西尾維新



クビキリサイクル サイコロジカル
ダブルダウン勘繰郎 ヒトクイマジカル
きみとぼくの壊れた世界 零崎双識の人間試験
魔法少女りすか ネコソギラジカル上






2002年10月25日 クビキリサイクル


著者:西尾維新 イラスト:竹
出版社:講談社(2001)

★これは再読です。初めて読んだのは・・・いつだったかなあ?というぐらい。きっとでたばかりの時期ですね。
 正直、帯の「西尾氏、イチオシ。」と言う清涼院氏らしいコピーに惹かれて(表紙のイラストに少なからず戸惑ったが)即購入(笑)。読みやすい文章で、 すぐに読み終えてしまいました。
 さて、今回は再読なわけなのですが、次の「クビシメロマンチスト」と「クビツリハイスクール」を読んでからだと、色々と符号を見つけたりして面白かったです。 なんと言うか、既に3冊目を読む頃には忘れてしまっていたキャラの存在とか思い出すしね。。。(<酷え)。

 ストーリィは大金持ちの赤神イリアが、自らの暮らす「カラスの濡れ羽島」に天才達を集め、サロンを形成しているところで、殺人事件が起きる。というもの。 この殺人事件を解決するのは、そこに集められた天才の一人青色サヴァンの「玖渚友」。の介添人の「ぼく」こと「いーちゃん」。この主人公、流行なのか何なのか、 とことん天才達に虐められるのだが、それを乗り越えて(と言うか開き直って)事件を解決する為に動く。いや、解決と言うのとは多少違うのだけれど(これを言うと 感動も減っちゃうので)。もうどんでん返しに次ぐどんでん返し。文章のリズムも良く、サクサク読めます。ただ、このリズム感が 曲者で、伏線とか、ひっかかるところとかもサクサク読ませてしまって、犯人の推理を許しません。そんなところもこの作品の魅力だと思います。

 今回読んでいて思ったのは、なんだか一見「こんなヤツいねえよっ!」みたいな天才ばかりが出てくる小説なんですけど、 ちょっと見る角度を変えるとどこにでもいる人間と同じ面を持っているんですよね。それが見えると出てくる天才達がなんだか愛しくなってきて、 小説に入り込んで読めるんですよね。

 私は中でも僕様ちゃんこと玖渚友が大好きなのですが、この後の話では中々出てこないんですよねえ。。。この玖渚と「いーちゃん」の関係は かなり歪んでいるけど、ちょっと羨ましいですね。何がって?あそこまで信頼出来る事が、ですよ★



2002年11月18日
 サイコロジカル(上・下)


出版社:講談社(2002)

★今回もいじめられっこの役割をあてられた「ぼく」こと「いーちゃん」。同行者の鈴無音々には説教され、 初対面の《害悪細菌》兎吊木垓輔にはいじめられ、謎の大泥棒石丸小唄にはいたぶられ・・・と言うとんでもなく被虐趣味 (なんて言葉があるのかどうか、館風は知らない)のいーちゃんであるが、 今回も事件を切り抜けるのは彼なのである。

 陸の孤島とも言える「《堕落三昧》斜道卿壱郎研究所」を玖渚の友人、元《仲間》メンバー(《仲間》に付いてはもう本を読んでもらうしかない)兎吊木垓輔を助けに玖渚友とそのつきそいいーちゃん、 そして2人の保護者として鈴無音々の三人が訪れた。
 研究局員とのエキセントリックな出会い、そして起こる殺人事件!玖渚友に迫る魔の手!どーするいーちゃん!!

 驚く事に、殺人が起こるのはなんと上巻の最後の最後。しかし、館風は殺人が起こるまでこの小説で殺人が起こっていない事に気付いていなかった。 要するに、殺人なんか起こらなくても充分魅力的でミステリアスな物語だと言う事なのだ。

 そしてそして今回もぉ?!最後に起こるは大逆転!もう作者、これでもかってくらいの大逆転を用意。そうそう。戯言シリーズはこうじゃなくっちゃね。 最後の最後に某世界最強がおっしゃっていますが、この事件はあの事件にそっくり。色々予想しながら読んでいくともしかしたら謎を解けるかも?

