2004年演奏会日記3月

3月12日 女声合唱団青い鳥 定期演奏会Vol.12@リリア音楽ホール
3月13日 現代の音楽展2004 室内オーケストラの領域W@津田ホール
3月19日 ★神奈川フィル第204回定期演奏会@MMH
3月25日 ★題名のない音楽会21公開収録@文京シビックホール






2004年3月12日 女声合唱団青い鳥
定期演奏会 Vol.12


場所:川口総合文化センター
 リリア音楽ホール
指揮:栗山文昭
ピアノ:須永真美
合唱:女声合唱団 青い鳥
曲目:
第1ステージ
Adorna thalamum tuum 作曲/William Byrd
Veni,sponsa Christi
 作曲/Claudio Monteverdi
Veni,Creator Spiritus 作曲/Hector Berlioz
Ave Maria 作曲/Zoltan Kodaly

第2ステージ
27の同声合唱曲集より 作曲/Bela Bartok
(マジャール語指導/森本覚)
Z-1 Banat
2 Ne lattalak volna!
3 Elment a madarka
[-1 Parnas tancdal
2 Kanon
3 Isten veled!

第3ステージ
女声合唱とピアノのための
形見―万葉の愛のかたち五篇―
 詞/川口義晴 作曲/新実徳英
 ピアノ/須永真美

 形見
 遠く…
 夜
 別れ
 魂逢ひ

第4ステージ
無伴奏女声合唱のための
 モニュメント
 詩/木島始 作曲/信長貴富
 (英語発音指導/山内房子)
(2003〜2004年八ヶ岳ミュージックセミナー・青い鳥委嘱作品全曲初演)

 第一章
 第二章
アンコール
 「青い鳥」(タイトル不明) 作曲/国枝春恵

★朝、黒熊の三角氏(@COSMIC GARDEN)からメールが入り、この演奏会に誘われた。 それまで羽田氏&大谷嬢のコンサートに行くつもりだったのだが、信長氏の初演があるのでは行かない訳には行かない(プロフィール参照)。 どうせ(失礼)あちらのチケットも当ったものだったので早々と人に譲った。
 というわけで黒熊の三角氏、ありがとうございました。そんでもってまた信長氏の初演の時は誘って下さい(どさくさ)。

 第1ステージは有名作曲家の宗教曲を中心に。全て聞き終わってから見ればこのステージが一番親しみやすい曲が集まっていたと言うのも 面白いですね。
 そして、この合唱団、構成年齢は若めのはずなのですが、声が成熟されていてとても美しい。 若いソプラノ特有のキンキンした音が無く、まるく優しいものに包まれたかの様な 音色は逸品。ハーモニーもバッチリで見事な美しい倍音がホールを満たしました。 おそらくホールの設計も良いのでしょうが、倍音が増幅されて聞こえた気がします。
 とにかく安心して聞けました。宗教曲だけあって(偏見?)安らかな気持ちになれましたし。 何よりここまで女声合唱で倍音が出るって言うのは素晴らしいですね。 久々に倍音が出る合唱団を聴いた気がします。

 第2ステージはマジャール語のせいかソプラノが急に浅くなった気がしたのですが、曲目が進むに連れて安定してまた深めの音色に。 第1曲目の音が当った部分なんかではわざと地声っぽく出してハンガリー曲特有の演出があったり、なんだか親しみを感じました。
 私が「バルトークってハンガリー人だったんだ」と発言したら 「そうだよ。知らなかったの?」と当然のように返されました。ごめんなさい。勉強します…。
 それにしても普通の曲ではありませんでしたね。一見美しい音で構成されているように感じるのですが、細かい所ではバチバチと火花が散っていました。 この辺からどんどん現代音楽〜って感じが漂ってきていました(笑)。

