2005年演奏会日記5月

5月3日 ★多摩ユースオーケストラ演奏会@パルテノン多摩
5月5日 東京カンタートクロージングコンサート@すみだトリフォニー
5月14日 ★神奈川フィル第216回定期演奏会@MMH
5月19日 ★第23回神奈川トヨタ・クラウン・クラシックコンサート@MMH
5月21日 ★ソワレムジーク@さいか屋ホール



2005年5月3日 多摩ユースオーケストラ
第16回公演 管楽器入門2005

場所:パルテノン多摩
指揮:諸遊耕史
司会:青島広志
ヴァイオリン:石田泰尚
管弦楽:多摩ユースオーケストラ
曲目:モーツァルト
 歌劇「フィガロの結婚」序曲K492
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲
 第1番ト短調 Op.26
ムソルグスキー/展覧会の絵(ラヴェル編曲)
アンコール
 ラデツキー行進曲

★石田様が過去2回出演された事のある多摩ユースと再び共演。館風は多摩ユースとの共演を聴くのも初めてなら 多摩ユースの演奏を聴くのも初めて。若い、それも小学生から居るオーケストラを聴くのは神奈フィルのワークショップコンサート 以来で、日常的に訓練を積んでいる子ども達の演奏と言うのは殆ど初めてなので、少し楽しみだった。
 オーケストラは左右に1stヴァイオリン、2ndヴァイオリンが来る対向配置。左奥にコントラバスが居ました。この配置だと ステレオ効果っぽく音楽が聞こえるんですよね。

 1曲目の「フィガロの結婚」序曲は聴くからに合わせるのが難しそうな曲。普段はプロオケの演奏でしか聴いた事が無いので ユースと言うだけでドキドキしてしまいました。だって!「大丈夫?忘れ物は無い?」とかお母さんに毎朝言われてそうな子どもも 混じってるんですよ!!パイプ椅子が高すぎて地面に足が着いてないんですよ!そんな子たちが(勿論、割合大人の人もいましたが) 演奏するって言うんです。ついつい心配に(笑)。しかし、そんな心配は無用でした。
 演奏が始まってみればキリっとした表情で譜面に向かう子どもたち。時折キラリと光る音がしたりして、思いのほか楽しませてくれました。 始めの蠢く弦楽器の後、鳴り響くホルンですが、1回目は失敗したものの、2回目は素晴らしく柔らかく膨らんだ音が出て、ちょっと感動しました。 他にもヴァイオリンのユニゾン等、安心して聴ける要素がたくさんありました。

 1曲目の後に司会の青島氏が登場。いつも通りの軽妙なトークで会場の心を鷲掴み★タイトルに管弦楽入門とあるだけあって、 楽器に関する解説や、曲目に関する解説など、その曲を初めて聴く人でも楽しめるような解説になっていました。
 青島氏はコンサートの構成にまで言及していて「2曲目はソリストを連れてきて協奏曲をやるのが普通です。」と紹介した後、 「これからカッコイイお兄さんが出てきます」と石田様を紹介。い……や、その紹介はどうよ。間違ってないけど(笑)。

 ティンパニの静かな鳴動の後、管楽器が少しメロディを吹き鳴らす物の、すぐにヴァイオリンの完全なるソロに。
 この部分の音がとても丁寧に奏でられていて、とても落ち着く音色でした。重音も美しく、するりとメロディが入り込んでくる感じ。 なんと言うか、音が多いのに全てが綺麗に整理されていて、すっきりと体に入ってくるのです。オケと一緒に演奏する部分も ソロとオケが馴染んでいるのに何故かソロだけ際立って聴こえて来て、とても不思議な感覚を味わいました。石田様の音が大きい、と言うのも有ると思うのですが、 石田様が音量を落とした部分でも同じ現象が起こっていたのでひとえに音量のせいだけとは言えないと思います。やはりこれは正確無比なピッチとか、音の魅力などと言うものが関連して くるのでしょうか。
 石田様が演奏している部分と言うのはどうしても石田様の音にばかり耳が行ってしまうのですが、石田様が待機の部分では オケも中々健闘しているのが聴いて取れました。特に第3楽章は活き活きとしていて、「あぁ、この楽章が特に好きなのだな」と伝わってきました。

