2006年演奏会日記7月

9月2日 須川展也 サクソフォン協奏曲コンサート@タケミツメモリアル
9月4日 ★デュオ・シルフィードwithフレンズ@ムジカーザ
9月9日 ★川崎市記念演奏会@MK
9月16日 ★交流の響き2660inかわさき@MK
9月22日 ★YAMATO弦楽四重奏団@MMH
9月29日 ★Bee@紀尾井ホール



2006年9月2日 須川展也 サクソフォン協奏曲コンサート


場所:タケミツメモリアル
サクソフォン:須川展也
オーケストラ:東京フィルハーモニー管弦楽団
指揮:齊藤一郎
ピアノ:小柳美奈子
パーカッション:山口多嘉子
曲目
本多俊之/コンチェルト・デュ・ヴァン〜風のコンチェルト〜
E.グレッグソン/サクソフォン協奏曲(日本初演)
吉松隆/ソプラノ・サクソフォン協奏曲「アルビレオ・モード」
吉松隆/サイバーバード協奏曲
アンコール:吉松隆/融けてゆく夢

★今日は高校時代からの友人黒熊のデルタ氏に誘われ須川展也氏のコンサートへ。
 会場は吹奏楽関係者、及びサックス関係者(笑)で埋め尽くされている。これだけ座席が埋まるコンサートと言うのも珍しい。 しかし、それもプログラムの「4曲全てが自身委嘱によるコンチェルト」と言う事を考えれば頷ける。かなりパワーのある"仕事"を している演奏者でないとできない企画である。サックスを志す者は必聴のコンサートであったことだろう。 そう考えると全くの門外漢に近い自分があの空間に居た事が奇跡に思えます。誘ってくれたデルタ氏、ありがとう。

 さて、1曲目は映画音楽等でも活躍し、自身もサックス奏者であると言う本多俊之氏の作品。須川氏と金管楽器(笑)がやたらノリノリで、 ギアがトップに入っている感じ。東フィルの金管楽器は安定していて上手いので聞いていて安心感があります。
 個人的には激しい1・3楽章よりも2楽章を気にいりました。確かに現代音楽なのですが、きちんとメロディがあって、聞きやすい曲であったと思います。 現代音楽の不協和音がイヤッ!って人も聴きやすい(勿論無理に聴く必要も全く無いのだけれど)。
 今日の曲は全体的にそう言う「とっつきやすい」系の音楽が多かった様に思う。吉松隆氏なんて調性のない現代音楽に対して「反現代音楽」と言う様な 考え方でやってきている人だし、メロディ・響きともに美しいのは当然と言うべきか。

 今日の曲の中ではグレッグソンのサクソフォン協奏曲が一番「現代音楽っぽい」感じがしました。あまりに壮大なので2楽章で寝かけたのはナイショです。 それにしても「サックスってこんな音出したっけ?」と思わせるとんでもない奏法をバンバン使ったカデンツァなど、「どこまで楽譜に書いてあるのだろう??」と 気になるところが満載の演奏でした。
 どの曲もカデンツァがすさまじく、楽譜に書いてあるにしろ、オリジナルアドリブ入っているにしろ、激しすぎるのでは?と思うぐらいの迫力の演奏。 私が保守的なのでしょうか。でもあそこまでいかれるとこちらとしても「もっとやれ!」と応援したくなります(笑)。

 「アルビレオ・モード」は前半のトパーズと名付けられた楽章がホール全体を満たす響きが心地よかった。こう、じわじわと盛り上がり、抑制された響きで満たし、また元の背景へ 溶け込んでいく様は非常に美しいと思いました。
 そしてサイバーバード協奏曲。これはサックスを筆頭に、ピアノとパーカッションが準ソリストみたいな感じの構成なのだけれど、これがまた それぞれの楽器がうまいこと際立つように設計されていて、聞いていてわくわくしました。残念ながら前の席の人が身を乗り出していたので(気持ちは解る)、パーカッションしか見えず。。。アウチ。 それでもパーカッションの何でも屋ぶりが見れて面白かったです。パーカッションはいっぺんに沢山の事をしすぎだと思います(笑)。