 第3ステージの新実氏の曲は昨年委嘱初演したもの。
 第1曲と第5曲はメロディアスで親しみやすい(と言ってもそこここで当りがあったり、現代音楽なんですけど)?と思ったのも束の間、 間の3曲はバリバリの現代音楽でした。特に第2曲、第3曲なんかは突っ走っています。
 第2曲は素敵な当りが満載で、これを歌っている団員たちは凄いな・とただただ感心するばかり。 次の第3曲も断続的なピアノと合唱で、メロディらしきものがあるのはハミングとヴォカリーズ(?)の部分のみ。 あ、特にnのハミングがとても綺麗でした。しっかり音が鳴っていて、美しかった。あんなハミングできるようになりたいなぁ。
 第5曲ではピアノの音が切れ、それに続いて合唱が切れた瞬間に長く音が響いた (解り難い説明でごめんなさい)のですが、それ、ピアノが合唱に共鳴して弦が響いていたのです。 おそらくペダルで弦を開放してあったのでしょうが、それにしたって凄かった。

 そして本日のメイン。信長貴富氏の新曲!
 始まる前に栗山氏と信長氏の二人でフリートーク。栗山氏の背の高さ(大きい!)と信長氏のイケメンさにびっくりしました。 信長氏、カッコいいなぁ…(<そんな所しか見ていないのかお前は!<そんな事ありません!!)
 この曲を作曲しようと思ったきっかけ、と言うかそう思った心理的欲求の源泉などのお話でした。

 曲はいきなり合唱団員が片方をグーで、片方でそれを覆うように口元に当て、不思議な息の音を繰り返し、覆ったほうの手を開いたり閉じたりする事でその 不思議な音が変化させると言う思わず惹き付けられる始まりでした。 四つに分けられた合唱団のそれぞれがそれぞれのタイミングで始め、その後台詞を子音だけで喋る。 いきなりガツンとした始まり方なのですが、その後は圧倒的な音の洪水。
 おまけにあまりにきっちりハモるものだから、ものすごい量の倍音が出て、私はちょっと音に「酔う」くらいであった。
 この曲ソリストが居たのですが、特にアルトのソリストが秀逸。澄んだハッキリとした音色に好感が持てました。
 倍音がぐわんぐわんして半トランス状態で聴いていたので色々事件があった(笑)と言う記憶はあるのですが ハッキリとした感想はありません。(と言うかそんな偉そうな事言えない…) とにかくこの最後の曲が「凄かった」と言う印象があって、演奏が終わってから立ち上がるとちょっとふらつきました。

 きっと演奏会を聴きに来ていたのは95%が合唱関係者なんでしょうけど、これ、合唱に興味なかったら「何コレ?」と言う曲のオンパレードでしょう。 後半になればなるほど不可解(笑)になっていきました。
 言うなればもっと聴きやすい曲があっても良かったかな・という感じ。でもま、合唱関係者しかこないんだったらコレでいいのか。



2004年3月13日現代の音楽展2004
 室内オーケストラの領域W
 ―日仏交流現代音楽の夕べ


場所:津田ホール
製作・指揮:小鍛冶邦隆
演奏:東京現代音楽アンサンブルCOmeT
ピアノ:中井正子
ヴァイオリン:ノエミ・シントラー
アコーディオン:パスカル・コンテ
曲目:
吉田進/五つの俳諧
 〜室内オーケストラのための
(1996フランス文化省委嘱作品/日本初演)
久行敏彦/BreathsU
 〜for chember orchestra〜
 (2004/初演)
小鍛冶邦隆/ピアノと16奏者のための
 《ドゥブル・レゾナンスU》
 (2004/初演)
フランソワ・ロッセ/プラトニウム
(1993フランス文化省委嘱作品/日本初演)
ベルナール・カヴァナ/ヴァイオリン協奏曲
 ensemble―
(2000フランス国営放送およびアンサンブル・モデルン委嘱作品/日本初演)

