2005年演奏会日記10月

10月8日 ★横濱JAZZプロムナード トリオ・リベルタ@情文ホール
10月9日 ★神奈川フィル第219回定期演奏会@MMH
10月10日 ★羽田健太郎 魅惑のコンチェルト&情熱のシンフォニー@サントリーホール
10月15日 ★ヴィオラ&オーケストラの世界@神奈川県立音楽堂




2005年10月8日 横濱JAZZプロムナード
 トリオ・リベルタ

場所:情文ホール
出演:トリオ・リベルタ
ヴァイオリン:石田泰尚
サックス:松原孝政
ピアノ:中岡太志
曲目:作曲は全てアストル・ピアソラ
ブエノスアイレス午前零時
アディオス・ノニーノ
悪魔のタンゴ
悪魔のロマンス
ミロンガ・ピカレスク
タンゲリアV
ブエノスアイレスの冬

私自身の肖像(ミルトンの肖像)
乾杯
アンコール
リベルタンゴ

★1年ぶりにジャズプロムナードの季節がやってきた。今年もトリオ・リベルタは絶好調。 リハから満員御礼と言う状態で、係員も苦笑い。だって前の団体が終わる頃に前の方の席を狙って入ってくる人 続出だもんなぁ。。。(苦笑)。
 あ、でも私は前の団体のピアニストのピアノは好きだったよ。あの即興性はカッコ良かったです。

 さて、リベルタはいつも通りの安定感のある演奏で、益々コンビネーションが充実してきた。 ただ、時折ピアノとバラけたのが残念。おそらく3人が横一列になっていたのでアイコンタクトを取り辛かったんじゃないかなぁ。 時々松原氏と石田様はしっかり顔を見合わせていたし、舞台が狭い情文ホールでは仕方が無い事かも。

 アディオス・ノニーノ、悪魔のロマンス、ブエノスアイレスの冬、と、それぞれの楽器が格好良いソロがある曲が まんべんなくちりばめられたプログラムはグッド。最近私のお気に入りのミロンガ・ピカレスクもあって嬉しい。 軽快なリズムに石田様も体を揺すりながらの演奏で、曲に合わせてぴよっと足が上がっちゃったりしてかわうい(またそう言う事を…)。
 新曲(?)のミルトンの肖像こと「私自身の肖像」は中岡氏は暗い曲だと紹介したけれど、ヴァイオリンはよく謳うし、 テナーサックスの甘いソロがあったりして雰囲気の良い曲でした。

 最後のリベルタンゴでは、石田様はかなり遊びながら、楽しみながら演奏して居た様に見えました。ここではわざと松原氏と顔を見合わせ、 ニヤリとわらってタイミングを合わせていました。その時の2人の悪戯っぽい笑みが素敵!!(ばったり<卒倒)

 ただ、今日気になったのは一度も石田様のヴァイオリンが回らなかった事。定番の鮫とリベルタンゴでも回らなかったからなぁ。。。 石田様としては満足行く演奏では無かったと言うことでしょうか。演奏者の方は更に上を目指すんですねぇ。その姿勢もまたカッコ良いなぁ。 次の演奏会に期待・です。














2005年10月9日
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第219回定期演奏会『仮面の作曲家』

場所:みなとみらいホール
指揮:現田茂夫
チェロ:ナサニエル・ローゼン
ソロ・コンサートマスタ:石田泰尚
曲目
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番変ホ長調作品70
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲作品33
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調作品47

★神奈川フィル定期に久々に石田様が帰って来た。9月定期をお休みしただけなのですが、 8月は無いので本当に久し振り。でも現田氏とのコンビネーションは既に見に染み込んだ物であるのか、 違和感やぎこちない所は全く無い。時折現田氏へ向ける視線が鋭く、指示を何一つとして見逃さんとしている様。

 前半のショスタコーヴィチとチャイコフスキーを一緒に聴くと、まるで違う音楽だと言う事が良く分かる。 同じロシアなのだけれど、ここまで方向性が違うものなのかと痛感する。前半のショスタコが硬く、攻撃的な音色で あったのに対し、チャイコは柔らかく、華やかで包み込むような音色。これにはびっくりしました。

