場所:藤沢市民会館大ホール
指揮・トーク:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:石田泰尚
ソプラノ:菅英三子
バリトン:成田博之
合唱指揮:藤原規生
合唱:藤沢市合唱連盟ジュニア合同合唱団
湘南市民コール
曲目:第1部
シベリウス/交響詩「フィンランディア」
チャイコフスキー/弦楽セレナードから
ルロイ・アンダーソン
プリンク・プレンク・プランクから
モーツァルト
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」第一幕から
サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
モーツァルト
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲から
モーツァルト/「レクイエム」ラクリモーザから
ヴェルディ/「レクイエム」怒りの日から
フォーレ/「レクイエム」天国にてから
ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲
構成台本:新井鴎子
第2部
フォーレ/レクイエム
★今日は殆どの曲で石田様がコンマス!指揮が現田氏だったので心配はしていませんでしたが、やっぱり嬉しいです。
段々出し惜しみが…ね(笑)。
オケが入る前に現田氏によるプレトーク。なんと現田氏11歳の映像を披露。真剣な表情でチェロを弾いています。目が一緒ですね。
指揮者を睨みつけるように見ています。
この映像で弾いていたのが「フィンランディア」。この曲で今日のコンサートは幕開け。
現田氏の重々しい曲がこの曲にピッタリ。1曲目からノっているなぁ、と思って見ていたら、次のMCで現田氏は息が上がっていました。かなり気合入っている模様。
1曲目はいつも息が上がってしまうそうです。やっぱり一番始めの音って言うのに気合を入れているんでしょうね。
この子ども向けのオーケストラコンサートはシリーズ化したいそうで、もしそうなればとても質の高い、素晴らしい企画になるでしょう。
第一回の今日はオーケストラの基本である弦楽器について解説。曲目も弦楽器がメインの曲ばかり。
楽器解説もアリで、現田氏が「これがヴァイオリン」と言うと石田様がひょっとヴァイオリンを上げたり、弓を説明する時にも石田様が弓をぴこぴこ動かしたり、
普段は見られない動きが…(<すいません、石田ファンなんです…)
2曲目の弦楽セレナードでは管楽器が居なくなったからか、弦の音がとても優しい音色に。管が居た時と意図的に音色を変えていたのでしょうか。柔らかい印象になっていました。
次は弓を置いて演奏する「プリンク・プレンク・プランク」。
現田氏の指揮がとても面白く、極めてpの所は手で振ることをせず、ちょっとした肩や腰の動きで指示を出していました。その様子がとても面白く、石田様も何だか笑顔。
終わってからも石田様はなんだか笑って現田氏に拍手を送っていました。
石田様のピチカートの演奏は見ていて気持ちが良いくらいスッキリしていて良いです。手の先まで意識が行き届いていると言うのですかね。とにかく弾いている姿が綺麗。
弓を置いたピチカートが見れたのはラッキィでした。
この曲を演奏した後、弦楽器の弓で擦る以外の音の出し方も解説したりして、とても面白い。私が特に面白いなぁ・
と思ったのは「フラジオレット」で、あまり弦を強く押さえず、表面をなぞるように滑らせ、
それを弓で擦ると倍音が出る・と言うもの。これがまた不思議な音色で、気に入りました。
次の「ドン・ジョヴァンニ」は石田様は降り番で、オーケストラを三つに分けての演奏。同じ部屋で起こっている3つの出来事を現しているのだとか。三つの音楽がそれぞれ全く違って
一編に聴くと混乱してしまうのですが、それがまた上手く調和していて、モーツァルトってやっぱり天才だなぁ・と今更ながら実感。
今回は一つ一つをバラして聞く事が出来たのでとても判りやすく、それを判って聴いたのでその音楽のやりとりが目に見えるようでとても面白かったです。
こう言う企画はクラシック入門に丁度良いなぁ、と思います。子供にも判るように解説が入るのでクラシックをまーったく知らなくても判りますからね。とても便利(笑)。
同時にクラシックを聞く時のマナーとかを書いたリーフレットでも配ればいいのにな・と思いました。折角の入門編なんですから。
そして本日のメインイベント!(<第2部のフォーレクがメインぢゃないんだ…)ツィゴイネルワイゼン!
