2006年演奏会日記4月

4月2日 ★ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第16回@MK
4月5日 パソナチャリティコンサート「Wishing For Happiness」@サントリーホール
4月8日 ★神奈川フィルハーモニー管弦楽団第225回定期演奏会@MMH
4月23日 ★かながわ音楽コンクール記念音楽会@県立音楽堂



2006年4月2日
ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団
名曲全集 第16回


場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:大友直人
ヴァイオリン:日下紗矢子
コンサートマスター:石田泰尚
管弦楽:東京交響楽団
曲目
ウェーバー:「オベロン」序曲
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
ヴァイオリン・アンコール:パガニーニ/24のカプリース〜第9番
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98
アンコール:ブラームス/交響曲第4番 3楽章

★お友達に連れられて、東京交響楽団のミューザ川崎で行われる「名曲全集」へ。なんとコンマスは石田様。このシリーズ、東響の顔・大谷康子嬢は降り番なのだとか。となると毎回ゲストコンマスが登場すると言うこと・・??オケ全体を見ても、濃紺の燕尾服がトレードマークの東響のはずが、3分の1くらい黒い服の人が混じっている。。。あらぁ・・・。

 始めの「オベロン」序曲はオケがぎこちない印象を受けた。コンマスが引っ張っているものの、なんだか噛み合わない感じ。だんだんと調子が良くなって来たところで曲が終わってしまい、残念。
 2曲目のモーツァルトのコンチェルトは、ソリストに日下紗矢子嬢を迎えて。伸びのある音で、モーツァルトの硝子細工のような繊細さと言うよりは生々しい人間味あふれる音色。今度はチャイコで聞きたいですね。しかし1stヴァイオリンの音が綺麗です。

 メインのブラームス4番。定番曲だからなのか??前半は何だったんだと言うくらいの良い出来。全体的に後半の方がノってきたみたい。
 大友氏の指揮も盛り上がり、聴いていて、見ていて面白い。1stヴァイオリンの1プルトの2名がそろって激しい動きをするのでさらに面白かったです。1プルトの裏に座っていた方もコンマスやれる人なんじゃないかなぁ。動きを見ていてそう感じました。実際普段はコンマスやってそう。。。何故ゲスコンを・・・と疑問がここでも・・・。どんなに良いコンマスだったからって石田様はあげませんから!うち(神奈フィルの事)のコンマスなんですから!
 個人的にホルンのファンファーレが気持ち良く決まったのでそれが良かったなー・と。

 また、アンコールは初演時にもそう言う演奏のされ方をしたとかで、ブラ4の3楽章を。なかなか良い演出だと思いました。










2006年4月5日 パソナチャリティコンサート
Wishing for Happiness


場所:サントリーホール
指揮:西本智実
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
曲目
バーバー/弦楽のためのアダージョ
プーランク/2つの行進曲と間奏曲
エルガー/「威風堂々」第1番
リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」
アンコール
 ハチャトゥリアン/仮面舞踏会組曲「ワルツ」

★石田ファンで及川ファンなお姉さまは最近は指揮者・西本智実嬢もお気に入りらしい。そんな訳で「貴方も西本さんを観なさい。」とプラチナチケット(所謂P席だが、西本嬢が振る演奏会ではそう呼ばれるらしい)を頂いた。気に入ったら次回からは自腹で行きなさいとの事なのだが、結構その値段を見て驚き。ぴ、P席がこのお値段ですか・・・!!!
 しかし、演奏を観て(あくまで観て)それも納得。おそらく皆様この西本嬢の美しいお顔ととてつもなくかっこいい指揮を観たいのだろう。P席から売れるというのも納得の演奏姿だった。

 演奏会はバーバー、プーランク、エルガー、リムスキー=コルサコフとなかなか謎のプログラミング。でも好きな曲と好きな作曲家ばかりで嬉しい。
 バーバーの「弦楽のためのアダージョ」は私の大好きな曲であるが、西本嬢の指揮は「この人はこういう曖昧な曲より派手派手しくきっぱりとした曲の方がきっと似合うな」と思わせる指揮(笑)。初めて観るくせにそう思っていたらプーランクの行進曲やエルガーは西本嬢のかっこよさが爆発した。やっぱりな〜。