 ショスタコの9番では、1楽章に石田様のソロがあったりして中々聴き所アリ。道化風のピッコロや、 2楽章のクラリネットからバスーン、フルートへと移るソロなんかも酔っ払いみたいな音で面白い。 想像力を掻き立てるメロディが多く、なんだか映画音楽を聴いているような気分になった。ドラマチックと言う風にも言えるかもしれない。ただ、ちょっと 暗すぎるかもしれないが(笑)。
 トランペットソロや金管隊のファンファーレも中々良い音をさせていて良かったです。 最終楽章の凱旋行進曲は、凱旋にしてはちょっと不協和音が多くて不思議な気分になりました。 不安を煽るような音になっているんですよね。。。この辺りがショスタコが仮面の作曲家と言われる所以なのかしら。

 チャイコのロココ風はナサニエル・ローゼン氏の素晴らしいソロで。間近に聴くとかなり呼吸が聞こえて、びっくりしました。 うーん、気合が入っている人ってみんなそうなのかしら……(コンバスの黒木氏もソロの時は呼気凄いよね)。
 音は、と言うと、深めの音なんですが、曲想の付け方が素敵。私は凄い好きだなぁ。これを声楽でやられると凄く嫌いな付け方なんだけれど、 楽器でやる分にはOK。と言うか、こう言う遊びが入っていないと楽器は色気が出ませんから。そう、色気の有る音なんですよ。これが結構イイです。
 しかも、音のよさだけではなく、かなり技巧的な所も激しい曲なのにそれを難なく弾ききっているところからも素晴らしい演奏家である事がわかりますよね。

 さて、本日のメインはショスタコーヴィチの第5番。略してタコ5(と言うらしいよ)。
 神奈川フィルの弦は巷で「魅惑の弦」と言われているらしいですが、それだけの事はあります。 ビチリと嵌った弦の統率感、ハーモニーは素晴らしい。今日は特にヴァイオリン2パートが素晴らしかったなぁ。。。ヴィオラも 首席奏者が居ない中、段々安定感を増してきたし、弦は本当に素晴らしい。
 1楽章のラストや、2楽章のコンマスソロの石田様の演奏も本当に素晴らしかったです。安定した高音で微妙な音楽の機微を 表現されて、聴いている方の心にストレートに這入って来る音ですね。ううむ。

 3楽章はパンフに初演時、観客が涙にむせんだとあったが、現田氏はあまり強烈に涙を誘うようには造らなかった様だ。 ただ、淡々と端整な演奏をする事で逆に涙を誘った。しかし、「あー…泣いちゃうかも。」と思った良い所で3楽章が終わり、 全てを裏切る様な第4楽章に突入したのでちょっと残念。それにしても、第4楽章には全てを叩き伏せるだけのパワーがありますね。 コンマスとトロンボーンがノリノリでした。凄い印象的。笑顔が違うよ……。いや、演奏者が楽しそうだと見ているこちらも楽しいから良いんだけど。。。

 実は明日も同じ曲を聴いたり(笑)。指揮が変わればどう変わるのか。それも楽しみ。

















2005年10月10日
 羽田健太郎音楽家生活35周年記念
魅惑のコンチェルト&情熱のシンフォニー
〜より熱く!よりしなやかに!〜

場所:サントリーホール
指揮・ピアノ:羽田健太郎
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
コンサートマスター:石田泰尚
曲目:バーバー/弦楽のためのアダージォ
ガーシュウィン/ピアノ協奏曲へ調
ピアノ・アンコール:ショパン/ノクターン20番
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調作品47「革命」
アンコール:ベルリオーズ/ローマの謝肉祭序曲

★羽田健太郎氏の音楽家生活35周年を記念したコンサートツアーの一番のメインイベントとも言える今回のコンサート。「あの」羽田氏が一言も喋らなかった。それだけでもこのコンサートに向ける羽田氏の気合は分かるだろう。

 始まりはバーバーの弦楽のためのアダージォ。弦楽四重奏の2楽章をオケ向けに編曲したものであるが、この一曲だけで充分素晴らしい音楽が詰っている。もう、聴くだけでただただ涙である。神奈川フィルの弦は全てのパートがバランス良く纏まっていて、変な雑味が全く無い。澄み切った空気の様な音楽は神奈川フィルならでは。緩やかに、命の灯が消えるように突然訪れる幕切れはこちらの息まで止められてしまったかのようだ。

