2006年演奏会日記3月

3月4日 ★シュナイト音楽堂シリーズVol.[@神奈川県立音楽堂
3月9日 ★題名のない音楽会21公開録画@タケミツメモリアル
3月18日 ★神奈川フィルハーモニー管弦楽団第224回定期演奏会@MMH
3月22日 ★神奈川フィルハーモニー管弦楽団スペシャルガラコンサート@MK



2006年3月4日
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
特別演奏会
シュナイト音楽堂シリーズVol.[
「フィルハーモニーの原点」


場所:神奈川県立音楽堂
指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
コンサートマスター:石田泰尚
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目
 ブルックナー/弦楽五重奏曲 ヘ長調WAB.112(弦楽合奏版)
 ベートーヴェン/交響曲第5番 ハ短調作品67「運命」

★シュナイト音楽堂シリーズ、今回はブルックナーとベートヴェン。ベートーヴェンプロだとこんなにお客が入るのか!と言う感動の入り(笑)。やはりベートーヴェン好きは多いんだなぁと実感しました。

 ブルックナーのこの曲は3楽章のアダージョが有名ですが、全曲聴くのは初めて2楽章の不思議な転調にびっくりし、3楽章の美しさに心をうたれ、4楽章でカッコよさに興奮すると言う忙しい曲であった。
 元々の曲は45分くらいで演奏されるようだが、シュナイト氏の演奏はたっぷり1時間くらいのどっしりとした演奏だった。それでも長すぎると感じないのはシュナイトマジックだろう。このくらいどっしりしているのがまたブルックナーにぴったりだと思いました。

 そして「運命」。色々な人が「運命で泣かされるとは」と書いていますが、正にその通り。この震える様な感動は神奈川フィルにしかできない演奏だったと思います。
 冒頭のおなじみのモチーフは全体にアクセントを置いた巨匠らしい演奏で、シュナイト氏の演奏の方向性が垣間見えた。ただただ圧倒的な第一楽章の後、主題と変奏が面白い2楽章。管がメインだが、チラリと見える弓の動きが激しい!と思ったらコントラバスの黒木氏でした(私の席からは角度の関係で黒木氏が殆ど見えなかったのです)。オーケストラもエキサイトしているのが判った瞬間でした。
 普段メインのメロディだけを追ってしまう癖があるのですが、今回は対抗旋律が面白くて、そちらにも注目する事ができました。主旋律のみでなく、色々な所で面白い事をやっていて、この曲は是非オケ全体を俯瞰できる席で観たかったとと思いました。交響曲はこう言う部分が楽しくて好きです。

 最近の神奈川フィルはどうしたのだろうか。ここ一年くらいびっくりするぐらいの名演奏が続いている。演奏後、拍手を出来ないくらいの衝撃に襲われるのもしばしばだ。この傾向はファンとしては凄くうれしい事だ。これからもこう言う演奏を、更にその上を目指して活動していって欲しい。










2006年3月9日
 題名のない音楽会21公開録画


場所:東京オペラシティ タケミツメモリアル
司会:羽田健太郎 大木優紀
指揮:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第1部:「クラシック楽器入門part.2」
 ゲスト:青島広志
第2部:「第2回 音楽センター試験」
 ゲスト:前田憲男 大谷康子 曽我大介 青島広志

★今回はバッチリ抽選漏れし、しっかり当てた友人の御好意で聴きに行きました。本当にありがとうございます!!