 西本嬢は入場からして颯爽として格好良い。バレエをやっていたとかで、立ち居振る舞いがいちいちきぱ・ときまって素敵なのである。飾り模様の入った変形燕尾も男装の麗人と言う感じで、宝塚歌劇団の男役に通ずる魅力だなぁと思った。そういえばP席は女性客ばかりであった。もしかしたらあの中にはヅカファンがたくさん居るのかもしれない。この人は自分がどう見られているか分かっている人だ。

 西本嬢が指揮台に立つと殺気のような緊張感が走った。指揮棒が上がるまでの緊張感がとても良い。オケに指示を出すところなど「シビレル」のである。「きっ」とチェロを見たまま左手でパーカッションにビシッと指示を出したときなんてこちらがぞくぞくしてしまった。全くそちらを見ずにビシ!っと指示をするところがすごいカッコイイ!!視線でも指揮しているのだなぁ、と思いました。
 また、ずっと厳しい表情でいるわけではなく、指揮を振りながら楽しんでいるのが分かるのも魅力の一つかも。ふっと笑顔になったり、時折の表情の変化がとても魅力的なのだ。

 そして、今年一月に石田様のソロで聴いたシェエラザードを新日フィルのコンマス・西江氏のソロで。西江氏のシェエラザードは姫って言うか王子っぽいなぁ(<西江氏ファンに怒られますよ!)。多少音が堅めで硬派な印象を受けるからでしょうか。個人的にはシャリアール王の主題の西本嬢のノリノリっぷりが素敵だと思いました。ふと思い出したのは、ミューザ川崎の舞台裏で見られるサイン色紙。きっぱりとした文字は西本嬢の本質そのものなのだな・と思ったりして。

 今日のコンサートは「入門!西本智実!」だった訳ですが、とても楽しむことが出来ました。次は是非、西本嬢がロシアのオケを振る時に聴きに行きたいですね。しっかし、チケット代の事を考えると「・・・聴きにいけるのかしら?」と思ってしまいます(笑)










2006年4月8日 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第225回定期演奏会
『新しい響きを求めて』


場所:みなとみらいホール
指揮:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目
斉木由美/アンともフォニーV
スクリャービン/ピアノ協奏曲 嬰へ短調 作品20
ショスタコーヴィチ/組曲「ムツェンスク郡のマクベス夫人」

★神奈川フィル2006年の定期演奏会は「新しい響きを求めて」と言うタイトルにふさわしく現代音楽で スタート。コンマスは勿論石田様です。

 1曲目は2004年に作曲された斉木由美の「アンともフォニーV」。これは「昆虫の音」と言う感じの 造語で、正に虫の音を奏でる曲であった。
 プレトークで現田氏が60段の楽譜を見せてくださったが、それからもわかるようにオケはかなりの大編成。それなのに音楽は静謐。 ホルンが吹き口を掌で叩いたり、ヴァイオリンや管の後ろの方の人が突然マラカスを鳴らしたり、かなり面白い 演奏法がたくさんありました。普通の演奏をしていたパートなんて無いんじゃないかしら。と思うぐらい。

 2曲目のスクリャービンは小山美稚恵嬢のピアノで。メロディが素敵な曲で、予習をしなかったのを後悔しました。 相変わらず小山嬢は上手い!ピアノとオケの絡みが凄く良かったと思います。オケにメロディを引き継ぐ所とか、オケとの 関わり方を知っている演奏。同じメロディも多数のパートが担当する事で多彩な変化を魅せてくれました。

 そしてメインはショスタコーヴィチの組曲「ムツェンスク郡のマクベス夫人」。一旦は演奏不能状態にまで追い込まれた曲との ことでしたが、現代音楽を割合好きな館風的には俄然オッケー。
 オペラの間奏曲を集めた組曲とのことだが、ラストに現田氏のアイデアでオペラの終曲をフィナーレとして配置した特別バージョンで演奏された。
 それぞれの場面を繋ぐ音楽なので、前後を知っているとそのシーンを想像できる、雄弁な曲。現田氏がプレトークと休憩後にストーリィを解説してくれた お陰でストーリィはバッチリでした。
 ストーリィは裕福な商人の夫人(カテリーナ)が暇を持て余し、使用人のセルゲイと不倫し、それがバレそうになって舅と夫を殺し、セルゲイと結婚式を挙げるも 殺人が発覚してシベリア送りになる。と言うなんだか破滅的なストーリィ。しかもシベリア送りになる途中でセルゲイが若い女に走って裏切ったのを 知ったカテリーナはその女を殺して自分も河に飛び込むと言うラスト。

