2005年演奏会日記5月-2

5月28日 ★響Vol.73@伝心寺
5月29日 ★カルミナ・ブラーナ@MMH



2005年5月28日 金沢コンサート「ひびき」Vol.73
 お寺でカルテット
YAMATO弦楽四重奏団

場所:伝心寺
出演:YAMATO弦楽四重奏団
1stヴァイオリン:石田泰尚
2ndヴァイオリン:執行恒宏
ヴィオラ:榎戸崇浩
チェロ:阪田宏彰
曲目:ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲「四季」より、「春」ホ長調作品8-1
モーツァルト/弦楽四重奏曲第14番ト長調K,387「春」
ペーター・ハイドリッヒ/「ハッピー・バースディ」変奏曲
 1.主題 2.ハイドン風 3.モーツァルト風 4.ベートーヴェン風  5.ブラームス風 6.シューマン風 7.ドヴォルザーク風  8.ポルカ 9.ワルツ 10.映画音楽のスタイルによる変奏 11.ラグタイム  12.タンゴ 13.チャールダーシュ
ボロディン/弦楽四重奏曲第2番ニ長調
アンコール
 山田耕筰/からたちの花
 日本民謡(幸松肇編曲)/ソーラン節

★本日の演奏会は金沢区の「響」実行委員会が主催するシリーズ「響」の第73回。 格安で素晴らしい演奏を聴けるなんて、金沢区民が羨ましい。
 今日の演奏会は浜野氏が降り番で、石田様が1stに座り、2ndに執行恒宏氏が。執行氏は演奏中 時折「にま」と笑ったりしてどうやらひょうきんな人みたい。

 1曲目のヴィヴァルディは「春」。どうも切羽詰ったみたいな「冬」が好きな私ですが、「春」の ぽわ〜んと明るい1楽章と、ちょっと暗い3楽章とのギャップも面白いな・と思いました。聴きなれた 曲ですが、弦楽四重奏のバージョンで聴くとそれぞれのパートがソロみたいでとても面白かったです。 石田様のソロはやっぱり華があって良いですね〜。音が見えるなら輝いていると思う。
 2曲目のモーツァルトは「春」繋がりの選曲。第一楽章もちょっと聴くと「あぁ、モーツァルトだなぁ。」 と言う音がしていて嬉しくなりました。4パートそれぞれが独立して表現をし、呼応しているので、アンサンブル好き にはたまらなく面白い。

 本日のMCは阪田様で、阪田様の人柄が出ていた素敵なMCでした。
 後半の始めに、「ハッピー・バースディ」変奏曲にちなんだMCがあって、「今日が誕生日、もしくは誕生日が近い人は居ますか?」 と仰ったので館風は意気揚揚と手を上げました。いや、誕生日おとといだったもので(笑)。しかし、後ろの椅子席に座っていた 家人はMCがよく聞こえていなかったらしく「何で手を上げてるのかしら」と思ったらしい(涙)。
 そしてその「ハッピー・バースディ」変奏曲。あの御馴染みのメロディが様々な作曲家風に編曲されていてとても面白い。 確かにハイドンが書いたらこんな風になるかも!みたいな編曲になっていて、演奏者も楽しんで演奏していたように見えました。 私が気に入ったのはベートーヴェン風やポルカ。後半の音楽の形式にのっとった編曲は殆どギャグみたいなノリで、 会場にも少し笑いが広がって、とってもいい雰囲気。執行氏のしてやったりと言った笑顔が印象的でした。
 タンゴの部分では阪田様と石田様の本領発揮!なんか急に活き活きとした音になった気がしたのですが、気のせい??(笑) しかも音に遊びの色をつけたりして、タンゴの部分だけとても色っぽいハッピーバースディでした。うーん、素敵。
 最後の「チャールダーシュ」はチャールダーシュに乗っ取った・と言いたいところですが、明らかにモンティのチャールダーシュが 下敷になっている。私、こんなに左手が動かないチャールダーシュを初めて見ました(笑)。
 今回はもう自分の為に弾いてくれていると思い込む事にしました。YAMATOの皆さん有り難う!プログラムに薦めてくれた 幸松氏も有り難う!

