2006年2月14日 MUZA Winter Box
〜音楽の贈りもの〜
No.2 大人のバレンタインコンサート
―リチャード・ロジャーズとアストル・ピアソラの出逢い―
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
出演
佐山雅弘トリオ M's
ピアノ:佐山雅弘
ベース:小井政都志
ドラムス:大坂昌彦
トリオ・リベルタ
ヴァイオリン:石田泰尚
サックス:松原孝政
ピアノ:中岡太志
曲目
〜オープニング〜 ピアソラ/来るべきもの
第1部 アストル・ピアソラの世界【トリオ・リベルタ】
アディオス・ノニーノ
ブエノスアイレスの冬
ブエノスアイレスの春
悪魔のロマンス
鮫
リベルタンゴ
アンコール:ミロンガ・ピカレスク
第2部 リチャード・ロジャーズの世界【佐山雅弘トリオM's】
時さえ忘れて
リトル・ガール・ブルー
恋に恋して
春のごとく
マイ・ファニー・バレンタイン(M's&石田泰尚)
私のお気に入り(M's&トリオ・リベルタ)
アンコール
ピアソラ/ブエノスアイレス午前零時
★仕事で行けないかも……と凹んでチケットを手放した物の、当日行って当日券を買いました。結構当日券が出ていたのでちょっと残念。結構良い席で聴けたのですけれど、そうか……まだミューザをいっぱいにはできないか……と思ってしまいました。
ミューザのこの企画、タンゴのトリオ・リベルタとジャズの佐山雅弘トリオM'sのコラボレートが目玉。オープニングと称し、佐山氏のピアノと石田様のヴァイオリンでピアソラの「来(きた)るべきもの」。ピアノが違うとこうも演奏が違うのかと言う印象。
本編は若手のトリオ・リベルタが先に演奏。ピアノソロが美しいアディオス・ノニーノからなのだが、中岡氏、ちょっと調子悪い模様。うーん。
それにしても石田様の演奏はいつも丁寧で、弾き散らすと言う事がない。どんなに速い曲でもそれは変わらない。だからしっとりとした所からアップテンポの曲調に移っても軽くならないし、むしろ凄みをもって迫ってくる。
ブエノスアイレスの冬は四季シリーズでは1番好きなので、演奏してくれて嬉しい。この冬が春になる劇的なのに自然な変化、なんと言おうか、なるべくして春になるみたいな、そう言う音がするのが好きだ。何よりヴァイオリンが美しいのが良い。
今日のプログラムはピアソラを初めて聴くと言う人にも入りやすい派手な曲目が大目(と言うよりもオープニングがしっとりしていたからかな?)でかなり興奮してしまいました。
後半は佐山雅弘トリオM'sでリチャード・ロジャーズの世界。
ジャズはよくわからないのだが、このスイング感がたまらなく気持ち良い。なんとなく聴いた事があるかもと言う曲が多いのだが、見事なアレンジ&アドリブの為に既に元曲が解らないことのほうが多かった様に思う(笑)。
一曲一曲がかなり長く、その中で変化を楽しむ音楽だった。クラシックで言うならなんとなく変奏曲っぽい面白みがある。
マイ・ファニー・バレンタインでは我らが石田様も参加。お客様状態での演奏かと思いきや、案外ガッツリ絡んでいくではありませんか。アグレッシブな石田様は演奏を聴いていてかなり面白いです。どうも石田様の超絶技巧パートは佐山氏が昔録音したピアノ演奏を譜面にしてヴァイオリン用にアレンジしたものなのだとか。佐山氏は譜面になっていたら弾けない事も、アドリブだと弾けるとの事。逆に石田様たちトリオ・リベルタはアドリブよりも譜面になっていた方が得意なのだとか。流石にジャズマンはアドリブが得意なんですね。面白いなあ。
アンコールの「ブエノスアイレス午前零時」では、全員参加での演奏で、これがまた面白い。午前零時、人気の無い街角で風が吹く様子等が眼に見えるようでした。特に佐山氏が楽譜をガサガサと音をさせたのには感動。街角を捨てられた新聞などが散っていく様子がありありと目に浮かぶ演出。割と驚いた人も居たみたいだけれど、ああ言う演出、私は大好きです。
やはり、ピアノ2台にヴァイオリン、ベース、サックス、ドラムスでの演奏と言うだけあって、音が厚くてとてもカッコイイ!!今回のピアノソロは佐山氏だったのですが、このピアノソロがめちゃめちゃカッコイイ。流石ジャズ畑!
佐山氏にはかなり楽しませて頂きました。トークも面白いし、もっと狭いジャズバーみたいな所で聴いたらもっと面白いんじゃないかなぁ・と思いました。ミューザにも小ホールがあったらよかったのに。個人的にはミューザはよく響くホールなのでどの楽器もマイクは要らなかったんじゃないかなぁと思いました。
またいつか、こう言うコラボレーション企画があったら面白いな・と思いました。