 第1部では神奈川フィルの首席奏者が活躍し、いつもは目立たない楽器やパートを紹介。 フルートの山田嬢やトランペットの中島さん、トロンボーンの御三方等、神奈川フィル特集。ヴァイオリンが無いのがとっても残念だが、これが既にパート2なので仕方が無い。
 楽器の成立や特徴などの解説もあって、なかなか面白い。また、青島氏がゲストで解説してくれるのだが、その際に各楽器に付けたキャッチフレーズがあって、それが面白い。フルートは「鳥の妖精さん」だし、ピッコロは「稲妻なやつ」であるし、ピッタリなキャッチフレーズだ。是非放送で確認して欲しい。本放送は4月30日。

 第2部は先日放送された音楽センター試験の第2回。これがまた、オケ虐めの企画が満載で、神奈川フィルファンの館風としては「神奈川フィルよくやった!!」と言う気分。
 クラシックイントロクイズでは誰もがすぐ分かる曲から「あー!知ってる!知ってる!けど、タイトル何?」と言う曲まで。間違え方とかもなかなか面白かったです。
 また、私が一番好きだった企画は曽我大介さんの音なしクイズ。エアオケによる出題で、指揮を振ってはいるけれど、音は出てない・と言う状態で何の曲を演奏しているのか当てると言う超絶難しい問題でした。曲は全く当てられませんでしたが、演奏している振りをする神奈フィルに笑ってしまいました。真剣に一人指揮を振る曽我氏を見上げながら石田様も爆笑。もしかしたら本放送で石田様の笑顔が見られるかもしれません。
 また、最後に青島さんから出題された「オーケストラ間違えクイズ」は譜面と違う事をオケに演奏させ、それを解答者が当てる・と言うもので、殆ど分かりませんでした。ただ、一箇所だけ当てられたので、それは嬉しかったです。是非本放送では皆様もお試しあれ。因みに本放送は4月23日。










2006年3月18日
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第224回定期演奏会『天国への憧れ』


場所:みなとみらいホール
指揮:現田茂夫
ヴァイオリン:神尾真由子
ソプラノ:釜洞祐子
コンサートマスター:石田泰尚
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目
 バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第2番
 マーラー/交響曲第4番ト長調

★神奈川フィル、2005年シーズン最後の定期演奏会はバルトークとマーラー。常任指揮者の現田茂夫氏と、ソロコンサートマスタの石田泰尚氏の黄金コンビだ。この2人が乗っている演奏は安心して聴ける。

 前半のバルトークはまだ19歳の神尾真由子嬢が素晴らしい演奏を魅せてくれた。バルトークのこのヴァイオリン協奏曲はハンガリーの音と近現代音楽な音が交じり合った曲。聴いていてわくわくする様な楽しい曲だ。
 しかし、あの、どうした事か、マーラーを聴いたら全部ぶっとんでしまった。

 実は館風、マーラーの予習が出来なかった。CDで聴いているだけで眠くなると言う魔の曲である。なんじゃこりゃあ・と言うのが印象。
 やはり生で聴くのは違う。2挺のヴァイオリンを持って石田様が登場。もうそれだけでテンションが上がるってもんです。

 マーラーでは良くある事ですが、特殊な演出がそこここでされています。クラリネットがホーンを客席にまっすぐ向けたり、オーボエも同じ様に楽器を高く掲げてみたり、ソロヴァイオリンが全音高いチューニングでソロを弾いたり。
 個人的にはこのクラリネットがとても面白かった。上を向いて楽器を吹かなきゃいけないから凄く苦しいはずですが、音響効果が凄くて、楽器が高く上がった瞬間に音が変わるのがとても面白かったです。クラリネット3人が揃って楽器を上げるのでとても壮観でした。動きも揃ってたし!(揃ってて当たり前だけど)
 そう言えばクラリネットはちょくちょくバスクラに持ち替えておりましたが、2曲通して50回!!も持ち替えしていたらしいですよ!忙しいんだなぁ。。。

 さて。第2楽章の通常より全音高いチューニングのヴァイオリンでのソロですが。聴いているこちらはなんとも無いのですよ。ただちょっとオカシなメロディになっているだけで。おそらく一番大変だったのは弾いているコンマスでしょう。自分が弾いて、頭の中で鳴っている音と実際の音が全音もズレていたらおそらく気持ち悪くて仕方ないに違いない。しかしコンマスと副コンミスの全音ズレのデュエットはとても綺麗でした。