 本日の石田様の演奏スタイルはいつもよりも観客の見る目を意識したスタイルだったと思うのですが、その一方で、端整なスタイルであったとも思います。 思い切り派手な部分はヴァイオリンを担いだり、沈み込んだりと言う派手なパフォーマンスがあるのですが、それ以外の部分は割合仁王立ちでどっしりと構えたスタイル。
 あくまで私見ですが、これはもしかしたら、ユースの子ども達に綺麗なお手本を見せようと思ったのかもしれません。石田様みたいにパフォーマンスが出来るのは あくまで基礎がきちんと出来てから・ですからね。

 さて、後半は青島氏の解説を挟みながらの「展覧会の絵」。この演奏、先日神奈川フィルで聴いたばかりなので館風の耳はちょっと厳しくなっていました。 しかし、プログラムノートの丁寧な解説や、青島氏の面白トーク等で、全く違った角度で演奏を楽しむ事が出来ました。
 また、一番始めのプロムナードで重要な役割を担うトランペットも、ユースとは思えない堂々とした演奏で、トランペット担当の彼女に拍手を送りたいと思いました。 他にも様々なパートの魅せ場や難しいところ等を青島氏が演奏者の名前入りで解説してくださったので、「この」演奏を楽しめました。

 最後の曲に向かうに連れて、段々とボルテージを上げていくオケに好感が持てました。しかし、ちょっと盛り上がりすぎて金管楽器とドラが暴走気味になってしまい、 弦楽器の陰が薄くなってしまったのが残念。弦楽器も同じくらいテンションを上げて欲しかったな〜。ただ、どこのパートが上手いかと言われれば弦楽器だったのだが……。

 しかし、本日の演奏で最も上手かったのは「ラデツキー行進曲」。おそらくこれはスタンダードナンバの一つになっているのでしょう、音が全く違います。 均整の取れたバランス、艶のある音、聴いていてプロオケと全く遜色有りません。とても活き活きしていて、頑張っているのだなと嬉しくなりました。
 これからもこう言った素晴らしい活動を続けていって欲しいですね。





2005年5月5日 TOKYO CANTAT 2005
10th Anniversary
クロージング・コンサート


場所:すみだトリフォニーホール
指揮:カール・ホグセット
エルヴィン・オルトナー
エドワード・ウィッカム
合唱:Tokyo Cantat 2005 カレッジ・クワイア【公募】
女声アンサンブルJuri
女声合唱団彩
はるか
合唱団まるめろ
合唱団響
Tokyo Cantat 2005 合唱団【公募】
合唱団ゆうか
Music Tree Vocal Ensemble【公募】
曲目:
 パンフレット未購入の為詳細は分からず。

★高校の先輩が出演する(オマケにチケットをくれる!!)と言うので行ってきました。 そして昨年もご招待されてしまった気が……毎年毎年ありがとうございます(感謝)。
 そんな訳でビラすら持たない館風。曲目は全体的に現代の作曲家の曲ばかり。現代音楽バリバリのありーの、 綺麗なはもりありーのの素敵な曲が多い。えーと、ホント、ごめんなさい。
 そして、館風、最悪な事に遅刻。そんな訳で1団体目、聴けて居ません。一応先輩が出るところは聴けたのでセーフ(って事にしてよ)。

 私が見たのは2団体目の真っ黒な衣裳で登場の混声合唱から。気持ち良くなるような曲で、ちょっと夢の世界へ……(<遅刻した挙句にそれか)。
 3団体目の合唱団響はマルタンの2群の合唱の為のミサを。合唱団響は歌う曲を私が知っている事もあってとても楽しみでした。
 指揮者が違うとここまで曲が変わるのだなぁ・と思い知らされました。割合あっさりとした味付けで、指揮のオルトナー氏や普段指揮を振っている栗山文昭氏の 趣味が垣間見えたように感じました。