 そしてボロディンのS.Q.の2番!これは2002年の1月に私が初めてYAMATOを聴いた時のプログラム。 とても印象的で、好きだったので演奏会の後に何度も聴き返しました。おかげで今日の演奏は予習がバッチリ☆
 やっぱり曲がどんな風に動くのかを知っていると演奏が何倍も楽しいですね!しかもYAMATOの演奏は盛り上がって欲しい所で思っていたよりも 素敵なカタチで盛り上げてくれるのでかなり気持ちいい。うん、どんな感じ、と言うのが上手く表現できないのだけれど、 気持ち良い、と言うのはかなり近い気がする。そう言う演奏でした。
 1楽章は懐かしい風景を眺めるような、そんな爽やかなメロディから始まって、それぞれのパートの 絡みが重層的になって懐かしいイメージに。石田様の高音も美しいし、正に至福の時・・・!!
 それぞれのパートの表情がとても豊かで、2楽章の可愛らしい感じや、3楽章ののんびりした感じに、それだけではない表情が 付いていたと感じました。ピチカートはキツくなりすぎず、柔らかい音で、メロディに華を添えていました。
 時折榎戸氏のヴィオラがおいしいメロディを持っていったり、阪田様のチェロの低音にシビれたり、アンサンブルならではの 聴き所が満載で嬉しかったです。これを余す所無く聴かせてくれるのはやっぱりYAMATOだけ!

 アンコールは山田耕筰のからたちの花と、御馴染み幸松氏編曲の「ソーラン節」。この ソーラン節、何度聴いても良いなぁ。全ての超絶技巧を突っ込みました!みたいな曲なのにイヤらしさを全然感じない(弾いている方は 大変かもしれないけれど)。聴いているだけでわくわくしてしまいます。 だから、早くこの曲を含めた幸松氏編曲の曲集の全曲演奏を!!YAMATOの演奏で聴きたいんです!

 この演奏会、休憩時間には別室にお茶とチョコレートが用意されていたり、暑いだろうからと団扇が用意されていたり、 アットホームな雰囲気でとても良かったです。しかも、普段のYAMATOでは無いような現代曲(笑)も聴けましたし。
 今から次のYAMATOの演奏会が楽しみです!期待してますよ!







2005年5月29日 カルミナ・ブラーナ

場所:横浜みなとみらいホール 大ホール
指揮:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ソプラノ:菅英三子
テノール:高橋淳
バリトン:宮本益光
合唱指揮:関屋晋
合唱指揮アシスタント:吉村仁
合唱:カルミナ・ブラーナ市民合唱団、グロリア少年合唱団
曲目
ヒンデミット/ウェーバーの主題による交響的変容
カール・オルフ/カルミナ・ブラーナ
 世界の支配者、フォルトゥナ<運命>
 第1部「春」
 「草原にて」
 第2部「酒場にて」
 第3部「睦言」
 ブランジフロルとヘレナ
 世界の支配者、フォルトゥナ<運命>

★弦楽が出てきて席に着いた。指揮の現田氏が静かに4月9日に急逝された合唱指揮の関屋晋先生の訃報を告げ、 追悼の演奏を始めた。バッハのG線上のアリア。
 長く続く持続、静かに蓄えられてゆく感情、このシチュエーションの中館風は関屋先生の事を思って泣いてしまいました。 たった2度レッスンを受けただけでしたが、誰からも慕われる、そう言う指揮者でした。