★現代音楽である。いつもの通り私は当たったチケットで鑑賞したのだが、 津田ホールを8割方埋めたお客さんはみんな現代音楽好きらしい。
 私も勿論現代音楽が好きだが、これ程一般受けしているとは思っていなかった。これだけお客さんが集まるなら 現代音楽の未来も明るいのでは・と思え喜ばしかった。
 しかしまあ、ある意味どんな音楽も出てきた時は現代音楽なのだから、 いつかは今日聴いた音楽が古典と呼ばれる事もあるのだろう。 それでもこれだけ現代音楽にお金を使おう・と言う人が居るのなら音楽界って結構大丈夫なんじゃないかな・そんな感想。

 さて、曲の方。勿論私は全ての作曲者を知らず、演奏者にも知っている人は居ない(連れは知っていた様だが)。それでもわくわくして聴けたのは 現代音楽と言うくくりがあるからだろうか。何かやってくれると思っていたからかもしれない。

 始めの吉田氏の曲はヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コンバス、フルート、オーボエ、ファゴット、トランペット、トロンボーン、 トランペット、ハープ、それにパーカッションが2人。
 ピッコロが和楽器の様な音を出した美しい曲で、 タイトル通り、五つの松尾芭蕉の俳句をタイトルに五つの曲が付けられています。

 第二句の「古池や蛙飛びこむ水の音」はチロチロと水面を現して居たかと思うとバチャン!と 蛙が水に飛び込む音がして、その後また水面が滑らかになっていく。それだけ。
 びっくりしてしまいました。あまりにそのまんまなんですが(笑)、とても面白かったです。こう言うアイデアはやったもん勝ちですね〜(<褒めてますよ)。

 後は第四句の「菜畠に花見顔なる雀哉」では句の通り可愛らしい音楽で、とても楽しくなりました。
 そして全ての曲を聴いてから思えばこの曲が一番メロディアスで「普通」の曲だったのです…(笑<昨日もそんな事言ってなかったか?)。

 続いての久行氏の曲は下手前列からヴァイオリン2、ヴィオラ、クラリネット、オーボエ、フルート。 その後ろが上手からコントラバス、チェロ、ファゴット、 トロンボーン、トランペット、ホルン。一番後ろにパーカッションが二人。

 クラリネットの変な音(って言ったら悪いですけど)で始まり、その後フルートへ引き継がれる、不思議な出だし。

 とにかく打楽器が印象的で、チューブラーベル (カァーンと気持ちいい音のする吊るしてある金属の棒みたいな奴)や大太鼓が大活躍。特にチューブラーベルはクライマックスでは これでもかと言うほどの速打ちを披露。この楽器がメロディラインを演奏するなんて事、滅多にないんじゃないだろうか。 心なしかパーカッションのお姉さまも楽しげでした。 後、この曲はパーカッションは楽器持ち替えが多く、とても忙しそうでした。ついついパーカッションを見てしまうんですよねぇ。

 チューブラーベルとアンサンブルの対決(としか言いようが無いクライマックス)の後はまた冒頭の音楽に戻って来て了。とても面白かったです。 ああ、今日の感想こんな感想ばっかりになりそう…(汗)。

 前半のラストを飾るのは本日の指揮者小鍛冶邦隆氏の「ドゥブル・レゾナンスU」。中央にピアノ、下手側にはフルートの隣にヴァイオリンが二人並び、 その後ろに下手からトランペット、オーボエ、ホルン。ホルンの真後ろあたりにコントラバス、その左にマリンバ。 上手には手前上手からクラリネットとヴィオラ。その後ろに上手からファゴット、 チェロと並び、その後ろにトロンボーン。更にその後ろにハープが居て、そのちょっと手前に トロンボーン。そしてその斜め前にビブラフォン(かな?ああいう楽器って名前分からないんですよね…早い話でっかい鉄琴)。 一見するとちょっと歪んだ対抗配置に見えて、きっと音響効果もねらってあるんだろうなぁ。と思いました。
 この曲のピアニストは中井正子嬢。どうやらゲストの模様 (東京現代音楽アンサンブルCOmeTにも黒田亜樹嬢と言う素晴らしいピアニストが居ります。)そしてそのピアノが凄かった。
 ピアノのガシャーン!と言う音で始まり、それに触発されるかのように他の楽器も音を奏で始めるのですが、そのパワーがちょっと違いました。 ご本人の指揮だからでしょうか。
 とても解りやすい音楽で面白かったのですが、いかんせんパンフレットの解説は全くわかりませんでした。わからなかったんですってば(笑)。

