場所:みなとみらいホール
指揮:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:石田泰尚
ソロ・コンサートマスタ:石田泰尚(ニールセン)
ゲストコンサートマスター:村井俊朗(ムソルグスキー・ハチャトゥリアン)
曲目:
ムソルグスキー/交響詩「はげ山の一夜」
ハチャトゥリアン/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
ソリスト・アンコール
モンティ/チャールダーシュ
ニールセン/交響曲第4番「不滅」 作品29
★今日は待ちに待った石田様がソロを弾く神奈川フィル定期の日!!館風は自分が弾く訳でも無いのに朝から
ドキドキしていました(笑)。
プレトークでは現田氏が想定していた曲目から大きく変わってしまったお話とか、曲の作曲された背景などを。
毎度思うけれど、現田氏、お話上手いなぁ。
1曲目のムソルグスキーは作曲家本人はとうとう交響詩ヴァージョンを聞く事が無かったと言う「はげ山の一夜」。オケ版に
仕上げたのは「シェエラザード」のリムスキー=コルサコフ。
8分と短い曲だが、かなり濃い内容である。ヴァイオリンのヒステリックなトレモロで始まり、チェロやコンバスの重々しいメロディが絡む。このメロディ、なんだか聴いた事が
あるけれど、この曲だったんですね〜。
こっそりヴィオラがおいしかったりします。ヴィオラの本日の首席は新星日響時代石田様と一緒に首席を張っていた成田寛氏。オールバックの
男前です。ちなみにゲストコンマスの村井氏は見た感じ凄く若い方で、どう見ても石田様より年下。
落ち着いた堅実な演奏。
そう言えばトランペットとトロンボーンもカッコ良かったです。今日の曲目は金管楽器が活躍する曲が多かったのですね。
最後に、はげ山の夜が明けるのですが、教会の鐘の音(チューブラーベル)が鳴り響くと段々と怖いような音楽が退いていき、夜明けを表していました。
ハープの音が夜明けを象徴するような音で、町と、その向うに見える山、そしてその向うから昇る朝日が見えました。
さて、石田ファン限定(笑)の本日のメインはハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。石田様が舞台へ登場すると心なしか会場の空気が
ざわりとなりました。燕尾服で出てくるとばかり思っていた私は黒いドレスシャツで出てきた石田様にびっくり。
しかもそのドレスシャツがド派手でカッコイイのです!スパンコールか何かが貼り付けてあるのか、黒い部分にも濃淡があったり、光ったりしていました。
もしかしたら燕尾服だと肩パットとか演奏するのに邪魔なのかもしれませんね〜。
演奏の方はと言うと、始めの方こそ緊張による硬さがあったものの、5分もするといつもの様な演奏を楽しむスタイルに。
石田様でも緊張するのね!!ちょっと発見(<何を今更)。
予習していたCDでは聴こえて来なかった細かい音や、聴くだけではわからなかった一人掛け合い(館風の造語。CDで聴くと2人で弾いているように
聴こえるのに実際は1人で弾いている部分の事)とか、かなり楽しめました。やはりオケは生で聴かなきゃ駄目だね!今回は特に
CDでは解り辛い装飾音などが多い曲のため、強く思いました。
第1楽章の出だしは足元を踏み固めるように堅実な演奏。中間部のソロ部分、こんなに長かったっけ……??やっぱりこう言う部分も何かしら石田様の
アレンジが入っているんでしょうか。
(追記:ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲のオーケストラスコアをチェックしたところ、第1楽章のソロ部分(一般にカデンツァと呼ばれる)は
なんと3パターンあるらしい。
まず、オリジナルのハチャトゥリアン版。これが1番長い。しかし、ハチャトゥリアンの友人であり、よき相談相手でもあったオイストラフ(ヴァイオリニスト)は
これが長すぎるとし、自らのセンスで短いヴァージョンで演奏した。これがオイストラフ版。そしてそのオイストラフ版を気に入ったハチャトゥリアンがオリジナル版を短く編集した
ハチャトゥリアンショート版の三つがある。
私が予習に聴いていたのはオイストラフ版だったのだろう。だから石田様のカデンツァを長く感じた。楽譜を見ても頭の中で音が鳴らない館風なので、はっきりした事は