 サックスを吹いた事が無いのでどう言うものなのか解りませんが、普段は聴かないような音やテンション(笑)の演奏でとても面白かったです。 後、須川氏の音の色っぽい事!良いですね。こう言うツヤのある演奏は大好きです。須川氏ははじめっから終りまで最高のテンションを保っていたように感じました。
 こんなにパワーに溢れる演奏会って言うのは中々無いのではないかと思い、空間を共に出来た事に感謝します。エキサイティングな演奏会でした。

そうそう、これは蛇足気味になるので書くのもどうかと思うのですが、最初の方テンション押さえ気味だった指揮の齊藤氏は、後半になればなるほど大暴れ(笑)していました。ああ言う指揮、好きです。










2006年9月4日 Duo Sylphide with Friends
室内楽コンサート vol.1


場所:ムジカーザ
出演:デュオ・シルフィード
 ピアノ:下森佳津美
 ギター:竹内永和
ゲスト
 ヴァイオリン:石田泰尚
 チェロ:村井將
曲目
 ディヴェルティメントOP.38/ウェーバー
 ソナチネ ト長調Op.100/ドヴォルザーク
 アダージョとアレグロOp.70/シューマン
 ギター・トリオ ニ長調/パガニーニ
 ピアノ・トリオ ニ短調Op.49/メンデルスゾーン

★正直な所、ゲストであるので、出番についてはあまり期待していなかった。だってゲストだし。それなのにこの出演量はどうしたことか(笑)。 ファンとしては嬉しいけど。

 デュオ・シルフィードは喜多氏率いるタンゴ・フォビクスのギタリスト竹内氏とパリ国際コンクール優勝のピアニスト下森嬢のユニットである。 1曲目はそのデュオ・シルフィードの演奏。ウェーバーのディヴェルティメントで、普段からデュオを組んでいるからこその緻密なアンサンブルだった。
 しかし、デュオ・シルフィードとして2人での演奏はこれだけで、後はそれぞれ弦楽器とのアンサンブルを楽しませてくれた。

 前半の山はやはりパガニーニのギタートリオ。ヴァイオリンの名手パガニーニはギターもよく弾いていたとかで、ギターの曲も多いらしい。
 だからと言ってヴァイオリンが簡単になるのかと言うとそうではなく、流石パガニーニ。やってくれます。石田様は曲前にチューニングを忘れるなど、ちょっと緊張気味??
 ヴァイオリンとチェロのメロディの受け渡しの要にギターが効果的に入っていて、ギターがメインに回るとストリングスはピチカートになってさっきまでギターがやっていた 役割に回るなど、曲自体が計算され尽くしている感じ。作曲家の意図をきっちり引き出してくる演奏には脱帽です。

 後半のピアノトリオは更に凄かった。3人ともお互いに負けん!!!と言う様な気迫が漂ってくる。
 村井氏のアイコンタクトがヤバイです。何がどうヤバイのかは秘密です。とにかくヤバかったです。
 久々に聴いた村井氏の音はとにかく妖艶でした。あっれ村井氏の音ってこんなに色気満載でしたっけ……N響で何を学んだのでしょうか。。。 音に深みが出て良い感じですが。N響はなんとなく勝手に敷居を作ってしまって手が出ないので今回聴けて良かったです。

 ピアノトリオの4楽章のラスト、ヴァイオリンとチェロのハーモニーがとにかく良くて感動でした。
 1音も聴き逃すまいと緊張しながら聴いてしまいました。始めの音からして鳥肌が立ちました。この感覚は生で聴かないとわからないと思います。 それこそこう言う感覚を録音したもので感ずるには2000万くらいのスピーカーじゃないと感じられないかも。
 やっぱりピアノトリオって面白いです。誰だピアノトリオは長くて退屈だとか言ったの。聴かず嫌いはイカンよ!