 15分の休憩を挟み、後半はフランスの作曲家の曲を。それにしても、会場内にフランス人が多いです(笑)。

 フランソワ・ロッセ氏の曲は下手にピアノがあり、最前列はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。2列目はフルート、オーボエ、 クラリネット、バスクラリネット、サックス(なんとバリトンサックス、テナー (?アルトかも。判らない)サックス、ソプラノサックスの三つを持ち替え!!)、ファゴット。 ピアノの奥になる形でトランペット、ホルン、トロンボーン。そしてパーカッションは3人。この曲のピアノは黒田亜樹嬢。 淡々と弾く様がカッコ良かったです。

 フルートの妙に和風のメロディで始まり。 フルートとクラリネットの音がもつれて転がるような所へヴァイオリンがちょっかいを出して・みたいな感じの部分や、 ビブラのかかったトランペット(って言うのか?よく判らない…)など、 不思議な音楽の連続でした。ピアノパートが地味に(笑)重要だったりして、注目でした。連れの話によるとかなり特殊奏法を駆使していた模様。 私はその時何処を見ていたんだろう…(笑)。
 中盤を過ぎた辺りでチェロのオイシイパートがあったり、 最後の最後でソプラノサックスがド派手に、華やかに散って(っておかしいけど)みせたり、と中々色んな楽器に スポットが当る曲でした。

 そしてこの曲の一番のプッシュはフルート!えぇと、フルートを吹いたのは資料によると木ノ脇道元氏となっております。
 この方、長髪をオールバックにして後ろで一つで結んでいる(しかもその長髪めちゃ長のくせに綺麗なウエーブなの!ずっこいの!)と言う ぱっと見ちょっと普通じゃない(褒め言葉)お兄ちゃんなのですが、フルートの演奏が凄い。素晴らしいんです。 どの曲もフルートは割と重要だったのですが、この曲でその実力を如何なく発揮。
 曲の後半でおもむろに立ち上がったかと思うとピアノの所へ行き、 そのままピアノの中へ楽譜を置いて頭を突っ込んで吹き始めたではありませんか!! ピアノの反響板の方へ向かって吹いているわけですから、それに当った音がこちらへ響いてくる訳です。その間ピアノパートは無し。 ピアノの黒田嬢が指揮者が見えない木ノ脇氏の代わりに指揮者を見てタイミングを取るお手伝いをしていました。フルートの奏者はこちらに お尻を向けているわけですからなんだか不思議な感じがしました。
 更にその最中「フスー!」と言う息そのものみたいな音と「ふゎぁぁ!」と言うフルートの音(にしては少々カスレている)を同時に吹くと言う ウルトラCをこなしてくれました。こんな奏法聞いた事無いです。どう言う奏法なんでしょう。わかる人、教えてプリーズ。
 いやあ、このフルートは良かったなぁ。。。

 今日のトリ、ベルナール・カヴァナ氏の曲は本日の曲目の中で 「これぞ現代音楽。これぞコンテンポラリー(意味一緒)」と言う感じ。思い返せばこれが一番激しい(笑)曲だった。
 アンサンブルは下手手前からヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、2列目にフルート、オーボエ、 クラリネット、バスクラリネット、ファゴット、アコーディオン、コントラバス。 更にその後ろにトランペット、ホルン、トロンボーン。そしてパーカッションが二人。 ソリストは指揮者と少し距離を置いてアンサンブルのヴァイオリンより少し下手に。

 雷のようなドカーン!と言う激しい始まり。全てのパートがやりたいようにやっているような印象を受ける部分が過ぎると、 大太鼓のカッコいいリズムが入って、それをコントラバスが踏襲。このパートがカッコ良かったです。アコーディオンのおかげか、低音が補充されて 音が厚くなっていました。実はアコーディオンは右手しか見えなかったんですが、凄い速さで指が動いていました。 お、恐ろしい…!!

