2005年演奏会日記3月-2

3月26日 ★スポットライトコンサート2005@ひまわりの郷
3月29日 ★神奈川フィル特別演奏会@MK



2005年3月26日
 スポットライトコンサート2005
石田泰尚(Vl)&トリオ・リベルタ


場所:横浜市港南区区民センター
 「ひまわりの郷」
出演者
 ヴァイオリン:石田泰尚
 サックス:松原孝政
 ピアノ:中岡太志
曲目:第1部 クラシック・ヴァイオリン
クライスラー
 美しきロスマリン
 愛の悲しみ
 愛の喜び
ポルディーニ作曲 クライスラー編曲
 踊る人形
クライスラー
 中国の太鼓
ラフマニノフ作曲 クライスラー編曲
 パガニーニの主題による狂詩曲より 第18変奏
ラフマニノフ
 2つの小品より ハンガリー舞曲
ドヴォルザーク作曲 クライスラー編曲
 我が母の教え給いし歌
ジョン・ウィリアムズ
 「シンドラーのリスト」のテーマ
ブラームス
 ハンガリー舞曲第5番
第1部プレゼント:モンティ/チャルダッシュ
第2部 トリオ・リベルタによる
 ピアソラ・タンゴの世界
アストル・ピアソラ
 アディオス・ノニーノ
 ブエノスアイレスの冬
 ブエノスアイレスの春
 デカリシモ
 鮫
 タンガータ
 ミケランジェロ’70
アンコール:スール
 ミロンガ・ピカレスク
 リベル・タンゴ

★待ちに待ったソロコンサートである。今日の曲目は前半はクライスラー特集、後半は御馴染みピアソラの特集である。

 前半では聴きたかった曲目を全部聴かせてもらってしまった感じ。
 愛の悲しみなど、御馴染みの曲もあったが、改めて石田様の演奏の素晴らしさを思い知った気がする。愛の喜びで気付いたのは、重音の美しさ、 速いパートとゆっくりのパートでの音の表情の違い(そう言えば実際の表情も違った気がする)の激しさ等。合唱で言う所のアルシス・テーシスの極端な感じも ソロならでは。多分オケでやるとこう言うのは凄く調節し難いと思うのだけれど、ピアニストとの連携が常日頃からバッチリだから出来たのかも。
 ポルディーニの「踊る人形」はワルツのリズムに乗って、本当に可愛らしい人形が踊っているような音楽。心なしか石田様もふわりふわりと舞っていた様に見えました。

 そして!私が聴きたかった「中国の太鼓」!この曲は是非とも石田様の演奏で聴きたかったのだ。やっぱり思ったとおり、キビキビした音色と 中国っぽさを最大限に引き出した演奏。この曲を演奏する前、石田様がちょっと気合を入れた様に思ったのですけれど、気のせい??
 気合が入っているような部分でドン!と音がすると思ったら石田様が足を踏み鳴らしていました。それがまたピアノの強いタッチの部分と重なってよかったです。もしかしたら あの足踏みは中岡氏にタイミングを合わせるためのものだったのかも。背中で伝えきれない事も有りますからね。

 ドヴォルザークの「我が母の教え給いし歌」は超有名曲でテレビ番組のテーマ曲(確か割合有名な人が弾いてた)とか、ANAに乗ると クラシック番組のテーマ曲(こっちもやっぱり有名な人が弾いてた)とかになっていますが、石田様の演奏でのこの曲もグッド。なんだか懐かしく、 切ないきもちにさせるのです。これもやっぱり溜めとかそう言うセンスが良いのだなぁ。良い音でした。

 で、司会の中岡氏も「唐突ですが」と言う感じで紹介した「シンドラーのリスト」のテーマ。私はこの曲が大好きで、いつ聴いても きもちが盛り上がってしまいます。相変わらず美しい音でした。

 第1部ラストはハンガリー舞曲第5番。ブラームスの超有名曲。この曲もゆっくりの部分と速い部分でかなりギャップがあって聴いていて飽きません。 何度も同じフレーズが出て来るのですが、聴くたびに違う感じがして面白かったです。それにしても、ハンガリー舞曲なのに色っぽい音がしていて、ちょっとドキドキしました。 新たな表現だなぁ。