 アンコールはピアソラで、オブリビオンと鮫。どちらもいい曲ですが、鮫が圧巻。音が厚い!!
 まあ、なんと言うか、フォビクスでタンゴやってる竹内氏にリベルタでピアソラばっかりやってる石田様、三度の飯よりピアソラが好きだと 仰った事もある村井氏、この3人はともかく、下森嬢はどうだったのでしょうか。。。。結構ついていくのに必死と言いますか、置いていかれ気味と 言いますか……ぶっちゃけ置いていかれていたような……。男3人は下森嬢に謝りましょう(笑)。










2006年9月9日 川崎氏・富川市交流10周年記念コンサート


場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
第1部
オーケストラ:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
指揮:現田茂夫
第2部
オーケストラ:富川フィルハーモニックオーケストラ
指揮:イム・ホンジョン
ヴァイオリン:ユ・ハンビン
曲目:
第1部
 リムスキー=コルサコフ
 ・交響組曲「シェエラザード」
第2部
 ドボルザーク
 ・ヴァイオリンとオーケストラのためのロマンス
 サラサーテ
 ・カルメン幻想曲
 ドボルザーク
 ・交響曲第9番「新世界より」
アンコール
 ふるさと(日本民謡)
 宮廷(韓国民謡)
 モーツァルト(チャイコフスキー編曲)/アヴェ・ヴェルム・コルプス

★富川市と川崎市の友好交流10周年だそうで、それぞれの市長の挨拶なんてものもあり、中々おごそかな感じでスタート。
 ロビコンで石田様とチェロの山本氏はモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのデュオ(ヴィオラをチェロで)より1・3楽章を演奏しました。 シェエラザードはコンマスとチェロ首席は大活躍の曲。ロビコンは単なるウォーミングアップだったって事でしょうか。恐ろしい・・・!!!

 相変わらず弦の揃い方は1挺のヴァイオリンで弾いている様で素晴らしいなと思うわけですが、おごそかに出て来るシェエラザード姫(=石田様のソロ)の旋律は 正直鳥肌モノの美しさでした。音の澄み方が以前聴いたときよりも上がっている気がします。
 低音部は逆に、シェエラザードがちらりと見せる策略(シャリアール王に殺されまいと話をし続ける事が策略だとすれば)の様に渋みの効いた音で、このギャップが 更にシェエラザード姫の美しさを際立たせました。最近、石田様の低音部が良くなってきたような気がします……以前の様なキレイなだけではなく、渋みと深みが出てきたなぁ。。。 そして高音部が完全無欠に美しいのでそのギャップがまたたまりません。同じ所に留まらないのが石田様ですね。

 第2部は富川フィルハーモニックオーケストラの演奏。ソリストのユ・ハンビン氏はとても若く、上手い。しかし、テクニックも音量も持っているのに、 来て欲しいなと思うところで来てくれなかったりが何度かあったので、残念ながら私とは音楽の趣味が違うみたいです……。
 でも、若いんだからもっとハジけた演奏にしてもよかったんじゃないかと思うんですよ。衣裳みたいにね(白地にドピンクのガラシャツでショッキングピンクのネクタイでした。 ピンクの似合う男子は素敵です)。

 後半の「新世界より」は圧巻。素晴らしいの一言に尽きます。前半オケが元気ない印象を受けたのだが、なんてことは無い。ソリストに遠慮して いたのね(笑)。2楽章のセンチメンタルな例のメロディも良いですが、3楽章の民俗音楽の様なリズムに乗ったところも良かった。弦が厚く、音の響きが深い!
 4楽章の大迫力のあのメロディも最高!!金管群が特に良かったと感じました。韓国でトップクラスのオケとの事でしたが、確かにその名に相応しい演奏であったと思います。