 第一章のラストは唐突に終わってびっくりしました。それから第二章。 ヴァイオリンソロのノエミ・シントラー嬢はフランスでの初演も担当した方らしく、堂々の演奏。 感情の籠った演奏でした。体中を使って表現すると言うのかな。膝から動いていましたね。運指もとてもキビキビしていて好感を持ちました。 弓で弾きながら左手で弾(はじ)いたり、色々忙しそうでした。

 そう。忙しそうと言えば(笑)パーカッション!変な銅板がぶら下げられていて、それを叩いたり、 二人で何種類もの楽器を演奏していました。
 一番凄かったのはチューブラーベル。その部分は片方がチューブラーベル、 片方が銅鑼を担当していたのですが、銅鑼のパートが終わった後、銅鑼を演奏していた方が チューブラーベルを演奏するもう一人の後ろからにゅうと手を伸ばし、二人で演奏を始めたではありませんか! こ、こんな演奏初めて見ました。もう目が点です。 そう、和音があって出来ない、じゃなくて、 そんな速いの一人じゃ出来ない・と言う感じで二人で演奏しているのです。なんだか見ていてうふふと笑ってしまいました。 こう言うのがあるから現代音楽やめられないんですよねぇ。

 全曲通して素晴らしい演奏だったと思います。これだけの曲を演奏しきってしまう 東京現代音楽アンサンブルCOmeTに拍手。全員の名前は掲載できないのでこんな形ですが、一人一人が素晴らしかったと思います。 えぇっと、敬意を表してパーカッションの御三方だけ名前を書いておこうかな。 神田佳子嬢、渡邊理恵嬢、稲野珠緒嬢の御三方です。とっても楽しそうに演奏していたのが 印象的でした(そして忙しそうだった…)。

 今日の演奏会はかなりマニアックな、それこそ現代音楽が大好きな人しか来ていなかったのではないだろうか。 その証拠に観客のマナーが素晴らしい! 観客も演奏会作りに一役買っている事をしっかり理解しているのでしょう。みんな本当に音楽が好きなんだなぁ。 それを思うとなんだかぽわんと幸せな気分になれました。




2004年3月19日
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 第204回定期演奏会
『新古典主義〜変容の妙』


場所:横浜みなとみらいホール
指揮:現田茂夫
ヴァイオリン:竹澤恭子
チェロ:堤剛
ソロ・コンサートマスター:石田泰尚
曲目:ブラームス
 ハイドンの主題による変奏曲op.56a

 交響曲第3番ヘ長調op.90

 ヴァイオリンとチェロのための
 二重協奏曲 イ短調op.102

★今日は定期会員にはリハーサルを公開。現田氏が指揮の時はこのサーヴィスがあるから嬉しいです。 やっぱり音楽の作る過程を見れるって言うのは面白いです。 まあ、実際にはこの時にはほとんど確認作業だけなのですが、本番の時にリハとの違いとかを気付けて面白かったりします。

 さて本番。ブラームス効果か、竹澤恭子効果か、堤剛効果か今日はホールの入りも上々。 人がいっぱい入っていると響きも違ってきますしね。ファンとしてもお客さんがいっぱいなのは嬉しいです。 プレトークで現田氏が「これからもよろしくお願い致します」と言っていたのが切実に響きましたね。

