2004年4月28日 家守
出版社:光文社(2003)
★家がキーとなる連作短篇集。と言ってもお話が繋がっている訳ではない。
全て「家」が原因となって事件が起きていたり、「家」で事件が起きているだけだ。
印象深かったのはやはり表題作だろうか。
淡々とした筆致で人が
壊れていく様を描くのが逆に怖い。
ストンと突然真相が現れたりして、ゆったりとした空気の中にスリルがあった。
こう言うものを推理小説と呼ぶのだと思う。
2004年12月19日 葉桜の季節に君を想うということ
出版社:文藝春秋(2004)
★読後の一言は取りあえずやられた!!の一言に尽きる。
ただ、読んでいる途中途中で「あれ?」と思う時はあるのである。最後に補足解説があるが、それを読むと
「だぁよねぇ。」と思うのだ。
かなりハードボイルド系の内容なのだが、そんなに読みにくくないし、結末は爽やか。タイトルに
全てのメッセージが込められているようにも感じる。
それにしても、出て来る悪人の悪意は本当に嫌になる。人間の善意と言うものは一体どこにあるのか、
信頼できなくなってしまいそうだ。相手を信じない事で自己防衛するのは簡単だけれど、それだけではちょっと寂しいと
思うのは私だけだろうか。
また、先日この小説の犯人の動機(と言うのとはまたちょっと違う部分なのだけれど)と同じことを言って掴まった
若者のニュースがあった。いやはや……。
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