦の押さえ方が違うんです。えっと、つまり左手なんですが、左手が違うんです。真上から押さえるように必要な部分だけピ!っと押さえるのです。 他の人は指が寝てたりするんですが、石田様は違います。腕をかなり捻っているので押さえ難そうなんですが、楽な方に逃げないんですね。やっぱり石田様はこだわりが違うわ〜。
 ボレロはじりじりと盛り上がってきて、最後の最後に爆発!って感じで石田様もフィニッシュがカッコイイ! この曲は始めの方をじりじりと耐えるのが良いんですよね。エナジィはあるのにそれを敢えて一気に放出しない、その耐えが後半の盛り上がりを作るのです。 きっと一番盛り上がっていたのは振っていた現田氏でしょう(笑)。

 アンコールは團伊玖磨氏の曲を2曲。「花の街」はプログラムに楽譜と歌詞が載っていて客席も一緒に合唱。 えーと、3部の楽譜が書いてありますけど…誰が歌えるんだろう(笑)。ちなみに私は途中まで下のパートを歌って挫折しました(爆)。 そうそう、現在高校二年生の友人を連れて行ったのですが(<勿論石田様を見せるため)、彼女はちゃんと音取れたみたいです。流石現役(笑)。 更に「花の街」を知らないと言っていました。私は中学の時に音楽の授業でやったんだけどな〜。5年やそこらでここまで世代差が出ているなんて…とちょっとせつなくなりました(笑)。
 でも、こう言う風に音楽は受け継がれていくものなのかもしれませんね。

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