2005年9月3日
女性部会30周年記念チャリティーコンサート
羽田健太郎 音楽生活35周年
ピアノファンタジー
場所:森のホール21
出演:ピアノ・司会:羽田健太郎
ヴァイオリン:石田泰尚
ソプラノ:羽田紋子
曲目:第1部
羽田健太郎/渡る世間は鬼ばかり(pf solo)
羽田健太郎/秋のエチュード(pf solo)
ドビュッシー/月の光(pf solo)
クライスラー/愛の喜び(Vn pf)
ラフマニノフ(クライスラー編曲)/パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏(Vn Pf)
ドビュッシー/ヴァイオリンとピアノのソナタ(Vn Pf)
ヴァイオリンアンコール
モンティ/チャールダッシュ
第2部
ショパン/ノクターン第20番嬰ハ短調「遺作」(Pf solo)
プッチーニ/「ジャンニ・スキッキ」より”私のお父さん”(sop Pf)
曲:服部良一 詞:佐藤ハチロー/胸の振り子(sop Pf)
ミュージカルメドレー
「アイ・フィール・プリティー」〜「サウンド・オブ・ミュージック」〜「メモリー」〜「星に願いを」(sop Pf)
「ニューヨーク・ニューヨーク」(sop Vn Pf)
アンコール
「君と旅立とう」(sop Vn Pf)
「犬のお巡りさん」〜「子犬のワルツ」
★地元の女性部会30周年記念として、社会貢献の一貫として行なわれたイベント。
それもそのはず、座席はブロック分けされており、一般客が座る座席と招待客が座る座席とで分けられていた。
その招待客と言うのは地元の小中学校の生徒たち。良い音楽に触れることは大事。なかなか粋な企画である。
が、自由席でそれをやられるのはちょっと……うーん。下手に座りたかった羽田ファンは居たと思うなぁ。
さて、演奏の話を。
始めは御馴染み、羽田氏の「渡る世間は鬼ばかり」から。テレビで聴いているバージョンとは全く違い、かなりテンポは速いし、
ジャジィなアレンジも入っているし、いきなり羽田氏のタレントを見せ付けられた感じ。
ピアノ曲2曲は正統派の演奏で、オリジナル曲の「秋のエチュード」はエチュードらしく技巧的な曲で、面白い曲だった。
題名のない音楽会21ぐらいで親しんでいる羽田氏のキャラが印象強いのでシリアスな演奏にちょっとびっくり。
どうしてあの大爆笑のMCの直後にスルっとシリアスな演奏が出来るのでしょうか。むしろ観客の方が切り替えが
出来ていない感じです(苦笑)。
そして、第1部の後半は羽田氏と石田様の演奏で。
愛の喜びとパガニーニの主題による狂詩曲は石田様らしい演奏で、うねる音がたまらないです。
特にパガニーニは石田様の甘い音色を最大限に発揮した演奏で、聴き終わるとついため息をついてしまいました。
石田様の音は本当に綺麗で聴いている間は別世界に居る様です。俗世の厭な事を忘れさせてくれますね。
メインはドビュッシーのヴァイオリンとピアノのソナタ。春にトリオ・アパッショナートでドビュッシーの
ピアノトリオを演ったので、次はソナタが演りたかったとの事。ドビュッシー好きの私には嬉しい限り。
3楽章編成なのですが、どの楽章もヴァイオリンはけっこう忙しく、技巧的。ピアノとのハーモニーはドビュッシーらしく、
ハモるかハモらないかのギリギリの所で、かなり気持ち良い音(注:館風にとっては)。
メロディも入れ替わり立ち代り豊富で、楽しませてくれる。2楽章の高音部などは正確な音程と澄み切った重音が美しい。
気持ちの良い爽やかな風が吹いた気がしました。石田様の音色はフランスものにぴったりですね。
来週の定期演奏会が楽しみ〜。
前半のアンコールは御馴染みチャルダッシュ。が、しかし……いつにも増して速くないかね?!