 さて、1曲目。ハイドンの主題による変奏曲は何と言うか、唐突な出だし。いきなり曲の途中から始めたような音楽で、 知らないとちょっと戸惑います。
 中間部では木管パートが大健闘。忙しそうなクラリネット、オーボエ、フルート、ファゴットのトップ四氏に拍手。
 弦は相変わらずの素晴らしさで、あのまとまり方はまるでとんでもなく大きな音が出るヴァイオリンで一人が弾いているみたい。 1stヴァイオリンだけでもかなりの人数のはずなのですが、まるで一本のヴァイオリンのよう。 それは他の弦のパートにも言える事で、やはり首席奏者が揃っていると違いますね。
 あ、そうそう。今日のヴィオラのトップの方のお名前が知りたいです。秋山氏ではありませんでしたね。私の位置からはお顔が良く見えなかったので…。 誰か知っている方はご連絡をお願い致します。

 今日は久々にパーカッションの平尾氏が居ます(館風は平尾氏とティンパニ・藤本氏のファンです)。 ティンパニの横にちょこんと座っていて、どうやらトライアングル担当の様です。しかし…
 曲の最後まで出番がありません。約20分と書いてありますが、その内19分は出番がありません。 最後の最後におもむろに立ち上がってトライアングルを叩いていました。 でも、演奏を見るとトライアングルも気が抜けないんだなぁ…と思いました。 忙しい所は忙しいんですね。アレって(笑)。
 そんでもってトライアングルがいいアクセントになってるんだこれが。ヴァイオリンや木管と同じリズムで叩くのですが、 その音を聴きながら石田様を見ているととても面白かったです(何でって音と一緒に頭振るから…)。 ん〜、石田様もやっぱり大概ヴィジュアル系だなぁ(<何か意味違うだろ)。

 そして交響曲第3番。プレトークで現田氏が仰っていた「ブラームスはロマンチスト」の意味が存分に理解できる1曲でした。
 特に私が好きだったのは3楽章。月並み〜と言われてしまいそうですが、 あのキャッチーな切ない系のメロディが好きですね。石田様の表情と相まってうっとりとなってしまいますね。ああ、こう言う演出力が石田様 ですよね〜。
 それにしても、主題が親しみやすいって言うのはやっぱり強みでしょう。 このロマンチックなメロディが人を夢中にさせているのかも。
 3楽章はチェロが低めの音程でメロディを奏でる上に1stヴァイオリンがオブリガード的に同じメロディを被せるのですが、この音が響きあってまた素敵なのです。 CDで予習はしていましたが、1回生を聴いた方がずっと良いですね。今日一日でブラームスがとっても好きになりました。

 休憩を挟んで二重協奏曲。竹澤嬢は黒のパンツの上にオレンジがかったサーモンピンクの衣装で登場。薄物がヒラヒラして綺麗。 ちなみに私の位置からはソリストが二人とも背中からしか見れず。なのでしっかりした響きの音は聞いていません。残念。

 ですが、二人とも音の響きが素晴らしい。堤氏の深い、深い音色は流石、と言う感じですし、 竹澤嬢の跳ね回るような弾(はじ)ける音はホール中に響き渡る様が見えるようでした。
 後ろから聞いているのでご本人にしてみれば音はイマイチなのでしょうが、 P席でこれだけならば正面の良い席で聞いていた人には素晴らしく聞こえたでしょう。 やっぱりソリストが居る時はこの席、勿体ないなぁ…(石田様が見えるんだから文句を言ってはいけません)。

 堤氏も竹澤嬢も弾く姿はダイナミックで、パワーに溢れていました。堤氏はチェロを右に左に大きく振るし、 竹澤嬢はいつ背骨が折れるかと心配になるほどのけぞるしで、二人とも大暴れ(笑)。竹澤嬢は もう、ヴァイオリンかつぎっぱなし。何と言うか、「のだめ」の峰くんをもっと大げさにした感じ。奔放な感じでカッコ良かったです。