 そして3楽章。あまりの美しさに暫し放心。とてつもなく大きな流れに包まれるような感覚だった。ゆったりと、悠然と進んでいく音楽に神奈川フィルの音楽を感じた。

 今回の演奏会で嬉しかったのは、曲が閉じるまで誰一人として拍手をしなかった事だ。多分今回は客席も一緒になって演奏に参加していたのだと思う。シーズンの最後の定期演奏会がこう言う雰囲気で負える事ができて、とても嬉しい。










2006年3月22日
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート


場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:現田茂夫
ソプラノ:佐藤しのぶ
ソプラノ:臼木あい
テノール:福井敬
バリトン:宮本益光
御案内:青島広志
コンサートマスター:石田泰尚
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目
第1部【禁断のオペラ ドン・ジョヴァンニ〜ハイライト!】
 モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より
序曲
 「シャンパンの歌」宮本益光
 「お手をどうぞ」宮本益光、臼木あい
 「ドン・オッターヴィオ、私死んでしまう」佐藤しのぶ
 「窓辺においで」宮本益光
 「恋人よ、さあこの薬で」(薬屋の歌)臼木あい
 「いいえ違います、私はあなたのもの」佐藤しのぶ
第2部【スター競演!ドラマティック・アリア】
ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
ヴェルディ/歌劇「運命の力」より「神よ平和を与えたまえ」佐藤しのぶ
ヴェルディ/歌劇「リゴレット」より「風の中の羽根のように」(女心の歌)福井敬
 モーツァルト/歌劇「魔笛」より「オイラは鳥刺し」宮本益光
 モーツァルト/歌劇「魔笛」より「復讐の心は地獄のように胸に燃え」(夜の女王のアリア)臼木あい
プッチーニ/歌劇「トスカ」より「星は光ぬ」福井敬
プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」臼木あい
プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」佐藤しのぶ
プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」福井敬
アンコール
 ヴェルディ/歌劇「椿姫」より「乾杯の歌」

★豪華だからこそガラコンサートと言うのでしょうが。それにしたって豪華だったんじゃないの?!と言うコンサートです。世界の佐藤しのぶ様(青島先生がそう呼ぶのはしのぶ様だけだそうです)に、ミスターテノール福井敬氏、現在バリトンだとこの人が一番!と勝手に私が思っている宮本益光王子、二期会で一番可愛い(と青島先生がおっしゃる)臼木あい嬢。ソリストを見るだけでもこんなに豪華なんです。それで指揮がオペラの現田茂夫氏、御案内が青島広志氏、オケは神奈川フィル、かんぺきじゃないですか。珍しくきっちりS席を取った館風、ミューザの素晴らしい音響効果を楽しみました。

 前半のドン・ジョヴァンニは全く観た事が無かったのですが、知っている曲があって驚き。そしてその曲の意味を知って更に驚き。「お手をどうぞ」ってこう言う内容だったんだ……(汗)。
 それにしても、ソリスト達の素晴らしい歌声!豊かな声量ときめ濃やかな感情表現がそのシーンをホールに再現してくれました。衣裳なんて身につけていなくてもその演技だけで充分なのですね。
 実は佐藤しのぶ嬢を前から聴くのは初めて(サントリーで後ろから聴いた事ならあった)。もう、舞台に現れた瞬間のオーラが違う!!そして迫力の歌声!!復讐を求める女の声ってこんなのか!!と言う思いを感じさせます。

 後半は作曲家毎にブロックに分けて。
 ミスターテノール福井氏は、歌いながら舞台をいったりきたりし、2階席サイドの学生達にもサーヴィス。そちらを向くと完全に声が向う側へ飛んでいくのが分かりました。声ってこんなに方向性があるものだったのですね。この曲は陽気すぎて会場を半狂乱に陥れました。この曲の後から会場はどんどん半狂乱へ(笑)。