 休憩を挟んで四団体目は女声合唱団。この合唱団が一番初めに歌った[アベ・レジーナ・チェロゥム」が とても良い曲で、面白かったです。作曲は……外国人だったとしか……(汗)。
 この曲はとても可愛らしくて、面白くて、ノリも良いし、女声合唱として成功している曲だと思いました。歌ってみたいとすら思いました。多分これは演奏が上手かったって言うのもあるんでしょうね。

 続いての合唱団ゆうかは館風などでは名前すら聞いた事のない外国人作曲家の曲をいくつか。ダントツに難しく、ダントツに上手い! 一番始めの「マニュフィカト」などは「は?」と一瞬あっけに取られる様な構成の曲なのにも関わらず、あまりに上手いのでそれを疑問に 思わない(笑)。しかも、合唱団からソリストが出ていて、人数が少なめのゆうかは殆ど1人1パートなのではないかと思うほどでした。 それでみんなあんなにきっちり歌えているのですから、一人ひとりのレヴェルがとても高い事が窺い知れます。

 最後は公募の混声合唱団で。150人超の合唱団が舞台に乗るともうこれは壮観としか言い様がありません。この合唱団はいつから練習していたのかよく 知りませんが、この人数でまとまりのある演奏を聴かせると言うのはとても難しいことだと思います。
 因みに演奏曲目はブラームスの「祝辞と格言 Op.109」(多分)。

 この合唱祭、今年が10周年だった様で、クロージングのインタビューで招聘指揮者の方々が揃ってお誕生日おめでとうと お祝いしていました。即興で歌いだした「ハッピーバースデー」に合同合唱団が勝手にハモリを付ける場面も。 こんなに愛されているイベントと言うのは珍しいかもしれません。これからも合唱が広く深く広まるように続けていって欲しいですね。













2005年5月14日 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第216回 定期演奏会
『意外性の愉しみ』

場所:みなとみらいホール
指揮:現田茂夫
コントラバス:黒木岩寿
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目:リヒャルトシュトラウス
 13管楽器のためのセレナード 変ホ長調 作品7
ニーノ・ロータ
 コントラバスのための協奏的ディヴェルティメント
ソリストアンコール
 ボッテジーニ/エナジー
リヒャルト・シュトラウス
 組曲「町人貴族」作品60

★本日の演奏会の主役は神奈川フィル首席コントラバス奏者の黒木氏。たまにしか乗り番じゃないのですが、 館風は乗っていると嬉しくなってしまうタイプの奏者。プロフィールを読むと神奈川フィル以外にもいろいろ所属して 居るようだから、そちらが忙しいのかも。それはそれで残念だなぁ。

 一番始めの「13管楽器のためのセレナード」はフルート2、ファゴット2、コントラファゴット1、 オーボエ2、クラリネット2、ホルン4の超小編成。アンサンブルと呼んでも差し支えの無いような小さな編成。
 出だしのうちこそアンサンブルにギクシャクした所があったものの、いつの間にか音楽が流れ出し、違和感が無くなっていった。 一番盛り上がった部分では和声が気持ち良く響いて、良かった。フルートとクラリネットの主旋律も美しいし、ファゴットも意外な存在感を 示していて、いつも弦楽器に隠れがちな(姿がね。音は全然隠れないけど)木管・金管楽器の演奏を見せ付けてくれたなぁと思いました。
 ラストに至るフルートの旋律も美しくて綺麗。たった13人と言う編成でみなとみらいのホールが鳴るって言うのは凄いかも・と思いました。

 今日のソロの曲目は現田氏が黒木氏に「何をやりたい?」と訊いたら出てきたと言うニーノ・ロータの「コントラバスのための 協奏的ディヴェルティメント」。ニーノ・ロータと言えば映画音楽と言うイメージしか無いのですが(因みに代表作は「ゴッドファーザー」や「太陽がいっぱい」)、 実はきっちりクラシックの基礎を積んだ人で、曲の方もふわっとオケが鳴る書き方をしていました。時折 映画音楽で演出されるようなドラマティックな展開があったり、劇的な幕切れがあったりしてその辺りのセンスはやっぱり20世紀の音楽だなぁ・と感じました。