 ソリストが二人も居るので今回のオケはちょっと控えめ。しかし「ちょっと」でした(笑)。控えめと言っても音楽の勢いがなくなるわけじゃありません。 弦の素晴らしい統率感はそのままに、ソリストvsオケ、と言う構図が出来上がっていました。
 現田氏と石田様の間を裂く(笑)ソリスト二人を挟んで必死に1stヴァイオリンに指示を出す現田氏がちょっと注目★と言う感じでした。 ちょっと現田氏は1stヴァイオリンにばっかり指示を出している気がするのですが、贔屓ですか?(笑)。と言うよりも1stに出しておけばそれが 石田様を通して他のパートにも伝わる・と言う事なのでしょうか。
 最後の楽章ではチェロの特徴的なメロディに続いてオケもそれに対抗するのですが、 これがもう、カッコいい。このメロディが今でも頭の中をぐるぐる回っております。 全体的にピチカートで合いの手を入れたりする部分が多かったこの曲ですが、この楽章は凄い。あの音の厚みはたまりません。

 そもそもブラームスは音が厚い(by現田茂夫@プレトーク)らしいのですが、この音の厚みが1時間半聞いていると気持ちよくなってきます。 普段だとどうも音がはっきりしない、もやもやしている・と思いがち(てゆか私は思ってたんですよ)なのですが、 やはり生だからでしょう、一つ一つの音が立ってるんですよね。音の一つ一つが煌めくんです!やっぱり音楽は生ですよ!
 と言う事は、今までCDで聞いて苦手だなー、と思っていた曲も 生で聴いてみたら印象が変わるかもしれません。
 勿論、指揮者やオケによって曲の印象が変わるでしょう。 しかしそれもまた、オーケストラの魅力として楽しんでみては如何でしょう。

 ちなみに来月4月3日の205回定演は若杉弘氏の指揮でモーツァルトの「29番」と三善晃の「焉歌・波摘み」とマーラーの「巨人」。
 しかもコンマスが石田様!マーラーは石田様がお好きな作曲家ですし、若杉氏は初めて神奈川フィルで振るとの事。ちょっと足を運んでみては如何でしょうか。
 ちなみに私は三善が楽しみです。神奈フィルが演るとどんな音楽になるんでしょうか。










































2004年3月25日
 題名のない音楽会21公開録画


場所:文京シビックホール
司会:羽田健太郎(pf) 大木優紀
指揮:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ソロ・コンサートマスタ:石田泰尚
第1部ゲスト
 タップ:ザ・ストライプス
 津軽三味線:吉田兄弟
 大鼓:望月圭
 小鼓:望月正治
第2部ゲスト
 宮本亜門
 中川晃教(シンガーソングライタ)
 鵜木絵里(Sop)
 幸田浩子(Sop)
 足立さつき(Sop)
 湯川晃(Ten)
 山口英次(Gt)
曲目:第1部
 「打つべし!打つべし!打つべし!!」
 (4月25日放送予定)
第2部
 「宮本亜門・そして序曲は始まる
〜キャンディードVSウエスト・サイド物語〜」
 (4月18日放送予定)

★いつもの通り細かい曲目は秘密vv放送をお楽しみに。
 今回は折角2時から並んだのに(都合4時間待つことになりますね)センターブロックが取れなくて残念。 上手側だったので石田様がピアノとソリストに隠れて見えず。む、無念…!!。

 第1部はタイトル通り、従来のタップよりも強く足を床に叩きつけるパフォーマンスの「ザ・ストライプス」のタップダンスと 弦にバチ(って言っちゃっていいんですかね)を叩きつける津軽三味線の共演。「ザ・ストライプス」は北野武監督の「座頭市」のラストシーンのタップを振り付け・共演した グループ。これがオーケストラと合わせるわけです。

 と言っても今回、タップが主役。津軽三味線とタップの共演や羽田氏と「ザ・ストライプス」リーダHIDEBOHさんの即興対決等、 オケは結構暇。石田様がタップダンスをかなりじーっと見ていたのが印象に残っています。
 えー、今回「ソリストはどうせテレビで見れるし、石田様も時々しか見えないしそっちよく見とこう」 とか思ったせいか、なんかあんまり記憶が……(<マテ)。