 アンコールの「宮廷」では会場から拍手が起こったり、民俗音楽もカバーしているのですね。幅が広い。
 市が主催と言うことで、そう言った関係者が沢山来ていた模様。いつもと客層が違い、拍手の暖かさがあった気がします。 こう言う演奏会もいいな・と思いました。










2006年9月16日
全国新聞社音楽コンクール上位入賞者演奏会
交流の響き2006 inかわさき


場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
司会:岩崎里衣
出演
・手嶋侑菜(群馬県ピアノコンクール)
 ショパン:ドイツ民謡「スイスの少年」による変奏曲ホ長調(遺作)
・上路実早生(福島県ジュニアピアノコンクール)
 グリーグ:ピアノ・ソナタホ短調Op.7より 第一楽章
 プロコフィエフ:「4つの小品」Op.4より 悪魔的暗示
・城所素雅(かながわ音楽コンクール)
 ラロ:ヴァイオリン協奏曲 第2番ニ短調「スペイン交響曲」Op.21より 第一楽章
・松島萌(ちば音楽コンクール)
 ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より メヌエット、パスピエ
・三雲はるな(静岡県学生音楽コンクール)
 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216より 第一楽章
・林 慶明(新報音楽コンクール)
 ショパン:幻想即興曲嬰ハ短調Op.66
 カプースチン:トッカティーナOp.36
・野上剛(富山県青少年音楽コンクール)
 リスト:村の居酒屋の踊り(メフィスト・ワルツ第1番)
・宮澤優子(新潟県音楽コンクール)
 ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」より“おお、むごい運命よ”
・前田香織(下八川圭祐記念高知音楽コンクール)
 ヒナステーラ:ピアノ・ソナタ第1番Op.22より 第一楽章、第四楽章
・岡安咲耶(彩の国・埼玉ピアノコンクール)
 ドビュッシー:「ピアノのために」より 前奏曲、トッカータ
ゲスト演奏者
 Vn:石田泰尚
 Pf:中岡太志
 ピアソラ:来るべきもの
 ピアソラ:忘却(オブリビオン)
 ピアソラ:タンゴエチュードより 第4番、第3番
 ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
 ピアソラ:チキリン・デ・バチン
 ピアソラ:ル・グラン・タンゴ

★今日の演奏会は各地の若い演奏家が集うコンサート。そのゲスト演奏者として石田様が登場した。

 前半は本当にまだ若い演奏家たちが登場。まだまだこれから、と言う可能性を煌めかせた。発展途上とは言っても やはり各地のコンクールで上位に入るだけあって、上手い。これからに期待したい。

 後半は既に音楽活動をやっている人も居たりして音楽も充実した。
 後半一番目の林氏はまだ中学三年生との事だが、身体も大きく、タッチも強い。ショパンを極端に速く弾こうとしているのが「若い」なと言う感じ。 勢いも大事だけど「正確さ」とかそう言うのも大事よ〜と言いたいが、そう言うの、わかんない年頃よね(笑)。2曲目のカプースチンがとても面白い曲で、 もっと聴いてみたいなと思わせた。
 面白かったのは高知の前田嬢で、紹介文で「ヒナステーラやカプースチンが好き」とあったのだが、つまりはそれ、現代音楽が好き、と言う事で宜しいでしょうか(笑)。
 今日演奏した方の中(勿論石田様は除く)では一番すっきりとした、音楽が整理されていた演奏だったと思います。音のひとつひとつが独立していて和音が綺麗でした。 音がキラキラしてて良かったです。ドレスもシンプルな水色のドレスで好印象でした。

 さて、石田様の演奏。今日はリベルタ−松原氏のデュオで登場。石田様は胸にオレンジのラインが入った黒いすっきりとしたシャツで登場。 最近「燕尾よりはシャツの方がラクで好き」との発言もありましたのでシャツで登場しただけでちょっと嬉しいファンだったり(<何だそれ)。