いつもよりかーなーり、速いチャルダッシュ。プログラムを見ると走り書きで「鬼速!!」と書いてあります。
聴き慣れた館風の耳にもよっぽど速かったのでしょう。そして途中、一瞬羽田氏が置いていかれる場面も。
もしや打ち合わせよりも速すぎた?!乗ってしまったのでしょうね〜。
さて後半。チーフを赤からサーモンピンクに変えた羽田氏、親ばかモード入りつつ
娘の紋子嬢と親子漫才を繰り広げました。宝塚に居た事もあると言う紋子嬢、色々な声色を使い分けていました。
個人的にキャッツの「メモリー」でシラバブのパートとグリザベラのパートを歌い分けたのは良かった(って書いても
分かる人って殆ど居ないんだろうな……いい。わかんなくて。問題ない)。
ミュージカル・メドレーでは羽田氏が伴奏になってしまうのですが、羽田氏が伴奏で終わる訳はありません。
曲と曲とのつなぎは羽田氏のセンスがキラリと光った所だったと思います。これが本当に素敵で、メロディを支えつつ、違うメロディを差し込んだり、
かなりピアノが面白かったです。
アンコールはちょっとタイトルがアヤフヤなのですが、聴けば「あ〜聴いた事ある」と言う曲で、なかなかお洒落な曲で、
石田様の地味ぃな合いの手が効いていて良かったです。うーん、こう言うのを聴くと石田様は職人だなぁ・と感じます。
そして、アンコール2曲目、犬繋がりで「犬のお巡りさん」と「子犬のワルツ」をメドレーで。
ホント、羽田氏はこう言うの上手いよなぁ。羽田氏はトークも良いけれど、こう言う小洒落た事を
するのが大好きです。
音楽家生活35周年、これからも頑張って欲しいです。
次は10月10日にサントリーホール。石田様との共演も楽しみですね!
2005年9月10日 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第218回定期演奏会『フランスのエスプリ』
場所:みなとみらいホール
指揮:マウリツィオ・ディーニ・チアッチ
ピアノ:野原みどり
コンサートマスタ:森下幸路
曲目:ミヨー/バレエ音楽「屋根の上の牡牛」作品58
ラヴェル/ピアノ協奏曲ト長調
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ピアニストアンコール:ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
プーランク/シンフォニエッタ
★今回のコンサートは『フランスのエスプリ』と題し、初めて神奈川フィルに登場のマウリツィオ・ディーニ・
チアッチ氏が指揮。久し振りの「現田サウンドでない」神奈川フィルを聴いた。
1曲目もフランスの作曲家の作品であるが、変奏の合間に何度も戻ってくるパートはラテン音楽を感じさせるお祭り騒ぎ
的な音楽で、そこを楽しげに振るチアッチ氏が印象的。華やかなオープニングと酔っ払ってふらついているみたいな音楽の揺れが主題の
明るさとギャップを醸し出していてなかなか面白い。お祭り騒ぎのパートで出て来るギロがまたちょっと滑稽な感じを演出していて、
聴いて(見て)いるだけで楽しくなるような曲だった。
コンチェルトは野原みどり嬢のピアノでラヴェルを2曲。2曲しかないラヴェルのピアノコンチェルトを一度に聴けるのは貴重な
体験だった。
1曲目は通称「両手」と呼ばれるピアノ協奏曲ト長調。ピアノが背景のオケと一緒になったオープニングはピアコンとしてはちょっと新鮮。
強烈なトランペットのファンファーレで一転、ピアノが主役として前面へ出て来る。ジャズ風かと思えば突然サティ風になったり、変化に富んだ曲。
音色も柔らかいかと思えば硬く攻撃的な所もあり、流石オーケストラレーションの魔術師ラヴェル。
ピアノとフルートの辛味がとても綺麗で心地よく、それを支える弦も良く纏まっていて良かった。
後半は左手のためのピアノ協奏曲。通称「左手」。
ずどーんと言う雰囲気のオープニングの最高潮にピアノがバツンと入ってくる。前半の「両手」の時は繊細で丁寧だった
野原嬢のピアノだが、「左手」では更に力強さが加わった。左手一本になったのだから逆に弱く感じてもおかしくないはずなのに、なんだか
燃え滾るパワーを感じた。これは曲の魔力なのか。それでいてガツガツしていないのはかなりの好印象。
しかし、どうしてこの曲を左手一本で演奏せねばならないのかと思うくらいに複雑な曲。ピアニストの手元を見ているだけでも面白いだろう。
しかし、ピアノだけでなく、オケの編成も大きく、ラヴェルらしい計算され尽くしたオーケストラレーションが堪能できる。
ピアニストアンコールは「亡き王女のためのパヴァーヌ」で、柔らかく暖かいピアノを聴かせてくれた。
さて、本日のメインはプーランクのシンフォニエッタ。プーランクは個人的に好きな作曲家なので神奈川フィルがどう言う音を出してくるか楽しみだった。
プーランクにしては分かりやすいコミカルな主題があるのだが、その変化はかなりアクロバティックで、先を読もうとすると裏切られる。
ホルンが歌うメロディがとてもお洒落でフランスの風を感じた(<フランスの風って…(笑)。プーランクの柔らかい多彩な和声も心地よく、とても
リラックスできる音がしていた。最後の最後にあるヴァイオリンのハーモニクストーンだけがやたら不協和音を奏で、ある種プーランクらしいのだが、それまでの和音と
印象がかけ離れているので思わず笑ってしまった。やっぱりプーランクは不協和音入れないと気がすまないのね(笑)。
私の大好きなフランス物のみによる構成で、かなり楽しかったです。コンマスが石田様じゃなかったのが残念ですが、コンマスの森下氏も段々と神奈川フィルと
馴染んで来たみたいだし、満足できた演奏会でした。