 吉田兄弟を見るのは私初めてだったんですが、素敵ですね。どちらが兄でどちらが弟だったのかさっぱりわからなかった(笑)んですが、 二人の演奏スタイルが微妙に違ったりして面白かったです。二人ともカッコ良いですね〜。浅葱色の着物に紺色の袴でりりしい感じです。
 タップの「ザ・ストライプス」もカッコイイ!3人(4人グループで、1人はパーカッション担当)の動きが見事に 揃っているんですよね。そして、揃っているだけではない動きとか、必見。
 ラストに共演者全員で「座頭市」のラストシーンの音楽を。勿論タップ有りですよ。とっても格好良かったです。あ、この曲って鈴木慶一なんだ…。

 今回トークが面白かったせいか、収録時間がちょっと長め。トーク中石田様も何度か笑っていました。いいんだ…演奏中あんまり見えなかったけど (ピアノの陰で上下するヴァイオリンだけ見えたりとか…)笑顔の石田様が見れたからいいんだ……。

 さて第2部。第2部のが放送先なのに後に撮るのね…と思っていたら理由が解りました。中川晃教氏です。中川氏が出てきた瞬間の 拍手!すご!多!演奏終了後のカーテンコールの拍手の多さ!今回の倍率の高さが分かった気がした瞬間でした。
 ちぇっ……2部の始めに石田様が出てきたときに拍手したのはアタシ一人だったってのに……(<恥ずかしい観客である)。
 第2部のテーマはバーンスタイン。4月26日から始まる舞台「キャンディード」の宣伝も兼ねてるんでしょうね〜(<そんな所は読まなくていいから!)。 宮本亜門氏と羽田氏のトークも盛り上がり、今回も収録はちょっと押し目。

 「ウエスト・サイド物語」と「キャンディード」のおいしい所取りの演奏。「ウエスト・サイド物語」は原語(今変換したら減五って変換されたよ!アタシのPCおかしいよ!) での演奏でしたが、「キャンディード」の方は日本語。この日本語での演奏が可笑しさを増していました。 キャンディードと恋人のクネゴンデのすれ違いっぷりとかがとても面白かったです。
 鵜木絵里嬢と幸田浩子嬢は四月からの「キャンディード」でダブルキャストでクネゴンデを演じるのですが、お二人とも素晴らしい。 面白い演技を追及した鵜木嬢と超絶技巧を何でもないかのように演じきった幸田嬢。お二人とも素晴らしい演奏でした。
 石田様を始め、ヴィオラとチェロのソロがある曲もあったりしてとても素敵でした。良かった〜。石田様ソロあった〜(<ファンですから…)。 素晴らしかったです。ソリストがいたのでお姿は拝見できなかったんですけどね…。石田様の演奏って、音と、演奏している姿と合わさって完成・と言うか魅力が増幅されると思うんですよ。 なのでテレビ朝日が石田様を抜いてくれる事を期待(笑)。

 最後に演奏されたのは「キャンディード」序曲。これ、以前神奈フィル演奏しましたよね…(うろ覚え)。
 金管系が派手な曲ですが、弦の統率が素晴らしく音量の大きな金管に対抗していました。いやぁ、これ、相変わらずかっこいいなぁ。 現田氏はなんと暗譜で演奏。凄すぎです。
 「キャンディード」を五月に見に行くのが楽しみになりました。

 ところで、4月から始まる舞台「キャンディード」の話で盛り上がったトークなんですが、その間、石田様はどんな気持ちで話を 聞いているんでしょうか。だって石田様も舞台乗る(ピットに入る)んですよね???ちょっと不思議な感じがしました。
 それでは放送をお楽しみに!(石田ファンは録画必須ですよ!)
 







































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