 いつものリベルタレパートリィにタンゴのスタンダード、ラ・クンパルシータを入れたり、無伴奏のタンゴ・エチュードをやったり、 若い演奏家に色んな音楽を見せていた気がします。こう言うコンサートの時の石田様ってそう言う観客の層の事まで考えてプログラミングしているのかなぁ〜?って 勝手に思って勝手に素晴らしいな!と思ってしまいます。

 そしてやはりタンゴエチュードが凄い。指が回る回る。切れ目の分からない弓の返しとか、やっぱり唸らせられてしまう。ストレートにヴァイオリンの音が楽しめる無伴奏は 聴いていてとても楽しいです。12月が楽しみだー!!!(って、私は仕事で行けなくなるかもなんだけど・ね!!(涙)

 演奏終了後、司会の岩崎嬢が石田様と中岡氏にインタビュー。
 そう言えば本日は石田様自らマイクを取りに行くなど、積極的なトークを見せていましたが、インタビューもナイスでした。
 「これからの演奏家へ向けて何かアドバイスを」と言う質問に微妙な反応をした石田様に「……先ほど控え室で打ち合わせした時に話していた事を言って欲しかったんですけど」と 岩崎嬢が発言。岩崎嬢、面白すぎです。
 因みに石田様の控え室での発言と言うのは「少なくともヴァイオリンは、一番初めにクラシックがあって、それをきちんと練習する事。そうでないと他のジャンルでも上手く出来ない、と僕は思っています」と言う様な 事を仰ってました。「僕は」と言う部分を強調していた所とかに石田様の配慮を感じました。










2006年9月22日
幸松肇が贈る弦楽四重奏の饗宴
YAMATO弦楽四重奏団


場所:横浜みなとみらいホール 小ホール
出演:YAMATO弦楽四重奏団
1st Vn.:石田泰尚
2nd Vn.:執行恒弘
Vla:榎戸崇宏
Vc:阪田宏彰
曲目:ボロディン:弦楽四重奏曲第2番 ニ長調「ノクターン」
幸松肇:弦楽四重奏のための「日本民謡」組曲より
 会津磐梯山
 おてもやん
 ソーラン節
幸松肇:弦楽四重奏のための「讃歌」(2006年改訂版 初版)
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 作品10
アンコール
 ハイドリッヒ:「ハッピィ・バースディ変奏曲」より
 幸松肇:八木節

★久々のYAMATO弦楽四重奏団である。どうやら主催は幸松氏であるらしく(主催がハッピー・パインだけに)、休憩の後に 幸松氏のMCが入った。今日の曲はYAMATOがよくアンコールピースにもしている幸松氏の編曲の日本民謡も3曲あったり、 氏の四重奏曲の改訂初演があったり、おそらく今日一番楽しんだのは幸松氏です(笑)。

 ボロディンは緩急の付け方がかなり極端で、面白かった。これはYAMATOの演奏で何度か聴いた事があるけれど、 なんだかやはり上手くなっているのかなーと感じました。ただ、今日はエンジンがかかるのが遅めでしたよ……>YAMATO諸氏

 おなじみの日本民謡では、ピチカートのみで演奏する「おてもやん」などを。これらの曲が弦楽四重奏の奏法の展示会 のように意図されているのを今更ながら実感。中々興味深い曲たちだと思います。会場で売ってた楽譜、買えばよかったかな…… (<演奏する機会はおろか、音源も持ってないのに?)

