北山猛那



『クロック城』殺人事件 『瑠璃城』殺人事件
『アリス・ミラー城』殺人事件






2003年6月17日
『クロック城』殺人事件


出版社:講談社ノベルス(2002)

★第24回メフィスト賞受賞作。
 世界はいきなり終わってるし、主人公は世界なんかどーでもいいって感じだし、今時ないくらいに沈鬱な表情で始まる。

 混沌状態にある世界で探偵業の様なものを営む主人公、南深騎(みなみみき)。そこへ律儀に依頼があり、深騎は「クロック城」に招待される。
 人の顔が浮かび上がる壁、時間を飛び越えると言う「スキップマン」…オカルト要素満載の謎が立て続けに提示される中、クロック城で殺人事件が起こる。 行き来が出来ない部屋の中で見つかった二つの首なし死体。そして二つの部屋と行き来が不可能な場所で見つかったそれぞれの首。果たして犯人は。 顔が浮かび上がる壁の謎とは。「スキップマン」の正体は。

 なんと言うか、設定萌え(分からない人はわからなくて宜しい。)しそうな話である。 終わり行く世界。世界を救うのか滅ぼすのか分からない、正体不明の「真夜中の鍵」。そしてその「真夜中の鍵」をめぐって争う 十一人委員会と呼ばれる組織と民間軍「SEEM」。
 この世界観に酔ってしまいそうである。というか、これだけでこの作品は「勝ち」だ。

 勿論、ミステリィのお皿であるトリックも素晴らしい。時間を飛び越える「スキップマン」とはよく 言ったものだ(読めば分かります)。また、二転、三転する解決編は、何が真実なのか分からなくさせる。しかし、 終わり行く世界に解決など要らないのかも知れない。

 突拍子もない世界観が嫌いでない人は是非どうぞ。


2003年9月5日 『瑠璃城』殺人事件


出版社:講談社ノベルス(2002)

★今度の『瑠璃城』は生まれ変わりモノ。要素としては首切りとか密室とか色々盛り込まれているが、やっぱりコレだろう。
 もし生まれ変わっても前世の記憶があったなら?前世で愛し合っていた二人は殺し合わなければならない運命に縛られ、 二人はお互いに「七芒星の短剣」によって殺されるか自殺するしかしない限り死なない。何回も生まれ変わり、繰り返される殺人。 その繰り返される『運命』から二人は抜け出す事が出来るのか…?!
 この物語はある種叙述トリックといえるかもしれない。運命の法則を見いだしたらお話の先も見えるだろう。
 しかし、残念なのは殺人事件の密室トリックや死体消失トリックがオマケ的に解説されていた事。トリックがきっちりしていた物だっただけに勿体ない。 もっと本編に絡めて解説をして欲しかったなぁ…。でもまぁ、読む所は別にそこじゃないし。
 そうそう。自分だったら何回も生まれ変わって同じ人を愛さなきゃいけないなんて真っ平ごめんデス★


2003年9月22日
『アリス・ミラー城』殺人事件


出版社:講談社ノベルス(2003)

★ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』の世界をイメージして作られた孤島のアリス・ミラー城に、8人の探偵が招かれた。 アリス・ミラー城にあると言う「アリス・ミラー」を求める8人の探偵たちはそれぞれ鏡を探すはずだった。しかし、それより先に城の中で殺人が起こって…?!
 閉鎖された状況・限られた人員。それにも関わらず、誰が犯人なのかが全く分からない。しかも、それまで冷静だった探偵達も 推理を放棄してしまう始末。果たして誰が「犯人ではない」と信用できるのか。
 密室トリックは案外古典的な機構ですが、考えもしない方法を用いていたりしてびっくり。あそこまで密室トリックに費やす犯人ってのは 想像するとちょっと間抜けかもしれません(笑)。

 しかし、今回の話の中で最も驚くべきはやっぱり動機でしょうか。 あの動機で殺人…うーん。。。私にはよく分かりませんね。。。
 最後はかなり驚ける内容になってます。私は理解出来てないかも。。。(笑)。多分あってるけど、本当にこのトリックなのか 心配になるような前代未聞のトリックです。・・・多分。



読書日記のトップに戻る

日記のトップに戻る

トップに戻る


アクセス解析 SEO/SEO対策