 さてさて、今回の注目はいーちゃんの玖渚友への想いの色々。んもう捻り曲りまくってそろそろ一周して戻ってくるころなんじゃないかと思うくらい(笑)。それくらい捻じ曲がってます。

 あ、そうそう。竹さんの可愛らしいイラストが気になるのはわかるのですが、今回は先にイラストだけチェック!とかしない方が良いですよ。 微妙にネタバレてるので。館風はチェックしてその絵を見て「え?!こういう展開あんの?!」と ドキドキしました。ただし困った事に普通に読んでもネタバレます(笑)。

 館風が今回気になったキャラクタは兎吊木垓輔氏神足雛善氏。お2人ともステキ★。かなりイカレ・・・いえ、イケています。ええ。 全部読むと館風がいかに変なキャラが好きなのかがわかります(笑)。

 思ったのだが、推理小説でストーリーを解説しつつ感想を書くって無理くないか?(笑)。どうやってもネタバレになるじゃんよー(涙)



2003年4月11日 ダブルダウン勘繰郎


原作:清涼院流水
出版社:講談社(2003)

★なんとこの本は御大・清涼院流水のJDC世界をメフィスト賞作家が書く、と言うとんでもない企画によって生まれた本! 西尾氏以外にも舞城王太郎氏が書いているみたいです★しかも、西尾氏のJDC次回作も準備済みみたいですよ★楽しみ〜。

 さて、内容は探偵を志す15歳虚野勘繰郎と、昔探偵を志した蘿蔔むつみと、かつて探偵だった逆島あやめの物語。 語り手は蘿蔔むつみ。夢を見ている真っ最中の虚野勘繰郎は、夢を諦めた蘿蔔むつみから見れば羨ましくもあり、昔の自分を見ているようで腹立たしくもあり。
 逆島あやめがJDC本部ビルを爆破しようとする所を見つけた虚野勘繰郎は、この事件を解いてJDC入りしようと、逆島あやめに挑んでいく。 逆島あやめはかつて「連続探偵殺戮事件」を起こした張本人。今回もビル爆破と言う方法で殺戮を繰り返そうとした所だった。圧倒的に有利な 逆島あやめに勘繰郎はどうやって挑むのか!

 夢を諦めてしまったり、自分の中途半端加減を自覚している人にとってはかなり読むのが辛い。勘繰郎の格好いい生き方は生きながら腐敗しているような自分には かなり眩しくて辛い。そういう本です。そしてきっと、青春真っ盛りで自信を持って夢を語れる人にとってはあたり前の事ばかりでつまらない物語になってしまうのだろう。



2003年7月25日 ヒトクイマジカル


出版社:講談社(2003)

★うを。いつもよりページ数特盛。竹嬢のイラストも特盛。なんとカヴァはリバーシブル(厳密に言えばリバーシブルではない。だって裏返したら読めなくなっちゃうから)。 作品の内容を象徴するイラストです。これから読む人は見ない方がいいかも。読んでから「なるほど」と納得するのをお薦めします。

 またしても(笑)いーちゃんは変な人に絡まれて事件に巻き込まれます。これは最早彼の特性ですね。嫌な特性ですが。そんなこんなで 変な生物学者の実験を手伝うハメになったいーちゃん。哀川潤のアドヴァイスにより弟子(笑)の紫木一姫と同居人(?)の春日井春日を連れて行くが、その先に待っていたのは殺人事件。。。

 うあー。。。きっついなぁ。。。これ。毎回毎回人がゴロゴロ死ぬけど、ここまであっさりあの人が死ぬとは思いませんでしたよ。 そんでそれにショックを受けるいーちゃんを見るのが辛いんだなー。読者も一緒にドツボ嵌りますよ。これ。
 んで、それに玖渚が追い討ちかけるんだよね。どうしても変わる事の無い自分に嫌気がさしてるいーちゃんに玖渚は 「いーちゃんはいつまでも変わらないよね!いーちゃんはいつまでも変わらないでね!」って、 それ、いーちゃんにとって嫌がらせですよ。。。(汗)。なんか、いーちゃんが駄目なのって玖渚にも責任があるんじゃないかと思います。
 今回玖渚といーちゃんのシーンは一箇所だけなのですが、ここが最大のポイントでしょう。変わらない事を望む玖渚に対し、変わりたいいーちゃん、これ、 今はまだいいけど、これから先の関係が壊れていくんじゃないかとちょっと心配になります。私的には二人には仲良くしててもらいたいので(笑)。

 今回ニューキャラの狐さんとか、ちょっと今後の展開をかき回しそうなキャラが出てきました。闇口崩子ちゃんと石凪萌太くんとか、ここにきて名前に意味が出てきちゃったり。 なんか、殺人鬼ばっかり出てくるなー(笑)。入退場が激しすぎますよね。この話。だから中々名前が覚えられない。。。今回姫ちゃんだって前々回の役回りからすっかり「えーと、、、ジグザグの子だっけ?」くらいしか 思い出せなかったし(汗)。やはりちゃんと読み返す必要があるでしょうか。無理です!(笑)。

 このシリーズはどんどんミステリィはどうでも良くなってきますね(笑)。私はそれでいいと思います。今回の匂宮兄妹のトリックだって全然オッケーだと思います。
 私的に出夢が作中で「妹とは電話で話したりすんだぜ〜ドッピオ〜!」とか言っていたのにかなり笑って、しかもまんまとトリックにハメられたのですが、 これってGIOGIO(こう書く事で第五部に絞れますな)読んでた人じゃないと 意味がわからない伏線である(笑)。でもまぁ、ちりばめてある冗談とかパロディとかはなるべく沢山元ネタが分かった方が面白いよね。

 今回もいーちゃん大怪我ですが、彼は入院期間に今後の身の振り方を考えた方がいいと思います。次の敵は玖渚機関かもしれんし(笑)。 センチメンタルに浸ってる暇、無いんじゃないの?