 黒木氏のコントラバスはとにかく音程が綺麗で、「コントラバスってこんなに音程綺麗に出来るものなの?!(<失礼)」と感動してしまいました。 コントラバスは半音違うと押さえる位置が7センチも違うと言う凶悪に大きい楽器なので音程のスイートスポットを押さえるのがとても難しいんですよね。 しかもあんな高音をあんなにきれいな音程で!ちょっとした感動でしたね。コントラバス特有の低音から本当にコントラバス?と言う様な高音までいっぱいに使っての演奏で見ていても 面白い。黒木氏は高音を押さえる為にコントラバスにぴったりくっついて演奏していて、2階席の館風からは顔が殆ど見えませんでした(<下を向いているため)。それはちょっと残念。
 コンマスの石田様は度々黒木氏の背中をチェックして演奏していました。自分が弾いていないときも黒木氏の演奏にあわせ体を揺らしたりしていました。石田様と黒木氏はそれぞれ神奈川フィルを 引っ張っている人のうちのひとりですからね!協力してオケを導いているようにも見えました。

 コミカルな曲調の後に妙に陰気な曲が来たり、4楽章のうちで構成がしっかり立てられていて、聴いていて聴きやすい。館風は初めて聴いたのですが、 かなり楽しむ事が出来ました。ニーノ・ロータは映画音楽だけじゃなかったんですね。

 そして最後はリヒャルト・ストラウスの組曲「町人貴族」。これは元々劇音楽として作られたもので、全17曲のうち9曲を選んでオーケストラの組曲にしたものらしい。
 しかし、この曲の見所はなんと言っても(石田ファンにとっては)コンマスソロと言えるだろう。2曲目の「メヌエット」から 美しいコンマスソロがバリバリ出て来て、石田ファンはとても嬉しい曲目だった。その前のニーノ・ロータが端整な曲だったので、この曲は なんとも装飾過多でゴージャスな印象を受ける。この華やかさは一番最初に曲が作られたルイ14世の時代を意識しているのかしら・と思った。

 いつもより小編成で、上手にピアノとハープが居る為にいつも上手のコントラバスが下手に居て、上手の館風から良く見えました。何より驚きなのは黒木氏が乗っていたこと。 休憩時間に楽器の調整をする黒木氏を見つけたS席の前のほうのファンが声をかけたのか、黒木氏は客席に向かって笑いながら手を振っていました。 そう言えば昨年の石田様もそうだった(12月定期)けれど、神奈川フィル、この演奏会にかなり気合を入れているなぁ。

 私が気に入ったのは4の「仕立て屋の入場と舞踊」で、聴くにどうもコンマスソロは仕立て屋役っぽい。うーん、こんな華やかな仕立て屋が居たら 楽しいだろうなぁ。ここのソロは(おそらくわざと)少し個性的な音をさせていて、一歩間違うとイヤらしい音になってしまうのに、ギリギリの ラインで美しく、心に入り込む音になっていました。そして運指を見るに何気に難しいんですが……。 や、石田様がサラっと弾いているからあまり気付かなかったのですが、もの凄い難しいですよ。多分。 こんなに難しいソロがあるなら有るって言ってくれれば!もっと気合入れて予習したのに!!(<殆どしていない人)
 石田様のソロは弦楽群が居らず、管楽器と多対1で遣り合っている時よりも管楽器・弦楽器共に入っている時の方が際立って聞こえました。 弦楽器が入って音は聞こえにくくなるはずなのに何故。トゥッティの部分も1stヴァイオリンは石田様の音として聞こえて、音がぴっちり纏まって居るのは 聴いていてとても心地よいです。
 石田様の音って強烈な存在感ですよね。それなのに他のパートが主役になる時はすっと影を潜める。この使い分けがすばらしいと思いました。