 また、第1部と第2部で曲目の系統が違うと言うことで、第1部のラストに石田様からプレゼント!でチャルダッシュ。 うはぁ〜。またパワーアップしているのでは?このアレンジの仕方がとことんまで突き詰めてあるので気持ち良い。 こればっかりは演奏を生で聴くのが一番面白い。

 さて第2部。トリオ・リベルタによるピアソラタンゴ。今回はプログラミングがイイ。 ライティングは全体的に真っ暗な中に3人が浮かび上がると言う感じのライティングが多く、かなり雰囲気が良い。

 アディオス・ノニーノのピアノソロもグッドで、出だしは快調。松原氏のアルトサックスの高音がまろやかな音色で本当に良かった。 なんだかまた上手くなったのではないだろうか。遊びの部分等も自由に、楽しくやっているなと言う感じがして良かったです。 今日はちょっと松原氏に目を奪われました。

 そして、我らが石田様。やっぱりピアソラをやっているときの石田様はとても楽しそうですね。それまでのクラシックとは心なしか 音色の系統も変えていて、少し荒っぽく感じさせる部分があったりして、音のバリエーションが広がっています。そして綺麗なメロディのパートは とことん綺麗に。それがまたギャップがあって良いんですよね。

 デカリシモで、ヴァイオリンとサックスが1stメロディと2ndメロディを弾いているのですが、それぞれのメロディがメインに来る部分があって、 その入れ替わりが面白かったです。松原氏と石田様は時折顔を見合わせ、目を見合わせての確認作業が見えました。この3人の演奏スタイルは全員が全員一人で独立していて、それをぶつけ合って一つの 音楽を造ると言うものなのですけれど、それを楽しんでやっているのが見えてとても素晴らしいと思います。

 タンガータではピアノソロとサックスソロがグッド。あ、ヴァイオリンについて書いていないのは石田様の演奏が素晴らしいのは当然だから・と言う意識が館風にあるからかも(笑)。と言うか、 そうでもしないと石田様の演奏の話ばかりになってしまうし……(<既になってますよ)。
 この曲は石田様もノリノリで、私はユニゾンになるラストの部分が好きです。

 そしてラストはミケランジェロ’70。私、この曲大好きなんですよね。短いのですけれど、面白い曲だと思います。 石田様はこの曲も色々アレンジを利かせていて、面白かったです。崩し方が心憎いんですよねぇ。なんと言うか、こう、来てほしい所でぐっと来ると言いますか。やっぱりこの曲、良いなぁ。

 アンコールはスール、ミロンガ・ピカレスク、リベル・タンゴの3曲。ミロンガ・ピカレスクは待ちに待った新曲!!!そしてこれが面白い!!! ソプラノサックスがメインメロディなのですが、もう、松原氏俺の出番だとばかりにノリノリ。石田様もそれに対抗するがの如くノリにノっての演奏。 もしかしたらアンコールでテンション上がっているのかも。

 そして、リベル・タンゴはいつも通り迫力の演奏。あら〜……まぁたパワーアップしているんですけど。 この曲も何度聴いても面白い曲ですね。もう、石田様が面白がって難しく難しくしている様にしか思えません。 いつも来ているお客を楽しませようとしているのでしょうか。とても嬉しい心遣いじゃありませんか。 こんなにファンサーヴィスの良い演奏家って他に居るのでしょうか。演奏における最上級のサーヴィスは何度聴いても飽きさせない!って ことだと思うんですよね。

 今回は何度も石田様の演奏を聴いている人にとっても興味深いプログラミングだったと思います。 石田様の演奏で聴きたかった曲ばかり。リベルタの方はもう少し聴きたい気もしましたが、それはやっぱりリベルタのコンサートで聴こう・って事なのでしょう。 春のリベルタライヴも決定したし、これからもリベルタに請う!ご期待!
 そうそう、次は今回聴いた曲をオケで聴きたいなぁ……。ねぇ、どっかで弾かない?(笑)。それと、 またこう言うピアノとヴァイオリンでやるなら是非ともハイフェッツ編曲の曲をやって欲しいなぁと思いました。ポギーとベスが忘れられないのよねぇ(ま、アレは編曲ですけど)。



