2004年2月21日きみとぼくの壊れた世界


出版社:講談社(2003)

★なんと言うか、私の嫌いな「設定」がてんこもりだ。だからと言って「面白くない」と言うのとは全く違う。 そもそも恋愛物は大好きだがこう言う「設定」は…好きじゃないんだよ…。ぐあー。凄く面白いのだけれど、好きじゃない。難しいですね。
 仕掛けられたトリックは単純が故に判り難く、犯行動機はともかくとして、トリックを仕掛ける理由が素晴らしい。

 ただ、私が気にかかるのは今日びブルマ穿いた女子高生なんて存在しないぜ!って 事くらいでしょうか(爆笑)。

 ちなみに私、この作品、褒めてますから。苦情は受け付けません(笑)。



2004年3月3日 零崎双識の人間試験


イラスト:竹
出版社:講談社(2004)

★今回は表紙に引き摺られて買った。web連載していたものに加筆したもの。とにかくこのお話は 零崎人識のお兄ちゃん(笑)、零崎双識がカッコ良いのです。表紙もとってもカッコイイ双識さん。 オマケにカード型CDROMが付いて来て、アイコンと壁紙、スクリーンセーバが導入できます。どうしても欲しい人は是非とも買って下さい(笑)。
 さてお話。今回戯言シリーズの主人公(笑)戯言使いは出てきません。今回は殺人鬼の「零崎」ファミリーに焦点を当てた物語。
 どうも「零崎」と言うのは零崎に「なる」のではなく始めから「そうある」みたいです。この定義の部分が面白いなぁ…と思って 読みました。あと、「零崎」の有り方って言うのが良いですね。殺す・殺さないは別にしても。 家族の事をひたすら護るって言うのがいいじゃないですかー。そんで、家族の事を信じて死んで行けるってのがカッコイイ。
 個人的に誰かを護って死ぬって言うのは好きじゃないんですが、と言うかそんなのカッコ悪いと思うんですが、そこに居るメンバが全滅しても後に残った家族が 敵討ちしてくれるから、自分は死んでもいいって言う「零崎」の有り方はいいなー・と思いました。微妙なバランスであります。
 是非とも双識兄ちゃんと人識の馴れ初め(笑)の話とか読みたいです。



2004年10月13日
 新本格魔法少女りすか


イラスト:西村キヌ
出版社:講談社(2004)

★本当に魔法少女である。どうやらこの話の中では魔法使いが存在し、みんなそろいも揃って長崎に住んでいるらしい。 何故に長崎?と言う疑問は残る物の、とにかく魔法使いが居るらしい。

 主人公は二人。魔法少女のりすかと人間のキズタカ。小学生。りすかは父親を探す為に長崎の外に来ている。 この父親探しの過程で色々な魔法使いと対決するのだが、どう考えてもりすかの持つ最終兵器は無敵である。 だからむしろ、どうそれを活用させる事が出来ない敵が出て来るか、と言う所が面白い。

 ちょっとクールすぎる小学生キズタカと魔法が使えるところ以外普通(?)のりすかがどうなるのかが見ものです。

 そうそう、りすか、魔法少女だけに変身後は大人です。



2005年8月21日 ネコソギラジカル 上
 十三階段


イラスト:竹
出版社:講談社(2005)

★終わりの始まりと言うスタンスで始まるこの話。どうも戯言シリーズ最終章の第一弾の様である。
 前作で、自分のせいで人を死なせてしまった(と、責任を感じている)主人公「いーちゃん」であったが、 ちょっと考えすぎなんじゃあ……と思うぐらいなのですが……。
 どうも「自分が関わると余計な事が起こる」とか、「関わると物語が変わる」とかそう言う事らしい。今回のテーマは バックノズルとなんたらオルタナティヴ(<なんたらじゃねぇよ。ちゃんと覚えとけよ)の模様。 こう言うのって、ほら、アレだ。観察すると観察者の影響が現れてしまうと言うアレに似ている。なんて言うんだっけ。 観察するまで分からないけれど、観察した瞬間に違うモノになっているかもしれないってアレですよ。

 今回はそう言ったテーマや、物語が始まるまでの地固めを行なった感じである。上だけあって、物語はまだまだ これから。。。出来るならば一気に読みたかったが、一時期「上下巻でも良いんじゃね?」的な 厚い本が出まくっていたのに較べれば……うーん。でも、上・中・下は一編に出してほしかったな。とか。

 あ、後、やっぱり哀川潤が好きです。人を跳ね飛ばす所とか最高ですよね。えぇもう。



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