 この曲、各パートの首席奏者はソロが沢山有って、神奈川フィルはこれだけタレントが揃っているんだぞ・と言うのを見せ付けられた気がしました。 そして、昼の演奏会に相応しい、軽く明るい曲なのですが、弾くほうは大変・と言う曲目だったと思います。
 これくらい短い演奏会だと気軽に聞けて良いと思いました。でも、こう言うのを聞いた後、次はもっと重いのを聴きたいなぁ・と感じてしまうのが 我儘なファンなんですけどね。










2005年5月19日
 第23回神奈川トヨタ・クラウン
クラシック・コンサート

場所:横浜みなとみらいホール大ホール
指揮:小泉和裕
ピアノ:小山実稚恵
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目:シューベルト/《ロザムンデ》序曲 作品26
ショパン/ピアノ協奏曲第1番
 ホ短調 作品11
ドヴォルザーク/交響曲第9番 ホ短調
 作品95 「新世界より」
アンコール
シューベルト/《ロザムンデ》間奏曲第3番

★今日は毎年恒例の神奈川トヨタ・クラウン・クラシック・コンサート。毎年石田様をコンマスに据えてくる、トヨタ万歳!なコンサート。
 今日の曲目はシューベルトとショパンとドボルザーク。もしかしたら神奈川フィルでショパンとか聴くのは初めてかも。なんだか新鮮な感じ。

 シューベルトは重厚な立ち上がりで、まるで水の中で弾いている様なみっちりした音が印象的。これはもしかしたら石田様の弓使いを見ていたからかも。 曲がくるくると変化して、主旋律を弾く楽器がすぐに替わるのでそれぞれのパートが色彩鮮やかな音色を持つ神奈フィルの特徴が良く生かされている。
 指揮の小泉氏は必要な所しか振らない静の指揮で、それに合わせたのか石田様もいつもよりもストップモーションが際立っていた。魅せる所とストップモーションとの対比によって一層演奏にメリハリがでていたと思う。

 小山嬢のショパンはコロコロと転がるソロが美しく、際立った音が印象的。私はピアノの蓋側だったので響きがイマイチでくっきりと聴こえすぎたのかも。 始まりはかなり長いオケのみのパートがあり、予想と斜め35度違う方向へ向かうオケが面白い。そこへ雷が落ちるかの如くのピアノソロが立ち現れる様は劇的で身体が震える様な衝撃を 受けた。
 一方で2楽章の柔らかいピアノとそれを包み込む弦の美しさは幻想的。厳しさと柔らかさを兼ね備えた演奏は流石と言った所か。 その演奏を支えるオケの包容力も素晴らしいと思う。素人が生意気な口を利くようだがソリストに負けない演奏が出来るようになったのだと感じる。 やはり石田様が居るだけでオケの音が違うし、ソリスト負けしなくなる現実はあると思う。

 最後の「新世界から」は冒頭の弦の鬼気迫る音が迫力満天。次々と主題を弾くパートが入れ替わり、色々な色を魅せてくれるのだが、 同じメロディなのに弦が弾くとどうしてこうも色っぽい音になるのだろう。

 「家路」の2楽章はバスオーボエ(?)が完璧。聞き慣れたメロディを弦が引き継ぐと少し変化してバリエーションに。 その後の木管隊のアンサンブルは素晴らしく、柔らかい音色のハーモニーが心地良い。また、その後の主席による弦楽四重奏のソロも美しい。 それなのに無神経に携帯を鳴らした人が居て興醒めでした。あれ、舞台にも聞こえてたんじゃないかな〜。こう言うの、演奏者に失礼だと思うのですが、 なかなか無くなりませんね。とても残念でした。
 その後の金管のコラールは久々に気持ちの良い和音で、音の海に浸る事ができた。 今日は弦、木管、金管のバランスが良く、主役の交代もナチュラルでとても聴きやすい。