 パパゲーノの宮本氏は変な帽子を被って2階席から登場!ミューザは2階席から登場しても会場内を通って舞台へ上れるのでこう言うオープンなコンサートには良いですね。
 以前もこの曲を聴いたのは宮本氏の演奏だったのですが、本当にこの人はエンターテイナーです。小鳥の声を模した笛も綺麗に演奏しちゃったりして、会場の笑いを独占(いいのか笑いで)しておりました。素敵。

 臼木嬢の夜の女王は実は2月にも観ました。でも何度聴いても素晴らしいコロラトゥーラ!コンサート前半はオレンジ色のドレスだったのですが、後半は水色のドレスに着替え、この夜の女王のアリアだけ黒手袋で登場しました。背中が編み上げになっているとても可愛いドレスです。
 実は演奏前に青島氏が「本当は女王は娘に裏切られて寂しいと言う思いでこの歌を歌っているんじゃないだろうか」とおっしゃっていたのですが、まさにその通り。臼木嬢の女王は復讐を誓い、怒ってはいるものの、どこか純粋さの残る女王なのです。素晴らしい演奏でした。
 また、その後の「私のお父さん」での最後のPPPの美しさと言ったら素晴らしかったです!弦楽器のピアノに負けないピアニシシモで、「死んでしまいたい」と歌いながら本当に死んでしまうのではないかとおもったくらいでした。

 その間に挟まった福井氏の「星は光ぬ」。これ、今回のトリノのフィギュアで誰か踊ってましたよね。静かでありながら情熱的なこの曲、福井氏にぴったりなのです。

 そして、蝶々夫人の佐藤嬢。こんなに純真に、ピンカートンの事を信じていた蝶々さんがあっただろうか。メロディに添えるコンマスソロとの絡みが美しい。

 そして、やっぱり歌ったこともあるこの曲が一番好きです。プッチーニ、トゥーランドットより「誰も寝てはならぬ」。
 あの時も福井敬氏の演奏だったのですが、やっぱり素晴らしいです。腰砕けになるくらいカッコ良いですよカラフ王子!!そして実はこの曲、私、歌が終わってからが好きなんですよね……コンマスを見てればその理由は分かると思うんですけど、ええ、好きなんです。この曲のあの部分の石田様は我を忘れてる様に見えるくらいスパークしていて好きです。もう大好き。
 そう言えば、帰り道私の前を歩いていたお母さんが娘に向かって「最後コンマス凄かったのよー!」と興奮して話していました。うふふ。このままコンマスのファンになるが良い!!

 そして、以前錦織健氏が「この曲をやると『終わりよければ全てよし!』って気分になるんだよね!」と仰っていた「椿姫」の「乾杯の歌」。実はこの曲のコーラスだけ歌えてしまったりする館風です(<以前その部分だけ歌う仕事があった)。他の観客より3倍くらいは楽しみました(笑)。
 まるで「何も打ち合わせしていません!!」みたいな仕種で歌うソリスト達の演出がとても素敵だと思いました。歌詞の意味全く解ってないのであのアドリヴがどんなものだったのかおぼろげにしか分からない自分が切ないですが。でもこの曲で「〆!」って感じ、しますねぇ〜。

 今回の演奏会、チケットが手に入りにくかった模様です。実は館風「チケット売れてないんで打って下さい」と言われたんですよ。なのにその直後からチケット売れだしたらしいです。そして上から下までホールはほぼ満席。SやAは完売だったみたいです。P脇の空いていた席は学生席だったみたいですね。1000円でこのフルキャストメンバーの演奏が聴けるなら私は喜んで来るけどなぁ。学生の時分から良い演奏を聴いて、良い舞台を肌で感じる事が出来る環境が有るって言うのは素晴らしい事なので、ぜひとも活用してもらいたいと思います。県内に神奈川フィルと言う素晴らしい演奏団体がある事に感謝して……。







クラシック日記のトップに戻る

日記のトップに戻る

トップページに戻る


アクセス解析 SEO/SEO対策