わからないのだが、今回演奏されたのはオリジナル版の1番長いヴァージョンだったのではないだろうか。
そもそも協奏曲のカデンツァ部分はソリストのセンスに任されていたものが段々と作曲者が予め作って置くようになったものである。
だからどの版を選ぶのか、と言う所にソリストのセンスが出てきたりするんじゃないだろうか。もしかしたらそこに更にアレンジ入っているかもしれない。
だってそもそも即興演奏的な色彩が強かったんだし。ま、私は元の楽譜がどんななのか分かってて聴いたわけじゃないからどうなのかよく解らないけれど(投げちゃった……投げちゃったよこの人)。
演奏会をとことん楽しむ為に、スコアにまで手を出してみるのも面白いかもしれない。)
石田様の演奏は速弾きの部分とゆったりした部分でかなりギャップがあるのですが、
それがまたガツンと衝撃を与えるのです。第1楽章と第2楽章を対比すると良く解りますね。2楽章はホント、気持ち良くなりますね。とても
心地よく、染み込んで来る感じでしょうか。
第3楽章は始まる前から石田様は何故だか笑顔。凄くウキウキしているようにお見受けしました。一発目のトランペットとトロンボーン(この部分のトランペットとトロンボーン、素晴らしかったと思います。今日の金管賞。)を左手で
振るような仕種を見せたりとか、何か所かで自分の入り前にオケと一緒に身体を動かしていました。そう言えば自分が弾かない部分でも
1stヴァイオリンと同じ指の動きをさせているところとか有りましたね〜。
この第3楽章、石田様の演奏を楽しむ姿勢がオケにも伝わったのか、とても勢いがあり、素晴らしい演奏でした。終盤のクライマックスに向けてのソロと
オケの対決は激しかったです。あ、あんなに弾いていたのですね。これはもう壮絶としか言いようが無いくらいの指使いで、演奏終了後の
石田様はちょっと肩で息をするほどでした。
初めて今年の後半の神奈川フィルの定期のチラシを読んだ時は「美音って……」とか思ったものですが、いやはや、本当に石田様の音は
美音としか言いようが無いです。石田様の高音部の音の美しさはただ儚いだけではなく、一見華奢でありながらも芯があって、強さがあり、
そして何よりピッチが正確。うーん、改めて石田様の演奏の素晴らしさを実感しました。
しかもこの後、石田様はアンコールで「チャールダーシュ」を演奏したのです!!現田氏!!石田様はこの後もニールセンのコンマスしなきゃ
いけないんだからそんなに働かせていいの?!(笑)。ファンとしてはとても嬉しいけれど、普通のソリストよりかなり負担があったのでは・と推測。
それでも「チャールダーシュ」もいつも以上にアレンジの効いたスパイシィな演奏で、ドキドキさせられました。
ちなみにアンコールの前には現田氏が促して石田様がちょろっとお喋り。第一声は「ありがとうございました」で、その後はいつも通りシャイな石田様が
言葉少なに感謝の意を。あれだけでも言いたい事は全て伝わっていたと思います。神奈川フィルのアットホームな雰囲気が有りましたね。
オケとお客さんが近いと言うのでしょうか。とてもすばらしい事だと思います。
本来の本日のメインこと後半のニールセンは石田様がコンマスで。いつもの燕尾服もカッコイイ〜。1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンのコンビネーションもバッチリで、
やっぱり石田&小宮のコンビじゃないとね!!たまに小宮氏が石田様の方をチラリと確認するんですよね。石田様は信頼しているのか、くっと頷いて合図するのです。
最後のダブルのティンパニは圧巻。左右に居るティンパニが交互に掛け合ったり、片方の音に反応したり、かなり面白かったです。そう言えば
今神奈川フィルはティンパニの募集かけてますけど、平尾っちもカッコ良かったですよ〜。まあ、私個人としては平尾っちはやっぱりイロモノ(笑)担当であり続けて欲しいのですが(<
これは平尾氏が好きだからこその発言ですよ)。
演奏終了後、石田様と現田氏がロビーに出て来ていて、辺りは黒山の人だかりでした。私もちゃっかり握手してもらいました〜。
久々にサインも。末尾に「Thank youv(注:最後のvはハート)」と入っていて可愛かったです。
ちなみにその大サイン会(笑)を撮影していたキャメラですが、TVKらしいです(やっぱり)。情報によると来年1月15日の
20分番組で流れるとか。むむ……どんな番組なんでしょうか。詳細情報分かったらまたご報告します〜。