島田荘司



最後のディナー






2003年6月21日 最後のディナー


出版社:原書房(1999)

★久々に島田荘司である。と言ってもここに書き始めてからは初めてですね。この本は中篇と短篇が計3本収録されています。
 この本は15cmほどの正方形のハードカヴァでとてもステキな装丁である。中身も所々写真が入っていて洒落ている。舞台が横浜なので その物語に合った写真が物語の情景を助けている。

 さて、本編であるが、島田荘司だからミステリィだと思い込んで読んだのだが、私は始め石岡君の恋愛小説かと思ったよ(笑)。

 それにしても石岡君は笑っちゃうくらい後ろ向きな男である。すべての事について最悪の事態を想定して鬱にはいっている。 元祖鬱病キャラとでも呼んであげたいくらいだ。

 今回石岡君の心理描写に私はちょっと苦笑いした。後ろ向きな気分になる時の人間ってみんなあんな感じだろう。彼はいつもああだからどうかと思うのだが(苦笑)
 島田氏のこういう人間のありのままの心理描写がとても良い。しかも、鬱なままで終わらないところがまた良いのである。

 勿論、この本も島田荘氏であるから、幾ばくかの謎が提示され、それをスウェーデンに居る御手洗が解くのであるが、それがまた素直な謎なのである。そして、 その素朴な謎と心温まるストーリィは頭を使わなければ読めないようなメフィスト系ミステリィ(褒めてます!)に疲れた頭に優しく染み入るのである。



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