松原真琴



そして龍太はニャーと鳴く そして彼女は拳を振るう
そして彼女は神になる






2002年12月16日
 そして龍太はニャーと鳴く


イラスト:久保帯人
出版社:集英社(2002)

★実はこれはジャンプJブックスと言う週間少年ジャンプ系のノベルスで、館風は普段全然読まないのですが、 これはなんと発売日に購入&読了。

 人語を完璧に解する猫・フェリスとフェリスの言葉を解する少年・龍太が活躍するホラーミステリー(と、どっかに書いてあったが普通にミステリーでいいんじゃないかと思う)。 ジャンプ小説大賞で大賞を受賞した表題作「そして龍太はニャーと鳴く」と書き下ろしの「出世払いで夕食を」の二篇が収録されている。 しかも!久保氏による5ページのスペシャルコミック「よるのはなし」付き。これがまた、龍太が可愛いんだよ〜。 久保氏はきっとこの世界観がバッチリ掴めていますね。じゃないとあのほんわかした雰囲気は出せませんて。

 表題作は龍太の家族が事故にあい、その影には謎の猫が…。という話。これ以上書けませんね〜(笑)。
 でも、館風が気に入ったのはむしろ書き下ろしの「出世払いで夕食を」かな。龍太の子ども時代を描いたもの。これは話のテンポが良い。会話の中(と地の文にも)にあきらかにボケ・突っ込みが満載で、 めちゃめちゃ面白いんです(<話じゃないのかよ!)。個性の強い猫たちがバンバン出てきて、それがまた、無駄なく活かされていてグッド。 そんでまた久保氏の描く猫がめちゃめちゃ可愛いんだー!!!もうめっちゃラブリィ。私のお気に入りはヒーローとミケ。もう皆可愛いのです。

 そして、実は一番気になっているのは作中ででてくるヒーロー番組「三ツ星戦隊ファイブカレー」の最終回(笑)。一体どんな内容だったの?! そりゃフェリスじゃなくても気になるって!なんじゃそりゃ!って言う終わり方ですから(笑)。


2003年10月25日
 そして彼女は拳を振るう


イラスト:小畑健
出版社:集英社(2003)

★殆どの作家にとってキモとなるデビュー2作目。中篇1本と短篇1本書き下ろし。しかしnotニャーシリーズ。
 話に寄れば挿絵の久保氏が「これ以上仕事増えたらオレ、死ぬ」と言ったとか言わないとか(笑)。それで 自分のシリーズ書かないで別シリーズを書いてしまう松原嬢も豪気な人である。
 それでもって今回の挿絵は「ヒカルの碁」で御馴染みの小畑氏。私的に彼のイメージは「サイボーグじいちゃん」と「あやつり左近」だったのだが そんな事はどうでもよく(笑)。霊に対する淡々とした描写に小畑氏のサッパリとした端正な絵柄がとてもマッチしている。思わずジャケ買いすること 間違いなしの本に出来上がっている。

 表題作はシリーズの第一話的ポジション。主人公の霊媒少女・八重と持ち霊(って言ったら違うけど)の十郎の 出会いが挟まっている為、それまでの話をすっかり忘れてしまう。まぁ、その後に注意書きがあるので大丈夫なんですが、それ故一瞬 前半部なくても良いんじゃ…と思いかけるが、そんな事はない。八重の霊媒体質とか、 霊との関係とかが妙に庶民っぽくて普通の幽霊ものとはちょっと違う所を見せ付けてくれる。いわばこの一編はこの世界観の紹介編といったところである。

 なので正直な所私はもう一つの「校舎裏の夜明け」の方が好きだ。いちいちネタが織り込まれた文体につい小さく笑ってしまったり(<嘘。転げまわって笑ってた)するのだが、 本筋のお話もかなり良い。普段のネタ満載の文体の中に切ない部分を淡々と書くのでそこの部分でぐっときてしまうのである。

 しかし問題なのはこの小説を10年後に読んだ時に分かるネタはどれだけあるのか・と言うことだ。 どれだけのお笑い芸人が生き残っているのか…(笑)。 旬のネタが多いのでなるべくタイムリーに読むことをお薦めしたい。
 次回作はBLEACHが打ち切られない限り(<笑えない…)この霊媒少女シリーズっぽいです。私は久保氏のファンでもあるんですが、 松原嬢のニャーシリーズも読みたいんですよね…。うーん…。


2004年5月24日
 そして彼女は神になる
 ヒーローはジャージに着替えて悪を討つ


イラスト:小畑健
出版社:集英社(2004)

★八重&十郎シリーズ(<って上で言ってるのと既にシリーズ名変わってるけど)2作目である。
 今回の舞台は文化祭。主人公の八重はクラスの出し物の音楽喫茶のヒラヒラエプロンを着たくないが為に バスケットボール部の演劇で着ぐるみを着て演技する事を引き受けた。そこで知り合った軽音楽部の小坂には 小学生の幽霊が憑いていた。

 いやー、今回も軽妙なお笑いセンスに溢れたお話でした。てゆかジャージ神て……(笑)。ぷぷ・と笑ってしまう所が満載。 これ、お笑い好きだと更に楽しいだろうなー(<お笑い芸人には詳しくない女)。

 で、私はむしろコメディタッチな部分よりもシリアスな部分の方が好きだ。今回は軽音楽部の小坂と霊・藤井の 微妙な関係が良かったです。あー、こう言う勘違いと言うか、有りますよね。藤井くんには「小坂は小坂であって、アナタじゃないのよ」と 誰か言ってあげる人が居れば良かったんですけどね(霊だからね……)。ああ、切ないなぁ。

 それにしても、挿絵の小畑氏は凄いですよね。今毎週ジャンプで連載してるのに……。こんなに挿絵いっぱいだし カラーめちゃめちゃ綺麗だし。凄いなー。
 でもそれより凄いのは挿絵が小畑氏だからって必要ないのに(笑)小坂にメガネをかけさせちゃった松原嬢でしょう。松原嬢に乾杯。



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