 緊迫感溢れて始まった3楽章だけれど、軽やかなメロディが挟まるとその後再び出てきた第1主題も明るくなっていて、その前との対比が激しい。 3楽章と4楽章は間を置かずにすぐ入ったのだが、ここの石田様がとてもカッコ良く、魅せてくれた。ストップモーションから動の演奏になる所がピシッ としていて観客に息つく間も与えない。そう言えば今日の楽章の間は観客がここぞとばかりに咳しまくっていてちょっと嫌だったな〜。
 そして4楽章。金管隊のカッコいいハーモニーもあって、私は「新世界より」はやっぱり4楽章がカッコ良くて好き。 4楽章は今までの楽章の主題が見え隠れするので舞台を見渡せる位置で聴いていると、 どの楽器が今何を演奏しているのか分かるのでとても良い。今までの楽章をまとめ上げる楽章なので完成度もひときわ高い。 最後は繊細な和音で静けさを伴って終わるのだが、弾き終わった弦楽も弓はそのままに雰囲気作りをしていて音が出ているのに静寂を感じた。
 そう言えば最後、弾き終わった石田様は右手の弓は動かさずにヴァイオリンに添えた左手でくるりんと音を止める様な仕草をしていました。 自分が演奏する部分じゃなくても気になるのね〜。流石コンマス!

 このコンサートは毎年質の高い演奏を聴かせてくれて嬉しい。神奈川トヨタが主催だけれど、 そう言う挨拶が全くないのも嬉しい。クラシックコンサートの雰囲気を楽しませようとする主催の気持ちが とてもカッコ良いと思う。また来年もお願いしま〜す(笑)。







2005年5月21日
 2005年ソワレムジーク
 第3回コンサート 石田泰尚
ヴァイオリン名曲&ピアソラの世界

場所:さいか屋ホール
ヴァイオリン:石田泰尚
ピアノ:中岡太志
曲目
クライスラー
 美しきロスマリン
 愛の悲しみ
 愛の喜び
 踊る人形
 中国の太鼓
ラフマニノフ
 パガニーニの主題による変奏曲
 ハンガリー舞曲
ドボルザーク
 我が母の教え給いし歌
ジョン・ウィリアムズ
 「シンドラーのリスト」よりテーマ
ブラームス
 ハンガリー舞曲第5番
ピアソラ
 来るべきもの
 オブリヴィオン(忘却)
 勝利
 鮫
 バルシシモ(ピアノソロ)
 ル・グラン・タンゴ
 リベルタンゴ
アンコール
ピアソラ
 チキリンデバツィン
モンティ
 チャルダッシュ

★本日の企画はさいか屋の「ソワレムジーク」と言う全6回だかなんだかのシリーズの一つ。 館風は勿論一回券で聴いたのだけれど、3万円くらいの通し券と言うのもあって、それはカードに 一回ずつスタンプを押すタイプだった。そして、スタンプも押さない、カードを見せるだけで入場する人って 言うのも居て、それは多分大株主とか、大得意様なのでしょう。カードを出してスマートに入場する姿は 正にセレブ☆。あまりの客層の違いに館風は小さくなってました。私みたいな小市民が来る所ぢゃない……。

 さて、演奏のほうは石田様と中岡氏によるデュオオンリーで、前半はクライスラー、後半はピアソラ、と言うすっかり おなじみになった構成。
 一番最初に出てきた石田様は少し緊張気味??と言う感じの音。曲が進むに従って余計な緊張が解け、いつも以上にノっていました。
 クライスラーで印象的だったのは愛の悲しみと喜び、そして中国の太鼓。愛の悲しみはこれでもかと言うぐらいテンポを揺らして、 止ってしまうのではないかと思ってしまったくらい。愛の喜びもテンポをグラッグラに揺らしてきて、中岡氏が対応しきれなかった場面も。石田様、 中岡氏に足で床を叩いて合図を出したりしていました。グリッサンドと言うかもうそれはポルタメントじゃないのかって言うグリッサンド を多用していて、なんだか小洒落た雰囲気になっていました。