2005年3月29日
 神奈川フィル特別演奏会
ハンス=マルティン・シュナイトの
 『田園』


場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
ソプラノ:臼木あい
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
曲目:モーツァルト
 ディヴェルティメント ヘ長調 K.138
 モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」K.165
ベートーヴェン
 交響曲第6番「田園」ヘ長調 作品68

★ミューザ川崎のホールはワインヤード方式で舞台を抱き込んだ構成にあるため、舞台の上の方で音が 綺麗に響く。もしかしたら純粋に音を楽しむためなら2階、3階の方が良い音に聴こえるかもしれない。 ちなみに本日の私の列はとっても前★事務局に割り振られたので別に私が前が良い!!って言った訳じゃないのだけれど…… もしかして石田ファンって言うのバレてるのかなぁ。。。(汗)。
 前のほうの席って言うのはじかに音圧が感じられるばかりか、オケの息遣いとか、勢いが感じられる席なので、割とマニア向け。そう言えば前のほうの席は年配の男性が多かったなぁ。。。

 前半のモーツァルトは小編成。久し振りにコントラバスに黒木氏が居て、神奈川フィルの弦楽の首席が揃い踏みで嬉しい。 これぐらいの人数になるとひとりひとりの音が直接伝わってきて良いです。しかも、この人数ですから、音のまとまりが 段違いに良い。音がふんわりと纏まって、モーツァルトにぴったりの音色でした。アンサンブルの コンビネーションが良く、最近の神奈川フィルの演奏の地力を見せ付けてくれた感じ。

 2曲目のモテットでは臼木あい嬢が登場。秋に金聖響氏の指揮で同じ曲を演奏するので、その腕ならしかと思ったのですが、 いやはや、既に完成された素晴らしい演奏でした。声の響きがとても良く、ホールの上の方でキラキラとして振って来る様な感覚でした。 こればっかりは前のほうの席で聴いたのが悔やまれる。まあ、声の音圧は肌に感じられたけれど……。
 この曲は弦楽トップのソリもあり、石田様の音も聴く事が出来ました。やっぱり早い所神奈川フィルの内部が落ち着いて欲しいかも。 いつまでもコンマスがソロコンマス一人じゃ大変だろうし、ヴィオラのトップも居ないと……ねぇ。

 そして本日のメインはベートーヴェンの「田園」。田園のストーリィは音を聴いているとその場面をイメージできるものばかり。 御馴染みのメロディで始まった1楽章は何度も戻っていく主題を丁寧にすることでメリハリがついていて、面白かったです。
 2楽章でのヴィオラのメロディが素敵でした。しかし、1stヴァイオリンも2ndヴァイオリンもリズムを刻んでいるシーンでのメロディだったので もっと目立っても良かったんじゃないのかな〜とも思いました。

 そんな中今日気付いたのは、ちょっと激しい音楽の場面で弓が楽器に当る音が結構するのだな・との事。低音楽器になると弓を飛ばす時に音がしてしまうのは 仕方のないことだと思うのですけれど……。遠くで聴いていた時には気にならなかったので、気になるのは近くに居る人だけなんでしょうが……。

 もう一つ。石田様が弦を押さえる時、後ろに座っているお姉さんとは明らかに違う弦の違う音を押さえている・と言うシーンがありました。 これは多分、ある音を出すのに普通の人が押さえやすい位置で押さえるのを、一つ低い弦の高い位置で押さえる・と言うことをしているのだと思いました。 いや、私ヴァイオリンやりませんけど、指の位置関係からそうではないかと推測。これ、何か音が違うんでしょうか。ヴァイオリンに詳しい人解説お願いしまーす(笑)。

 「田園」は全5楽章の後半は一気に通してしまうので、曲の変化が面白かったです。特に4楽章の「雷雨」は大迫力でした。

 演奏後はシュナイト氏のおちゃめな面が出て、楽しいカーテンコールに。石田様もシュナイト氏に度々ちょっかいをだされ、その度に笑顔を見せていました。3曲弾いた後なのに 素敵な笑顔でした。やっぱり演奏者はこうでなくっちゃ。笑顔の演奏者の方が聴衆も演奏を楽しめますからね。
















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