 特に気にいったのは3のラルゴ。主役のカテリーナが夫を殺すシーンに絡むだけあって、おどろおどろしいのだが、わざとらしいまでの オケの緊張の高まりが気持ち良く曲に合っている。案外こう言う曲も楽しいと感じる自分を発見しました。 お祭騒ぎ的な曲も大好きなんですけどね。
 そう言う点では4のアレグロは夫を殺したカテリーナが不倫相手のセルゲイと結婚式を挙げるシーンなので それまでとは打って変わった明るい、華やかな音楽なのですが、これがまたいびつな響きがするんです。とても グレゴリオ聖歌のパロディが入っているなんて思えない(笑)。むしろパロディがこう言う響きにするのかな? このアレグロもとても面白かったと思います。

 今回の演奏会は作曲者三者三様の音をそれぞれ創り上げた神奈川フィルに拍手。 同じ指揮者、同じオケ、曲が違うだけでこんなにも音が変わるのかと驚きでした。
 来月は石田様のソロもあり、注目の演奏会になりそうです。










2006年4月23日 第22回 かながわ音楽コンクール
ユースピアノ部門本選 記念演奏会


場所:神奈川県立音楽堂
ヴァイオリン:石田泰尚
曲目
バッハ/「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」より パルティータ第2番ニ短調 BMV.1004
ピアソラ/「タンゴ・エチュード」より第4番、第3番

★神奈川新聞社主催の音楽コンクールのピアノ部門本選の記念コンサート。 ピアノ部門だからこそヴァイオリンのコンサートなのか・・・??と勘繰ってしまう(笑)。因みに入場料は 朝からのコンクールも聴けて1000円。安い。

 バッハのパルティータは1月に聴いて、是非もう一度聴きたいと思っていた。もったいぶり過ぎない、石田様らしい 真摯な演奏で、淡々としているようで揺らす所は揺らしてくる。このゆらぎが面白い。 そして恐ろしいくらい正確な演奏で、若い演奏家志望のこどもたちに 演奏とはこう言うものだと教えているようだった。正に言葉より身体で、演奏で示す・なのですね。

 そしてピアソラ。これは4番を先にやって、3番をやったので上記の様な書き方になっています。 4番は静かな、ゆっくりとした響きの美しい曲で、ホールの隅々まで音が染み渡る感じ。この響きの海に体をゆだねるのが とても気持ち良かったです。如何せんエチュードなので曲自体が短いのが残念。
 3番は典型的なタンゴのモチーフが何度も現れる、超絶技巧的曲目。気持ち良いぐらいの超絶技巧を 軽々とやってのけ、最後はカッコ良くフィニッシュ。うーん。これはちょっと、カッコ良すぎるのでは無いだろうか。

 気持ち良い演奏で終わった、と思った所、審査結果発表まで時間があるからか、石田様のインタビューがスタート。 始めは石田様も緊張していたのか、「そうですね、はい。」ばっかりだったのが段々とトークが盛り上がって行きました。
 やはり音大進学を決めた時の話や、これから演奏家になりたいと思うこどもたちへのメッセージが良かったです。 ピアノ部門のコンクールでの演奏会なので、ピアノの話題になったのですが、「ピアノは凄くヘタです。」と何度も仰っていました。 しかも音大進学を決めたのが高3の秋だったので、それからピアノの猛特訓をしたとの事。それで一発で大学合格してしまうのですから、 やはり石田様ってばすごいです。
 こどもたちへは『楽しんで演奏して欲しい、そして、観客を楽しませて欲しい、楽しませようと演奏して欲しい』 と言う様なメッセージを贈っていました。いつも楽しんで演奏される石田様らしいメッセージだったと思います。
 こんなに楽しいアフタートーク付きの演奏会は滅多にありませんよ!!とても楽しかったです!







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