 それから中国の太鼓。今日はこれを聴いてしまったら他の曲が全て吹き飛んでしまいますね。 超絶技巧もバリバリ出て来る曲だけに、そう言う所ばかり気にしてしまいがちなのですが、そうじゃない部分に重きが置かれている気がしました。 超絶技巧パートは全く問題じゃないと言う感じにサラっと流してしまうのがとってもスマートな演奏だと思いました。

 ラフマニノフはクライスラーの編曲による「パガニーニの主題による変奏曲」の第18変奏。 これは石田様の重音がとても美しくて、ちょっと感動。また、その次のハンガリー舞曲はG線の低音を深く響かせて、 前の曲と同じ作曲家の曲かと思うぐらい雰囲気を変えて。このハンガリー舞曲、私はとても好きです。

 ドヴォルザークの「我が母の教え給いし歌」はイージーリスニング等でもよく取り上げられる有名な曲。 これ、私は勝手に子守唄だと思っていたのですが、石田様の演奏で聴くと全く違うイメージになりました。 もう会えない母親に対する切なる想いが湧き出てきました。いえ、館風の母親は生きてますけど(笑)。ま、そう言う イメージって言う事です。この劇的な盛り上がり!自然に涙が零れてしまう様な感動をもたらしてくれました。

 そして今日は私の大好きな「シンドラーのリスト」も!これはいつ弓を返したか分からない滑らかなロングトーンが美しい。 この曲を聴くとあの映画のラストシーンが目に浮かぶんですよね。その相乗効果で泣いてしまうと言う……(笑)。

 MCでは中岡氏が石田様に「休みは何をしていますか?」と言う質問を。石田様はひとしきり挨拶をした後に 「休みって事ですよね……そもそも5月は殆ど休みが無いんですけど。」と前置きをしてから「休み、寝ますね。 体が細いので寝ないとどうにもこうにも。」と仰っていました。そうだよな〜。私が毎週石田様の公演を見に行っていると言う事は、 石田様は少なくともその倍以上の日程でリハやら何やらがあるんですよねぇ。そりゃあ忙しいはずです。

 後半のピアソラはいつも居る松原氏が居ないのでなんだか変な感じ。でも松原氏が居ないので 最近やっていなかったル・グラン・タンゴがプログラムに入っていて嬉しかったです。
 ル・グラン・タンゴ、やっぱり石田様の演奏の魅力がもう余す所無く引き出されていて良いですね。この曲、 リベルタの演奏会の時にはやっぱり聴きたいなぁ。。。

 また、今日のリベルタンゴは「どうしたの?!」と言うぐらい速くてびっくりしました。 中岡氏がいつもより速いテンポで始めたので、石田様が入ったら少しゆっくりさせるのかと思ったのですが、石田様、 本当にあの速度で弾ききってしまうんですもの。あれで弾ききれてしまう石田様の超絶技巧、凄いですよね。

 アンコールは先日のブルー・ジェイ・ウェイのコンサートでも演奏したチキリンデバツィン。いつも口頭での曲名告知なので 本当にこのタイトルで合っているのか分かりません(爆)。この曲は石田様のハーモニクストーンが美しいんですよね。 そして、そこから音楽が盛り上がる所は一緒に気持ちも盛り上げてくれて、この曲に付随する物語の悲しさをいっそう際立たせます。

 アンコール2曲目はモンティのチャルダッシュ。石田様の十八番ですが、これは演奏する度にどんどんアレンジが変化するので 何度聴いても飽きない、大好きな曲です。最後の曲なので石田様も盛り上がりに盛り上がって、かなりノリノリ。 テンポの速い部分と遅い部分でかなりのギャップがあって、速い部分はこれでもかと言うぐらいにテンポを上げてきました。これがまた 聴いている方は面白くて、観ていて飽きないんですよね。

 最近こう言う、石田様をひとりで取り上げるコンサートが増えてきました。ファンとしてはとても嬉しい事です。 来年は1月にオペラシティでB→Cをやるし、その時には本日取り上げて居ない様な新しい曲目( 現代曲とか現代曲とか現代曲とか)も入ってくると良いな〜と思います。




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