 そして後半。正直幸松氏の弦楽四重奏曲は難解すぎてついてゆけなかったのですが、石田様がなんだか嬉しそうでしたのでそれで充分です。 ファンはそれだけでよかったと思えちゃいます。

 そして、私が一番楽しみにしていたドビュッシー。これが一番長くレパートリーに入っているからか、最後の曲でテンションが上がっていたからか、 他の曲よりも音が充実していたように感じました。最初の和音が鳴った時にぞくっとしましたね。
 この曲はそれぞれのパートがまったく別の動きをみせたりするので、それぞれのパートが良く聞こえるのですが、これが美しかった。 石田様の音が美しいのは言うまでも無く、チェロの阪田様のまるく、美しい音色!!阪田様の音って優しい気がします。
 阪田様はデクレッシェンドが神。あんなに美しいデクレッシェンドは初めて聴いたかも。次に主旋律を奏でるパートに 自然にバトンタッチするのが素敵です。これはまあ、もしかしたら阪田様の優しい性格故な気も致しますが。

 ヴィオラの榎戸氏はカルテットのスパイス的存在。チェロの様にベース音でもなく、ヴァイオリンの様に常に主旋律と言うわけでもないので、中々ポジショニングが難しい 楽器だと思うのですが、榎戸氏の演奏はカルテットの中で適度に主張してよい音を作っているなぁ・と思います。

 それにしてもです。
 アンコールの石田様と執行氏は素敵でした。アンコールはハッピィ・バースディ変奏曲だった訳ですが、最後のほうの ラグタイム風辺り??で2人がタイミングを合わせようと顔を見合わせた瞬間、パッと破顔したんですよね。 それがなんて言うか、30代の方に対してこんな事言うのもアレですが、とても可愛らしくてですね。少年の様でございました(<口調が おかしいですよ館風さん)。
 今日はもう、あの笑顔が見れただけで満足です。










2006年9月29日 究極のトリオ・パフォーマンス!!
Bee(びぃー)


場所:紀尾井ホール
出演:トリオ・Bee
ピアノ:及川浩治
ヴァイオリン:石田泰尚
チェロ:石川祐支
曲目
ピアソラ/アディオス・ノニーノ(トリオ)
ピアソラ/天使の死(トリオ)
ピアソラ/リベルタンゴ(トリオ)
リスト/ラ・カンパネラ(ピアノソロ)
クライスラー/愛の悲しみ(Vc+pf)
モンティ/チャール・ダーシュ(Vn+pf)
ラフマニノフ/「悲しみのトリオ」第2番〜フィナーレ(トリオ)
ベートーヴェン/「大公トリオ」〜1楽章(トリオ)
クライスラー/愛の喜び(Vn+pf)
フォーレ/夢のあとに(Vc+pf)
ショパン/軍隊ポロネーズ(ピアノソロ)
モーツァルト/ヴァイオリンとチェロの為の二重奏曲〜ロンド(Vn+Vc)
リムスキー=コルサコフ/熊蜂の飛行(Beeスペシャルバージョン・トリオ)
メンデルスゾーン/ピアノ三重曲第1番 〜第1楽章(トリオ)

★1 年 待 っ た よ ! ! !
 この演奏会を1年待ったのだ。やっと、と言う思いであるが、演奏会はあっと言う間の2時間であった。

 始めはカジュアルにピアソラを。及川氏の強烈なフォルテで始まり、ちょっとびっくりした。音の立ち方がクリアで聞いていて気持ち良い音だ。
 アディオス・ノニーノも天使の死もリベルタンゴもノリの良い曲なので3人ともガシガシ弾いていました。ていうか及川氏のピアノが全開で石川氏の音が全然聞こえない・・・よ・・・。 音が高い分ヴァイオリンは結構聴こえた……。しかし、始めにやったリベルタンゴよりもアンコールでのリベルタンゴの方が3人のバランスが良く聴こえました。 実際石川氏は後半の方が音が鳴ってきましたからね。そう言う事が影響したかもしれません。

 及川氏のリストはとてもテンポを揺らすので、聴き慣れたラ・カンパネラが全く違う曲のように聞こえて面白かったです。こう言うのもアリかぁ。。
 石田様の弾いたチャルダッシュはいつも以上に前半をゆっくり、後半は分かりやすく(笑)最速、と言う感じでした。これ以上速くは弾けないんじゃないですかね。 及川氏も結構頑張ってましたがなんか誤魔化し入ってた気も……(笑)。でもこのやりすぎ感が面白いですね。