前後の「ドン・ジョヴァンニ」は石田様は降り番ですが、このソロが素晴らしかった。
前半のゆっくりした部分をラッサン、後半の速い部分をフレッタ(?…良く聞こえなかった)と言うらしいのですが、ただでさえ前後半のギャップの激しいこの曲、石田様&現田氏のコンビに
かかればとんでもない対比になっていました。
ラッサンは私が持っているCDよりもかなりゆっくり。フレッタはかーなーり、速め。
前半のラッサンはゆっくり、現田氏とアイコンタクトを取りながらの丁寧な演奏。左手で弦を弾くところ等、信じられないほど大きな音が出てびっくりしました。
石田様の指の力ってすごいんだ……!!。
高音も音がノっていて、ホールの隅々まで響いて気持ち良い。ツィゴイネルワイゼンの前半の物悲しいメロディにちょっとうるうる来てしまいました。
後半のフレッタは超絶技巧の嵐!現田氏と時折目配せをしながらとんでもない速さの運指。くらり。ツィゴイネルワイゼンってこんなに速かったっけ?
耳がついていけない程の演奏。それでも音の一つ一つまで気を遣った丁寧な演奏なのはどうしてなのかな!どうすればあんな演奏が実現できるのでしょうか。
石田様の超絶技巧にうっとりと酔いながらも、あっと言う間に曲は終了。楽しい時間は直ぐに終わってしまいます。。。
次の三大レクイエムは18世紀のモーツァルトから。モーツァルトはこの「ラクリモーザ」を書いている途中で死んでしまったんですよね…。
自分の為のレクイエムになってしまったわけですね。私は三大レクイエムの中ならモーツァルトが一番好きかなぁ…。
合唱団も抑制された声で、それでもオケに負けない音量をキープ。オケとのバランスがとても良かったです。
ヴェルディのレクイエムからは一番有名な「怒りの日」を。バトル・ロワイヤルなどのCMで流まくっていたので
誰でも一度は耳にした事があるはず(アレは何時の間にかモツレクの「怒りの日」に変わっている
と言うウルトラCをかましていましたが)。
この曲は私が石田様のファンになった記念すべき曲なので大好きです。是非とも王子石田ヴァージョンでの演奏を見たかったです(<聴きたかった・じゃないって言うのがもう駄目)。
合唱団も盛り上がりまくりのオケに負けず大音量・大迫力で素晴らしかった。一番有名な部分だけだったのが残念と言えば残念でしょうか。
今日の曲はどれもおいしいところ取りなので短め。満足ゆくまで聴けたのは第2部のフォーレクと第1部最後の「ウィリアム・テル」序曲のみ。
その「ウィリアム・テル」序曲。石田様もノリノリで頭も振るし、曲も楽しいし、現田氏も踊りまくり!!うっは〜。こう言う
見て、聴いて楽しめる演奏会って言うのは良いですね。子供の頃からこう言うコンサートに触れられるって言うのは本当に幸せなんだぞ〜って言うのを噛み締めて欲しいですね。
後半はフォーレの「レクイエム」を全曲。しっとりとした雰囲気の、透明なレクイエム。
前半には居なかった小さな子供たちが舞台に乗っていました。声もなんだか前半より若くなった様な気が…。
ちょっと生声があったのは仕方ないかな・と言う感じでは有りますが。
ソリスト二人も健闘し、ビブラを抑え目の清潔な声がレクイエムにマッチしていて良い。清潔な空気を演出したオケも素晴らしかったです。
この曲だけ配置がちょっと違って、上手の手前にチェロ、正面奥にヴィオラ、1stヴァイオリンとヴィオラの奥に2ndヴァイオリンと言う配置でした。
当初私の席からは小宮氏が全く見えず、2ndヴァイオリンが居ないのかと思いました。こういう時コンマスのファンで良かったなぁ・と思いました(笑)。
石田ファン的には前半石田様の出番が全くないので飽きてしまう可能性も(笑)。と言うか私は飽きた(<マテコラ!)。
全体的に子供向けと言えど、音楽は上質、この舞台に上がった恵まれた子供たちにはとても良い経験になったでしょうし、素晴らしい企画でした。
クラシック初心者にもお薦めのコンサートです。