笠井潔



哲学者の密室 梟の巨なる黄昏






2003年4月4日 哲学者の密室


出版社:創元推理文庫(2002)

★ 矢吹駆シリーズ4作目。なんと文庫にして1160ページ。館風はこれを読みきるのに1ヶ月を要した(爆)。 そんなこんなでやっとここに感想をアップする事が出来る。もう、本当に途中でドイツの話とか出てきた時に「もう読むのやめたろか?!」って 思ったけど、そこまで読んだだけでも400ページは読んでますからね。勿体ないったらありゃしない(笑)。

 話は、塔の3重密室で老人が殺された事件と、30年前の雪の3重密室で若い女性が殺された事件が交錯しつつ展開する。
 二つの3重密室を名探偵・矢吹駆が本質直観を用いた推理で解きほぐしていく。この本質直観と言うのが、その事件の本質になるキィワードを見つけ、それを支点にして たくさんの整合性のある推理から真相を選択する、と言うもの。
 この推理を選択するのがやったら長いっ!!!ひたすらこういう解釈もできる、こういう解釈も、っていうのがあって、その可能性を全部消して最後の推理にたどり着くので、読んでいる時はちょっと ダルいかも。館風は完全にその罠に陥りましたし。

 しかし、これは単なる推理小説ではない。ほとんど哲学書に匹敵している。 本編に出てくるマルティン・ハルバッハという哲学者が実在の哲学者を表しているのは明白である。
 これはそういう素養が無いと読んで理解出来ません。と言うか、読むのに時間がかかります。ええ、私です(笑)。
 でも、どんなに途中で諦めたいと思っても、この本は読みきらないと意味がありません。最後の最後まで 読んで欲しいと思います。

 しかし、ちょっと引っかかるのはワトソン役のナディア・モガールが。。。うーん。すごく違和感があります。 本当にこんな人がいたら館風はオトモダチになりたくないです(笑)


2003年12月11日 梟の巨なる黄昏


出版社:廣済堂出版(1993)

★一冊の書物を巡る四人の視点から描かれた物語。 その書物は読むだけで人を惑わし、世界を破滅へ追い立てる

 同じ場面を書いているのに見ている人間が違うので次々と物語の輪郭が変わっていく。果たして本当の勝者は誰なのか、それを知るのが読み進めるにつれて怖くなってくる。 段々と恐怖に呑まれる。そんな本であった。

 どうも笠井潔と言うと厚くて哲学的、と言うイメージがあるのだが(それは↑の本のせい)、これは薄いし読みやすいし、 やたら生々しいし、で読みやすかった。それにしても・・・怖かったなぁ。



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