2003年11月7日 クロへの長い道
ボクちゃん探偵シリーズ
出版社:双葉社(1999)
★ミステリィばかり読んでいるはずなのに二階堂黎人作品が初登場。氏の本自体は読んでいないと言うわけではなく…またしてもこう言う現象がおきていますね。
しかし、もう一度「人狼城の恐怖」を読み通そうと言う気になるかどうかは危うい…(笑)。
はてさて、この作品は今上げた人狼城とは打って変わってライトタッチのハードボイルド(笑)である。
何故なら、主人公は
六歳児だったりするからだ。それなのに妙に大人っぽい述懐をしていたり、
そこここでクスッと笑えてしまう小説に出来上がっている。
この小説の凄い所は、子どもの視点だからと言って謎が簡単になっているわけではない、と言う所である。
特に最後に収録の「八百屋の死にざま」の伏線であるイグアナ探しの結末と真相はちょっと悲しい。
6歳の主人公がこのことをどう捉えるかはちょっと興味があるところだ。
2003年11月13日 聖アウスラ修道院の惨劇
出版社:講談社(1993)
★二階堂蘭子シリーズ3作目。とは言っても私は1、2は読んでないんですが…。
勿論続き物ではないので一冊だけ読んでもOK。
学生で素人探偵のらん子は、知人を介して聖アウスラ修道院から昨年に起きた事件の解決を依頼される。詳細は現地で、と言う相手に押し切られ、
詳細を聴かぬまま長野の修道院まで出向いた。煮えきらぬ態度の相手に推理を行う事で本音を喋らせ、修道院長から
正式な依頼を受ける。
二重密室で殺された少女、首を切られ裸で桜の木に吊るされた神父。この二つの殺人事件の背後に横たわる動機とは!!
とにかく犯人の狙いが恐ろしい。カトリックの修道院が舞台なだけに、犯人はそれが正しいと信じて行なっているのだからタチが悪い。
所謂確信犯と言うやつである。
また、多くの宗教家が出てくるが、そのどれもが自分の所属する協会や修道院の地位を上げようと腐心する様がとてもリアルで悲しくなった。
トリックと暗号が満載でとても楽しめました。まあ、私は何一つとして分からなかったんですけどね(笑)。
2004年5月18日 千年岳の殺人鬼
共著:黒田研二
出版社:光文社(2002)
★共著である。と言ってもどこからどこまでをどちらが担当したのか解らない。ちなみに同じ内容がもう片方の作者の
感想ページにも記載されているので、向こうは見なくて良いです(笑)。
「ワームホール」なる時空の捩れが存在すると言われる千年岳に日本人フミコを含めたオーストラリア人の旅行者たちは居た。
勿論、目的はスキーだったが、ある日ヘリスキーの進路を間違えた主人公たちはワームホールがあると噂される場所へ迷い込んでしまう。
そこで起こった猟奇殺人。犯人は誰なのか、そしてその目的とは。
時折サンドイッチされるアナザサイドの話はとてもヴィヴィッドな仕掛けが施されている。
外国人が大量なので慣れない人にはちょっと大変かも。しかし英語に堪能ならトリックが解ける?!かも!(笑)
二人の合作との事ですが、それ程違和感は有りません。微妙に黒田テイストが強いかなーと言う感じで、
気持ち悪いのが苦手な人は注意。しかし、二人で書いているのがさっぱりわからないのは素敵。天晴れです。
2004年8月6日 Killer X
共著:黒田研二
出版社:光文社(2001)
★出版当初は「クイーン兄弟」と言う名前で出版されている。どうやら二人の著者を当てろ・と言うクイズが設けられていたものらしい。
ちなみに私は第二弾を先に読んでしまったので(あれ?3弾だっけ?)あまり意味が無かった(涙)。
今回もモチーフにキラーXと言うキャラクタが随所に出て来る。あまり可愛いキャラクタだとは思えないけれど、作中の中では人気だと言うのだから仕方ない(笑)。
物語は主人公が高校時代の恩師の住む北海道の山奥を訪れる事から始まる。同窓会だと言われ集まってみると、集まったのはたったの5人。
しかも、手紙を送ったはずの恩師は招待などしていないと主張した。
そして起こる殺人事件。雪に阻まれ、下山する事も出来ない。果たして雪が止むまでに何人が死ぬのか。。。
時折入るアナザサイドの事件は「連続突き落し魔事件」。デパートや遊園地の人気の無い階段で人を突き落す犯を追う刑事たちの物語。
こちら側の事件と本編がリンクするのは一体何処なのか。それがわかった瞬間に何があったのか理解する。
それにしても、この物語、読みながら3度は「騙されたぁ!」と叫ぶ事請け合いである。思い切り気持ち良く騙されたい人に。
この感想は共著の黒田氏の方にも載っています。
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