 本日のプログラムはヒンデミットの「ウェーバーの主題による交響的変容」とオルフの「カルミナ・ブラーナ」。 どちらもある種の暗さを湛えつつも底抜けに明るい曲。
 G線上のアリアの時はちょっと目元を拭きながら退場した現田氏もヒンデミットの入場時には明るい表情で登場。 華やかで派手なこの曲に合わせた表情だ。
 2楽章の中国だかオリエンタルだかよく分からないメロディが面白い。 ここの主題は劇付随音楽「トゥーランドット」から取られていると言うからウェーバーの中国のイメージなのだろう。
 石田様もかなりノリノリで、自分がメロディでない部分もメロディパートに合わせてリズムを取っていたり。 時折入るフルートソロが美しく、曲を彩っていた。最後の4楽章は行進曲とあるだけに勇壮。 金管から1stヴァイオリンに主題を受け渡す所がとても格好良い。
 今にも敵が出てきそうな雰囲気で始まった4楽章は勝利で終わる。闘いに勝利した場面を現田氏の指揮が鮮やかに描いていた。 また、現田氏の指先で音がはじけるのも見ていて面白い。2階席等から見たらさぞ面白かったに違いない。

 さて、本日のメイン、カルミナ・ブラーナは意味は「ボレイン(ブラーナ)修道院の歌集」と言う意味だが、 その実内容はかなり世俗的。字幕が出るのだが、なんとコメントをしてよいのか分からないものばかり。
 冒頭の「世界の支配者、フォルトゥナ(運命)」は鬼気迫る音色。もったいぶった重々しい音は運命が人間の力ではどうにもならない事を歌いあげている。 合唱人なら一度は歌いたい曲だ。少なくとも館風は後先考えずに参加しておくんだったと後悔した。 まぁ、倍率が2倍3倍だったと言うから応募しても参加できたかどうかははなはだ怪しいのだが。 そんな倍率を乗り越え、当選した今回の合唱団は225名。神奈川フィル合唱団のメンバーもちらほら参加しているのが見えた。 やはり公募合唱団の限界か、人数が多いあまりに言葉がハッキリしないのが残念だが、それを補って余りある大迫力だった。
 特に素晴らしかったのは男声で、男声合唱部分は暗さと重さがたまらない。

 また、今日はソリストも大当たりで、力ある演奏を満喫できた。 トップバッターはバリトンの宮本益光氏。遠い帆の家康を聴いて以来ちょっと気になっていた演奏家です。 初めて外国語での演奏を聴きましたが、私好みの爽やかな歌声ですっかり好きなバリトン歌手になりました。
 まずビブラートを全くと言って良いほどかけない清潔な音程と、バリトンとは思えない程明るい音色が華やか。 それでいて低音域はしっかりバリトンしている。始めは「こんなものか(失礼)」と思って聴いていたのだが、 曲が進むにつれて声の張りさえも違ってきました。音が見事に離れていって、声が飛ぶのが視える様でした。
 そしてテノール高橋淳氏!唄うのは焼き鳥の歌(としか言いようがない)の一曲のみなのだが、 それが演技山盛り・ユーモアたっぷりの大満足の演奏。自分が歌う前の曲から酩酊しているかの様にぐらぐらと揺れて、 今にも椅子からひっくり返りそう。歌い出したら合唱団の男声と対決したりして声だけではなく目でも楽しませてくれた。 字幕があって本当に良かった!!(笑)
 ソプラノの菅英三子嬢は男声ソリスト2人に負けない迫力の演奏で、しっかりした声の割りに高い所はきっちり 音程をあげてくる、気持ちの良い声でした。

 石田様は所々に1プルトソロがあったりしてかなり見せ場が沢山ありました。 宮本氏もコンマスソロに体を預けたりして、気持ちがノっている模様。合唱、オケ、ソリストの雰囲気がとても良いです。
 合唱つきの曲だからなのか、合唱が先駆してメロディを歌い上げ、1stヴァイオリンにメロディをバトンする、と言うパターンが多く感じました。 更に、メロディが様々なパートにバトンされるのは「観」て、「聴」いて、とても面白かったです。 とにかく曲がカッコ良いですし、歌の内容も親しみやすいので、一度は生で聴いて欲しい曲です。 次にこの曲を神奈川フィルで演る時は是非歌っていたいと思いました。




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