2002年12月18日 六月はイニシャルトークDE連続誘拐
イラスト:西村博之
出版社:講談社(2002)
★これは四月に出た霧舎氏の密室本「四月は霧の00(ラブラブ)密室」に続く、私立霧舎学園ミステリ白書シリーズの第3弾。
タイトルにその事件で取り上げられるミステリのお約束みたいなものが取り入れられています。そうです。今回は誘拐ものです。
しかも、毎回《あかずの扉研究会》シリーズと微妙にリンクしていましたが、今回はなんと同じ舞台が出てきます!あ、もしかして、これ、
向うを読んでたら早い段階でトリックに気がつくかも・・・。もちろん館風は気付きませんでしたが(笑)。
ストーリーは主人公・羽月琴葉が通う学校の図書館に、四月と五月の事件を記した本が勝手にこっそり置かれていた事から始まります。
両方の事件を知っている者は少なく、一体誰が・・。というところで誘拐される琴葉たち。
そちらの事件とは関係なく進む自称名探偵(笑)頭木保の遭難事件。しかーし。この事件までもバッチリ伏線になっています。しかも前回の五月の事件で謎になっていたままだった
死体にピンクのペンキを塗った理由も明かされます。
そしてそして!今回は琴葉のお父様が初登場!ちょっと、かっこいいんですけど?!(笑)。今回はそのお父様・秀彦と小日向棚彦が一緒に事件を解決していきます。
えーっと、たもっちゃんは。。。まあ、今回も空回り、と言う事で(笑)。
とにかく仕掛けがいっぱいある小説です。こんなに短い話なのにどうしてこんなに仕掛けをいっぱいかけられるのか、それが不思議なくらい。
それから、この本は絶対に本屋で買って読んで下さい。図書館で借りると面白さが半減します。そう言うつくりの本なんです。
ちなみに私はどの仕掛けも本の中で指摘されるまで気付きませんでした。見ているはずなのに見えていないんですね〜。
それにしても、琴葉の両親は娘の恋愛に口出ししすぎです(笑)。あそこまで協力的な両親ってどうなんでしょう?子どもだったら多分すごくうざいと思うんですけど(笑)。
でもまあ、仲のよさそうな家族で良いですね。お父様の登場シーンは少々びっくり致しました。ええ、まさかねぇ。。。
ちなみに次回作は「七月は織姫と彦星の交換殺人」だそうです。なるほど。三月まで話が続くとしたらあと。。。9冊?なかなか大変だ(<買うのが)。
2003年1月9日 マリオネット園
《あかずの扉》研究会首吊塔へ
出版社:講談社(2001)
★読んでから気付いたが、私この前の2作程読んでないや。話の端々に出てくる話題が分からない分からない(苦笑)
それでも話し自体は繋がっていないので充分楽しめました。やっぱりシリーズものは始めから読んだ方が良いですね。
話は記述者二本松翔が小説家デビューを果たす所から始まります。しかもペンネームは霧舎巧。ある意味ミステリィの王道ですな。
そしてまたしても《あかずの扉》研究会に事件が持ち込まれる。不思議な手紙の暗号を解いて指示された場所に行くと新たな指示が待っていた。
一方行方がわからなくなった後動悟。《あかずの扉》研究会の面々が手紙の指示に従ってたどり着いた先に待っていたのは…。
今回は舞台が川崎で、首都圏の電車に乗り込む事が多く、聞きなれた駅名がずらずらと出てくるので楽しめた。
霧舎氏の話は毎回新本格のど真ん中を行くのだが、それよりも周囲の人間の描き方が楽しい。今回もユイがやきもちを焼いたり、
咲さんがいつもと違う反応を見せてみたり、ミステリィって言うよりむしろラブコメの王道を描いていて、かーなーり、ナイス。霧舎学園の方もミステリィの要素と
ラブコメの要素てんこもりで、多分これが霧舎氏の特色なのでしょうね。
後、話のそこここでミステリィの名探偵の名前やネタを使った冗談や会話が成されるのですが、それが半分くらいわからなかった。。。
分かるとすっごく面白いんだけど、分からないと「くっそー!!!」って感じになってきます(涙)。これから読むときはそのネタがわかるように
もっと本読もうかな(笑)。
2004年2月23日
七月は織姫と彦星の交換殺人
イラスト:西村博之
出版社:講談社(2003)
★久し振りの霧舎学園シリーズ。今回、タイトルで交換殺人って出ているのでどんな風に話が進むかと思ったら
(だって探偵側から書いているから探偵が交換殺人だって気付かなかったら大変 …)、うまい事やるもんですねぇ。。。
いや、プロだから当たり前ですが、それでも唸らされますよ。
今回の事件のモチーフは七夕。こっそり送られてきた短冊に好きな人の名前を書いて学校裏の竹やぶに吊るすと
「笹乙女委員会」が仲を取り持ってくれると言う伝説(と言う程古くも無いが、この話は本当"伝説"が好きである)がキーポイント。
毎回毎回本に仕掛けがしてあって、トリックの鍵となる所が明白に提示されているのだけれど、今回もまた同じく。
くそぅ。目の前に証拠を提示されているのに気付かないなんて…!!
2004年2月25日
八月は二夜限りの心霊探偵
イラスト:西村博之
出版社:講談社(2003)
★七月と同時発行の八月編です。
この八月編、開くとヤンマガの表紙風のグラビア が…。イラストなんですが、それだけに凄い。
恥ずかしくて電車の中で読めない人も居たのでは。多分買うのを躊躇した人も居たはず。って、
このイラストからして少しの霧舎ファンが買えなくなっていると思われます(笑)。
でもこのグラビアにヒントがあるんだもんなぁ…。毎回毎回やってくれます。
それにしても、無駄なシーンがありません。琴葉がグラビアデビューするのだって意味があるんです。
いやはや、伏線の周到さには驚かされるばかり。
さて、ミステリの方は割りとどーでも良くて(いいの?!)、琴葉の恋の行方なのですが、
最近棚彦といい感じになっておりまして、ちょっと喧嘩したりするところがやきもきしていい(笑)。
伝説達成まで7ヶ月…って事は後7冊…。ちょっとこの恋の行方も楽しみです。
2004年4月8日 名探偵はもういない
出版社:原書房(2002)
★今回は屈折した犯罪学者が登場。かなりイっちゃった感じがしてオッケー。
個人的に「密室の作り方」 と言う本は見てみたい。
絶対に出版されないだろうけどさ(笑)。
名探偵はもういないと言いつつ、探偵はいっぱい出てきます。あの超有名探偵(?!)も登場。
でも人格的に似た人がいっぱい居て混乱するんですけど…(笑)。
でもカッコイイツボな探偵がいっぱい居たからいいか……。
思わせぶりな喋り方をする人が沢山居るのでその辺を自分で推理しながら読むと面白いかもしれません。
あ!後、他の霧舎シリーズの登場人物を思い描きながら読むと良いかも。
2004年6月2日 霧舎巧傑作短編集
出版社:講談社(2004)
★霧舎巧のデビュー作(厳密に言えばデビュー前の作品)から書下ろしの最新作まで の短篇を余す所無く
入れたお買い得な短編集。
《あかずの扉》研究会のシリーズ有り、御手洗潔シリーズのパスティーシュ有りで盛り沢山。一番最後の
書き下ろしはこの短編集の為に書かれた物だけあって、面白い趣向が凝らされています。まさか
あの短篇が絡まるとは……。是非とも読んで自分で驚きを味わって下さい。
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