2006年3月22日
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:現田茂夫
ソプラノ:佐藤しのぶ
ソプラノ:臼木あい
テノール:福井敬
バリトン:宮本益光
御案内:青島広志
コンサートマスター:石田泰尚
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目
第1部【禁断のオペラ ドン・ジョヴァンニ〜ハイライト!】
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より
序曲
「シャンパンの歌」宮本益光
「お手をどうぞ」宮本益光、臼木あい
「ドン・オッターヴィオ、私死んでしまう」佐藤しのぶ
「窓辺においで」宮本益光
「恋人よ、さあこの薬で」(薬屋の歌)臼木あい
「いいえ違います、私はあなたのもの」佐藤しのぶ
第2部【スター競演!ドラマティック・アリア】
ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
ヴェルディ/歌劇「運命の力」より「神よ平和を与えたまえ」佐藤しのぶ
ヴェルディ/歌劇「リゴレット」より「風の中の羽根のように」(女心の歌)福井敬
モーツァルト/歌劇「魔笛」より「オイラは鳥刺し」宮本益光
モーツァルト/歌劇「魔笛」より「復讐の心は地獄のように胸に燃え」(夜の女王のアリア)臼木あい
プッチーニ/歌劇「トスカ」より「星は光ぬ」福井敬
プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」臼木あい
プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」佐藤しのぶ
プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」福井敬
アンコール
ヴェルディ/歌劇「椿姫」より「乾杯の歌」
★豪華だからこそガラコンサートと言うのでしょうが。それにしたって豪華だったんじゃないの?!と言うコンサートです。世界の佐藤しのぶ様(青島先生がそう呼ぶのはしのぶ様だけだそうです)に、ミスターテノール福井敬氏、現在バリトンだとこの人が一番!と勝手に私が思っている宮本益光王子、二期会で一番可愛い(と青島先生がおっしゃる)臼木あい嬢。ソリストを見るだけでもこんなに豪華なんです。それで指揮がオペラの現田茂夫氏、御案内が青島広志氏、オケは神奈川フィル、かんぺきじゃないですか。珍しくきっちりS席を取った館風、ミューザの素晴らしい音響効果を楽しみました。
前半のドン・ジョヴァンニは全く観た事が無かったのですが、知っている曲があって驚き。そしてその曲の意味を知って更に驚き。「お手をどうぞ」ってこう言う内容だったんだ……(汗)。
それにしても、ソリスト達の素晴らしい歌声!豊かな声量ときめ濃やかな感情表現がそのシーンをホールに再現してくれました。衣裳なんて身につけていなくてもその演技だけで充分なのですね。
実は佐藤しのぶ嬢を前から聴くのは初めて(サントリーで後ろから聴いた事ならあった)。もう、舞台に現れた瞬間のオーラが違う!!そして迫力の歌声!!復讐を求める女の声ってこんなのか!!と言う思いを感じさせます。
後半は作曲家毎にブロックに分けて。
ミスターテノール福井氏は、歌いながら舞台をいったりきたりし、2階席サイドの学生達にもサーヴィス。そちらを向くと完全に声が向う側へ飛んでいくのが分かりました。声ってこんなに方向性があるものだったのですね。この曲は陽気すぎて会場を半狂乱に陥れました。この曲の後から会場はどんどん半狂乱へ(笑)。
パパゲーノの宮本氏は変な帽子を被って2階席から登場!ミューザは2階席から登場しても会場内を通って舞台へ上れるのでこう言うオープンなコンサートには良いですね。
以前もこの曲を聴いたのは宮本氏の演奏だったのですが、本当にこの人はエンターテイナーです。小鳥の声を模した笛も綺麗に演奏しちゃったりして、会場の笑いを独占(いいのか笑いで)しておりました。素敵。
臼木嬢の夜の女王は実は2月にも観ました。でも何度聴いても素晴らしいコロラトゥーラ!コンサート前半はオレンジ色のドレスだったのですが、後半は水色のドレスに着替え、この夜の女王のアリアだけ黒手袋で登場しました。背中が編み上げになっているとても可愛いドレスです。
実は演奏前に青島氏が「本当は女王は娘に裏切られて寂しいと言う思いでこの歌を歌っているんじゃないだろうか」とおっしゃっていたのですが、まさにその通り。臼木嬢の女王は復讐を誓い、怒ってはいるものの、どこか純粋さの残る女王なのです。素晴らしい演奏でした。
また、その後の「私のお父さん」での最後のPPPの美しさと言ったら素晴らしかったです!弦楽器のピアノに負けないピアニシシモで、「死んでしまいたい」と歌いながら本当に死んでしまうのではないかとおもったくらいでした。
その間に挟まった福井氏の「星は光ぬ」。これ、今回のトリノのフィギュアで誰か踊ってましたよね。静かでありながら情熱的なこの曲、福井氏にぴったりなのです。
そして、蝶々夫人の佐藤嬢。こんなに純真に、ピンカートンの事を信じていた蝶々さんがあっただろうか。メロディに添えるコンマスソロとの絡みが美しい。
そして、やっぱり歌ったこともあるこの曲が一番好きです。プッチーニ、トゥーランドットより「誰も寝てはならぬ」。
あの時も福井敬氏の演奏だったのですが、やっぱり素晴らしいです。腰砕けになるくらいカッコ良いですよカラフ王子!!そして実はこの曲、私、歌が終わってからが好きなんですよね……コンマスを見てればその理由は分かると思うんですけど、ええ、好きなんです。この曲のあの部分の石田様は我を忘れてる様に見えるくらいスパークしていて好きです。もう大好き。
そう言えば、帰り道私の前を歩いていたお母さんが娘に向かって「最後コンマス凄かったのよー!」と興奮して話していました。うふふ。このままコンマスのファンになるが良い!!
そして、以前錦織健氏が「この曲をやると『終わりよければ全てよし!』って気分になるんだよね!」と仰っていた「椿姫」の「乾杯の歌」。実はこの曲のコーラスだけ歌えてしまったりする館風です(<以前その部分だけ歌う仕事があった)。他の観客より3倍くらいは楽しみました(笑)。
まるで「何も打ち合わせしていません!!」みたいな仕種で歌うソリスト達の演出がとても素敵だと思いました。歌詞の意味全く解ってないのであのアドリヴがどんなものだったのかおぼろげにしか分からない自分が切ないですが。でもこの曲で「〆!」って感じ、しますねぇ〜。
今回の演奏会、チケットが手に入りにくかった模様です。実は館風「チケット売れてないんで打って下さい」と言われたんですよ。なのにその直後からチケット売れだしたらしいです。そして上から下までホールはほぼ満席。SやAは完売だったみたいです。P脇の空いていた席は学生席だったみたいですね。1000円でこのフルキャストメンバーの演奏が聴けるなら私は喜んで来るけどなぁ。学生の時分から良い演奏を聴いて、良い舞台を肌で感じる事が出来る環境が有るって言うのは素晴らしい事なので、ぜひとも活用してもらいたいと思います。県内に神奈川フィルと言う素晴らしい演奏団体がある事に感謝して……。