 前半ラストはラフマニノフのトリオ。アレグロ・リソルート(断固として)と言う指示に違わず、決然とした表現が迫ってくる。及川氏のピアノが存在感が凄くてちょっとびっくりしてしまうのだが、 前の2人がピアノに呼応するかのように対抗しての演奏はとても息が合っていて見事だった。

 後半はベートーヴェンの「大公トリオ」から1楽章。思いのほかメロディが親しみやすいのですが、1楽章だけだと全然物足りない!!! その先を聴かせてくれ!!!と言う気分になりました。ある意味、効果的な演奏であったと思います。。。。ガックリ。

 石川氏演奏のフォーレ「夢のあとに」は、本当にチェロのよい音が生かされていて、とても素晴らしい!及川氏が完全にサポートに回っていて、 ソリストなのに伴奏が出来るって凄いなぁ。。。。
 石川氏はこう言う優美な曲を演奏させると素晴らしいですね。ただ、こう言う曲のとき常に額にシワが寄っていたのでもう少し楽しそうな表情を……と思いました(<余計なお世話)。だってね!その後の ヴァイオリンとチェロの二重奏の時は凄い楽しそうだったんだ・・!!石川氏も石田様も凄い楽しそうでした!何だこの2人。弦楽器がそんなに好きか(笑)。
 ……でも正直、私もこのデュオが一番気にいったんですよ……(ボソリ)。

 さて、雑誌等でその噂を聞き、期待していた熊蜂の飛行。
 何なんですかこれは。3人がただひたすら速く!速く!の演奏。主旋律はやはりピアノがもっていってしまうのですが、チェロの石川氏の左手!!!!!もの凄い勢いで動いていくのが美しくすらありました。 その脇で職人の様に淡々と演奏する石田様。流石。それでも大変だったのは大変だった様で、MCでは「これやった後に喋るのって大変なんですよ。皆さんも家帰ったら熊蜂の飛行を演奏した後に喋って見て下さい」と 「一体どないするねん!」と突っ込みを入れたくなるような事を仰っていました。そしてそのMCはそれしか無かったりとか(笑)。石田様ったらおちゃめさんですな。

 最後はメンデルスゾーンのピアノトリオ第1番。
 元々好きな曲ではあるのですが、いつの間にか泣いてしまいました。第1楽章で泣いてどうするのでしょうか。これ、全部演奏されたら水分が足りなくなるんじゃないでしょうか。
 とにかく今日の演奏の中ではダントツで素晴らしい演奏でした。次々と主題をバトンしていくところや、かけあい、全てが計算されつくしていて、音のバランスも今日の中で一番よかったかな。 やっぱこの三人はド本格のガチクラシックが向いてるよ!綿密に練られた演奏計画の上での演奏の方が面白いと感じました。忙しい3人なので難しいかもしれないけれど、ドンと一つはトリオの全曲演奏をして欲しいなぁ。
 トリオ・Beeならクラシック入門者向けにしなくてもお客は入るヨ……。多分。まあ、裾野広げるのがBeeの使命らしいから良いんだけどさ。。。トリオファンにも満足できるプログラミングを!!物足りない!!

 来年3月6日の火曜日(また火曜だ!!)にオケは神奈フィル、指揮は現田茂夫氏、ソリストはBeeの3人、と言う演奏会があるらしい。凄いなそれ、と思いつつも本日限定先行予約してきました。 先行予約と言うからには良席(一般の良席って言うのは音が良い席ね)を用意してくれると信じて。実際チケットスペースは「姿見るより音!」と言う傾向にあるらしいので期待してます。
 普通に石田ファンとして演奏会行きたいなと思いました(笑)。







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