 ガーシュウィンは羽田氏の弾き振りで。これだけの曲を弾きながら振るって言うのが凄い。石田様はいつもより動きが2割増(笑)。背中でオケを振っていましたね。
 ガーシュウィンらしく、お洒落なメロディで、クラシック、時々映画音楽。と言う感じ。 第2楽章のミュートを付けたトランペットソロも面白い演奏だった。第3楽章が一番クラシックに寄っていると思うのだが、なんだか時々ドラマチックな音楽が顔を出して、中々バラエティに富んだ曲だった。ピアノがオケの方を向いていたのでどの席に座って羽田氏の超絶技巧も楽しめました。

 ショスタコの5番は前日の現田氏との違いを楽しみました。羽田氏の5番はなんと言うか、じっくりとした造りだった気がします。テンポは昨日にくらべてちょっと遅め。でも四楽章は前半がゆっくりしていたせいでかなり速く感じました。指揮者が違うとここまで曲が変わるのですね。

 羽田氏はちょっとお疲れモードの様でしたが、アンコールもばっちり指揮をなさいました。アンコールのローマの謝肉祭序曲は色々なパートが主役になる華やかな曲で、アンコールとして相応しかったです。
 羽田氏は今年はこの演奏会へ向けて、かなり大変だったようですね。35周年を一区切りとしても、ひとつの通過点として、お体を大事にしてこれからも頑張って行って欲しいですね。

















2005年10月15日
バシュメットin音楽堂2005
 ヴィオラ・熱情。
T ヴィオラ&オーケストラの世界
“天と地への賛歌”

場所:神奈川県立音楽堂
ヴィオラ:ユーリー・バシュメット
指揮:広上淳一
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
合唱:神奈川フィル合唱団
コンサートマスター:石田泰尚
曲目:ギア・カンチェリ/Styx(ステュクス) 【日本初演】
ベルリオーズ/イタリアのハロルド

★今回は館風は合唱団として参加。いつもの様に石田様ばっかり見ていたら置いていかれる(笑)と言うシビアな曲だった為に自分の仕事に集中(って、いつも手を抜いている訳ではありませんよ。いつもは歌うところが少ないんですぅ。念のため)。
 それにしてもバシュメット氏のヴィオラは凄い。一発目の音から深みがあって心地よい。聴き惚れていると置いていかれるんですけどね★(<シャレになってません)

 ステュクスはグルジア語の曲なので分かり難いかもしれませんが、歌詞の翻訳がちゃんとパンフレットに載っていたので一安心。皆様にも歌詞の意味を分かって聴いていただけたかと思うと嬉しいです。言葉の雰囲気だけでも感じていただけたらな・と思います。その為にはもう少しいい音程で歌えって話デスカ……。ごめんなさい……。
 でも、分かり難い現代曲(笑)にしては美しいメロディも多いし、楽しめたのではないでしょうか?ヴィオラのソロパートが奏でるメロディは本当に良いメロディが多かったですね。
 最後にコントラバスとヴィオラソロが弓で弦を音が鳴らない様に擦ったり、合唱団が口で「スーッ」とかしていたのはあれはグルジアの風をイメージすると良いらしいです。作曲者がどう考えて作ったかは知りませんが、言葉の指導に来てくれたグルジア人の先生が「あのシーンはグルジアの風が吹いているみたいでした。」と仰って下さいました。そう言えば、会場には外国人の方が結構居られましたね。もしかしてグルジアの方だったのかしら。

 後半はベルリオーズ。オケとヴィオラソロの対比が面白い曲。ヴィオラソロの為に作られたにしてはヴィオラソロ少なめ。中々面白い音が入ってきたり、現代音楽寄り。私はこう言う音の造りは好きだけれど、古典が好きな人は苦手かもしれない。まぁ、「レリオ」の人だもんね……(笑)。

 本日の曲目は割合現代曲寄りでしたが、明日以降のプログラムは割合古典も入っている模様。気になる人は足を運んでみては如何?

 さて。今日残念だったのは、観客が少なかった事。折角の日本初演だし、是非色んな人に聴いて貰いたかった。前方の中央のブロックとその左右のブロックの3つのブロックは大概埋っていたのだけれど、後方席はガラガラ。残念でなりません。
 主催がどこだか知りませんが、ホールをお客様でいっぱいにすると言う事は、大事な事です。演奏者もお客様が居れば演奏に対するモチベーションも上がるはず。勿論、プロですから、たった一人の観客でも素晴らしい演奏をしようとは思うでしょう。しかし、演奏会の雰囲気を作り上げるのは演奏者と観客、双方の作用なのです。たとえ利益を目的としていなかったとしても、観客を入れる努力を主催者にはして欲しいと思いました。
















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